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校長挨拶

校長
「而今 命・恕(思いやり)・感謝の心」
 
 現在,新型コロナウィルス感染症第4波到来と言われ,かけがえのない尊い命が奪われています。亡くなられた皆さんに哀悼の意を捧げます。
 本年度も,コロナ禍の中でのスタートとなりました。私たちの日常生活や学校教育にも多大な支障を及ぼし,今後の学校運営も予断を許さない状況です。4月に予定しておりました運動会等の行事の縮小を決定いたしました。

 本校は,戦後の混乱期に,フランスから四人のシスターたちが来福し,言語,風俗,習慣,文化も違う国で,筆舌に尽くしがたい幾多の困難や苦労を乗り越え,一面麦畑であったこの深津の地に一粒の種を落とし開校されたカトリックの学校です。
 「今の日本にとって,一番必要なのは女子教育」であるとの強い信念のもと,未来を担う女性の教育のために「Women for Others」(他者のために生きる女性の育成)を建学の精神に開校され,今日まで73年の歴史を刻み,卒業者数は,昨年度末で1万人に達しました。
 これまで本校を巣立っていった卒業生は,経済界や放送業界,さらには,医療・法曹・官僚・教育・芸術等多岐に渡る分野の中枢として日本のみならず世界各地で活躍しています。
 15899名の尊い命を奪った未曽有の東日本大震災から10年が経過いたしました。それに関連する報道も数多くなされました。また,現在は,新型コロナウィルス感染症のために,多くの命が奪われています。
 ローマ教皇は,これまでも,「いのちという素晴らしいたまものは,私たちが初めて授かった贈り物です。」という命に係る言葉を述べられています。私たちは,これからも,授かった大切な命,かけがえのない命の大切さについて,脈々と流れるカトリック学校としての使命を継承しながら,生徒たちに学ばせてまいります。

 さて,現在の中高校生は,2100年まで生きる可能性があり,22世紀の礎を築く世代となるとともに,国が推進しているSociety5.0(超スマート社会)の中で活躍する世代となります。今でも,飛躍的に成長を続けるAI・IoT・ロボテックス等が私たちの生活の中でもごく身近に感じられるようになり,予測困難な時代,混迷の度合いを増す社会がいよいよ到来しようとしています。こうした時代を生き抜くために,知識技能はもとより,「未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力・人間性」にも重点を置いた教育の推進が求められています。
 さらに,これからの時代は,環境問題や貧困問題等が深刻化すると言われ,国連は,17の持続可能な開発目標(SDGs)を掲げ,2030年までの達成をめざして,すべての人が平和と豊かさを享受できるようにするための普遍的な行動を呼びかけています。最近,テレビや新聞等でもSDGsに関する報道が頻繁になされるようになりました。本校では,引き続き総合的な学習(探究)の時間等を活用し,SDGsについての探究活動を推進し,自分たちができる行動等についての考えを深めてまいります。
 昨年度,新たな大学入試共通テストが開始されました。とりわけ,英語においては,リーディングとリスニングの配点比率が4:1から1:1になり,「聞く」力をつけることがより重視されるようになりました。音声問題も,従来の2回から1回だけの聞き取りで解答する問題の比率が高くなる等の大幅な変更がなされました。こうした変更や新たな総合型選抜・学校推薦型選抜,個別入試等への迅速かつ的確な対応とともに,生徒の夢の実現へ向けてきめ細かな指導を継続してまいります。
 また,現在の中学校三年生が大学入試に臨む2025年1月の共通テストから新たな教科「情報」が加わることとなりました。この教科のサンプル問題では,プログラム作成を想定した問題も出題されるとともに,地理歴史・公民も,科目構成を変更して実施されることが決定いたしました。こうした変更に伴う対策も国の動向等十分に踏まえ迅速に対応してまいります。
 こうした変化にも対応するとともにICT教育の推進を図るために,昨年度より,タブレットを使った学習・ニュージーランドのVilla Maria Collegeの生徒とのオンライン交流・外国人講師とのオンライン英会話等を行っています。本年度は,更にその充実を図ってまいります。
 生徒たちも,こうした変化に対応することが不可欠ですので,引き続き,次の三つの力(EGGの力)を体得できるよう指導してまいります。
 ● Empathy(共感する力)
 ● Grit(やり抜く力)
 ● Growth(学び続ける力)

 本年度の本校教育目標は,「而今(にこん) 命・恕(思いやり)・感謝の心を育む」といたしました。昨年の「命・恕・感謝の心を育む」に「而今」を加えたものです。本校が,坐禅静修会でお世話になる建功寺の枡野俊明さんは,著書「おだやかに,シンプルに,生きる」(PHP文庫)の中で,「『而今』という禅語は,命の真実は『今』にしかないことを説いた言葉です。私たちは『今』この瞬間にしか生きることはできません。(中略)であるからこそ,『今』という時間を大切に生きることが大事なのです。」と述べられています。
 通常の日常生活が儘ならない中だからこそ,「而今」すなわち,今という時間(瞬間)を大切に生きるとともに,命を大切にしながら,他者に対する「思いやり」と「感謝」の気持ちで溢れている生徒たちにしていくこと、そうすることで、いじめなど皆無で,皆が元気に明るく笑顔で学校生活を送り、持っている力や可能性を十分に引き出せる暁の星にしていくことが本年の目標の意味です。

 「而今」「命」「恕」「感謝」に係る福者や聖書の教え
【而今】
 「私は急いで通り過ぎる旅人です。過去や未来ではなく,今の瞬間に全力を尽くすことです。」(福者マリー・テレーズ・ド・スビラン…本校を設立した援助マリア修道会創立者)

【命】
「命を愛し,幸せな日々を過ごしたい人は,舌を制して,悪を言わず,唇を閉じて,偽りを語らず,悪から遠ざかり,善を行い,平和を願って,これを追い求めよ。主の目は正しい者に注がれ,主の耳は彼らの祈りに傾けられる。主の顔は,悪事を働く者に対して向けられる。」
(ペトロの手紙第一 3章10-12)

【恕】
あなたがたは神に選ばれ,聖なる者とされ,愛されているのですから,憐れみの心,慈愛,謙遜,柔和,寛容を身に着けなさい。互いに忍び合い,責めるべきことがあっても,赦し合いなさい。主があなたがたを赦してくださったように,あなたがたも同じようにしなさい。これらすべてに加えて,愛を身に着けなさい。愛は,すべてを完成させるきずなです。
(コロサイの信徒への手紙3章12~14)
「人にしてもらいたいと思うことを,人にもしなさい。」(ルカ6章31)

【感謝】
 いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。どんなことにも感謝しなさい。これこそ,キリスト・イエスにおいて,神があなたがたに望んでおられることです。
(テサロニケの信徒への手紙一 5章16~18)
 本校の正面玄関を入ったところに,「のせる」(河野進)という詩が書で認められています。
 
 不満の手に
 どのように大きい恵みがのせられても
 小さく 小さく見えましょう
 感謝の手に
 どのように小さい恵みがのせられても
 大きく 大きく見えましょう
  目ではなく心が見るのです
 
 ひとりひとりの生徒が,今という一瞬一瞬を大切にして学校生活を送りながら,「命・恕・感謝の心」を育み,「あたたかさ」と「やさしさ」が溢れている学校となるよう指導してまいりますので,本年度もよろしくお願いいたします。
 2021年4月1日
福山暁の星女子中学・高等学校
校長 小野田 文明
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