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校長挨拶

校長
「自律」「而今」「命・恕(思いやり)・感謝の心」

 現在、新型コロナウイルス感染症第6波に係る「まん延防止等重点措置」は解除されましたが、福山市においては、依然として感染者数は高止まりという状況が続いています。昨年度は、私たちの日常生活や学校教育にも多大な支障を及ぼし、記念祭バザーを始めとする各学校行事の中止や縮小開催、海外修学旅行の国内実施への変更等を余儀なくされました。本年度も、感染症の動向を踏まえながら、学校行事等慎重に判断する一年となるようです。
 また、ロシアのウクライナ侵攻は、平和を希求する世界中の人々を恐怖と不安に陥れています。広島教区では、3月25日に「ロシアとウクライナを聖母に奉献し平和を願うための共同祈願」が行われました。本校でも「ウクライナで続いている戦争に巻き込まれ、耐え難い苦痛と不安の中で避難生活を余儀なくされている人々に必要な支援の手が差し伸べられ、平穏な日々を取り戻すことができますように。」との願いを込め、「ウクライナ人道支援募金を行っているところです。
 3月16日には、宮城県・福島県で震度6の地震が発生し、新幹線が脱線したり、220万戸以上の家屋が停電に見舞われたりするとともに、4人の尊い命が奪われ負傷者も多数でました。東日本大震災で被災された皆様は、不安と恐怖で眠れない夜を過ごされたことと推察いたします。
 こうした情勢を踏まえ、次のような祈りをお捧げいたします。
 「世界中で起こっている争いや暴力、また、新型コロナウイルス感染症等で亡くなられたすべての人を顧み、永遠の安息をお与えください。また、親しい人々を失って途方に暮れる遺族の方々を慰め、生きる希望で支えてください。」

 さて、本校は、戦後の混乱期に、フランスから四人のシスターたちが来福し、言語、風俗、習慣、文化も違う国で、筆舌に尽くしがたい幾多の困難や苦労を乗り越え、一面麦畑であったこの深津の地に一粒の種を落とし開校されたカトリックの学校です。
 「今の日本にとって、一番必要なのは女子教育」であるとの強い信念のもと、未来を担う女性の教育のために「Women for Others」(他者のために生きる女性の育成)を建学の精神に開校され、今日まで74年の歴史を刻み、卒業者数は、1万人強となりました。
 これまで本校を巣立っていった卒業生は、政治・経済・放送、さらには、医療・法曹・官僚・教育・芸術等多岐に渡る分野の中枢として日本のみならず世界各地で活躍しています。
 ローマ教皇は、これまでも、「いのちという素晴らしいたまものは、私たちが初めて授かった贈り物です。」と述べられています。私たちは、これからも、授かった大切な命、かけがえのない命の大切さについて、脈々と流れるカトリック学校としての使命を継承しながら、教育を推進してまいります。

 現在の中高校生は、人生100年時代を生き抜き22世紀の礎を築く世代となるとともに、国が推進しているSociety5.0(超スマート社会)の中で活躍する世代となります。今では、AI等が飛躍的に成長を続け高度化し、私たちの生活の中でもごく身近に感じられるようになりました。これからは、予測困難な時代、混迷の度合いを増す社会が到来すると言われています。こうした時代を生き抜くために、知識技能はもとより、「未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力・人間性」にも重点を置いた教育の推進が求められています。本年度より、高等学校においても新学習指導要領に基づく教育を推進し、これらの力の定着を図ってまいります。
 さらに、国連は、17の持続可能な開発目標(SDGs)を掲げ、2030年までの達成をめざして、すべての人が平和と豊かさを享受できるようにするための普遍的な行動を呼びかけています。最近、テレビや新聞等でもSDGsに関する報道が頻繁になされ身近なものになりつつあります。本校では、引き続き総合的な学習(探究)の時間等を活用し、SDGsに係る探究活動等を展開し、自分たちができる行動に係る学びを推進してまいります。
 一昨年度、新たな大学入試共通テストが開始されました。とりわけ、英語においては、リーディングとリスニングの配点比率が1:1になり、音声問題も、従来の2回から1回だけの聞き取りで解答する問題の比率が高くなる等の大幅な変更がなされました。こうした変更や新たな総合型選抜・学校推薦型選抜、一般入試等への迅速かつ的確な対応とともに、生徒の夢の実現へ向けて一人一人に寄り添いながら、丁寧かつきめ細かな指導を継続してまいります。
 また、現在の高校一年生が大学入試に臨む2025年1月の共通テストから新たな教科「情報Ⅰ」が加わることとなりました。多様な文章を提示する観点から国語90分、数学②「数学Ⅱ・数学B」に「数学C」を加え、時間を70分にする等の変更も示されました。本年度から実施される高等学校新学習指導要領に基づく新たな教科等の指導の充実とともに、新入試への対応も不可欠です。
 こうした変化を踏まえ、教科学習のベースとなる言語教育の充実を図るとともに、タブレットを使った効果的な学習・ニュージーランドのVilla Maria Collegeの生徒とのオンライン交流・外国人講師とのオンライン英会話等を推進してまいります。
 また、生徒たちには、引き続き、次の三つの力(EGGの力)を体得できるよう指導してまいります。
 ● Empathy(共感する力)
 ● Grit(やり抜く力)
 ● Growth(学び続ける力)

 本年度の本校教育目標は、「自律」「而(に)今(こん)」「命・恕(思いやり)・感謝の心を育む」といたしました。昨年の「而今」「命・恕・感謝の心を育む」に「自律」を加えました。
 昨年同様、通常の日常生活が儘ならない中だからこそ、「而今」すなわち、今という時間(瞬間)を大切に生きるとともに、命を大切にしながら、他者に対する「思いやり」と「感謝」の気持ちで溢れている生徒たちを育んでまいります。このことで、いじめなど皆無で、皆が元気に明るく笑顔で学校生活を送り、持っている力や可能性を十分に引き出せる暁の星になると確信しています。本年度は、この目標等を達成するために、「自分で考え、自分で行動する力、すなわち、『自律』」をテーマにして個々の成長を促したいと考えています。 
 ひとりひとりの生徒が、自分で考えて行動するとともに、今という一瞬一瞬を大切にして学校生活を送りながら、「命・恕・感謝の心」を育み、「あたたかさ」と「やさしさ」で溢れている学校となるよう指導してまいりますので、本年度もよろしくお願いいたします。
2022年4月1日
福山暁の星女子中学・高等学校
校長 小野田 文明


「而今」「命」「恕」「感謝」に係る福者や聖書の教えは、次の通りです。
【自律】
 求めなさい、そうすれば与えられる 探しなさい、そうすれば見つかる
 門をたたきなさい、そうすれば開かれる だれでも、求める者は見つけ
 門をたたく者には開かれる
(マタイによる福音7章7節)

【而今】
 「私は急いで通り過ぎる旅人です。過去や未来ではなく、今の瞬間に全力を尽くすことです。」
(福者マリー・テレーズ・ド・スビラン…援助マリア修道会創立者)
 「私たちは『今』この瞬間にしか生きることはできません。(中略)であるからこそ、『今』という時間を大切に生きることが大事なのです。」
(「おだやかに、シンプルに、生きる」枡野俊明著 PHP文庫)

【命】
 「命を愛し、幸せな日々を過ごしたい人は、舌を制して、悪を言わず、唇を閉じて、偽りを語らず、悪から遠ざかり、善を行い、平和を願って、これを追い求めよ。主の目は正しい者に注がれ、主の耳は彼らの祈りに傾けられる。主の顔は、悪事を働く者に対して向けられる。」
(ペトロの手紙第一 3章10-12)

【恕】
 あなたがたは神に選ばれ、聖なる者とされ、愛されているのですから、憐れみの心、慈愛、謙遜、柔和、寛容を身に着けなさい。互いに忍び合い、責めるべきことがあっても、赦し合いなさい。主があなたがたを赦してくださったように、あなたがたも同じようにしなさい。これらすべてに加えて、愛を身に着けなさい。愛は、すべてを完成させるきずなです。
(コロサイの信徒への手紙3章12~14)
 「人にしてもらいたいと思うことを、人にもしなさい。」(ルカ6章31)

【感謝】
 いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。どんなことにも感謝しなさい。これこそ、キリスト・イエスにおいて、神があなたがたに望んでおられることです。            
(テサロニケの信徒への手紙一 5章16~18)
 なお、本校の正面玄関を入ったところに、「のせる」(河野進)という詩が書で認められています。
 
 不満の手に
 どのように大きい恵みがのせられても
 小さく 小さく見えましょう
 感謝の手に
 どのように小さい恵みがのせられても
 大きく 大きく見えましょう
  目ではなく心が見るのです
 

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