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校長挨拶

校長
「命・恕(思いやり)・感謝の心」
 
 現在,新型コロナウィルス感染症が猛威を振るい,かけがえのない尊い命が多く奪われています。亡くなられた皆さんに哀悼の意を捧げます。
 本年度は,こうした中でのスタートとなりました。私たちの日常生活や学校教育にも多大な支障を及ぼし,今後の学校運営も予断を許さない状況であり,4月に予定しておりました運動会等の行事の中止を決定いたしました。また,学校再開に際しましては,生徒たちの安全を最優先課題とし,対策を十分練り,万全を期してまいります。
 
 本校は,戦後の混乱期に,フランスから四人のシスターたちが来福し,言語,風俗,習慣,文化も違う国で,筆舌に尽くしがたい幾多の困難や苦労を乗り越え,一面麦畑であったこの深津の地に一粒の種を落とし開校されたカトリックの学校です。
 「今の日本にとって,一番必要なのは女子教育」であるとの強い信念のもと,未来を担う女性の教育のために「Women for Others」(他者のために生きる女性の育成)を建学の精神に開校され,今日まで72年の歴史を刻んで参りました。
 これまで本校を巣立っていった卒業生は,経済界や放送業界,さらには,医療・法曹・官僚・教育・芸術等多岐に渡る分野の中枢として日本のみならず世界各地で活躍しています。
 昨年11月のローマ教皇38年ぶりの来日は,カトリック学校としての使命とともに,改めて命と平和の尊厳について考えさせられる機会となりました。広島平和記念公園での「平和のための集い」には,本校から私を含め教職員・生徒十数名が参加することができ,教皇フランシスコの姿を拝見するとともにメッセージを拝聴しました。「すべての命を守るために」というテーマで来日され,「真の平和とは非武装の平和以外にあり得ません。」等の力強いメッセージは,私たちに大きな勇気と希望をお与えくださいました。「私は平和の巡礼者として,この地の歴史の中にあるあの悲惨な日に,傷と死を被ったすべての人との連帯をもって悼むために参りました。命の神が,心を平和と和解と兄弟愛へと変えてくださるよう祈ります。」と英文で記帳されたメッセージにも「命と平和」への強い願いが込められています。
 これまでも,「いのちという素晴らしいたまものは,私たちが初めて授かった贈り物です。」という命に係る言葉を述べられています。私たちは,これからも,授かった大切な命,かけがえのない命,たった一つしか存在しない自分だけの命の大切さについて,脈々と流れるカトリック学校としての使命を継承しながら,生徒たちに学ばせてまいります。
 また,現在の中高校生は,2100年まで生きる可能性があり,22世紀の礎を築く世代となります。今日飛躍的に,AIやIoTの拡大が私たちの生活にも身近に感じられるようになってきています。まさに予測不可能で混迷の度合いを増す社会が到来しようとしています。こうした時代を生き抜くために,知識技能はもとより,「未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力・人間性」にも重点を置いた教育の推進が求められています。
 さらに,これからの時代は,環境問題や貧困問題が深刻化すると言われ,昨年は,地球温暖化について大きく報道されてきました。
 国連は,17の持続可能な開発目標(SDGs)を掲げ,貧困に終止符を打ち,地球を保護し,すべての人が平和と豊かさを享受できるようにすることを目指す普遍的な行動を呼びかけています。本校でも,引き続き総合的な学習(探究)の時間等を活用し,SDGsについての探究活動を推進し,自分たちができる行動等についての考えを深めてまいります。
 昨年末,新たな大学入試制度に係り,共通テストにおける英語の民間試験並びに国数の記述式問題の導入が見送りとなるなど,生徒たちへの影響は計り知れないものがありますが,共通テストに向けての対策も急務です。とりわけ,英語においては,リーディングとリスニングの配点比率が4:1から1:1になり,「聞く」力をつけることがより重要視されるようになりました。これまで,音声問題は,2回流され解答していましたが,1回だけのものも混在した出題となり,リーディング80分,リスニング60分(内,解答時間30分)の試験時間となるなどの大幅な変更がなされました。こうした変更や新たな推薦入試,個別入試等への迅速な対応とともに,生徒の夢の実現へ向けてきめ細かな指導を継続してまいります。
 生徒たちも,こうした変化に対応することが不可欠ですので,引き続き,次の三つの力(EGGの力)を体得できるよう指導してまいります。
 ● Empathy(共感する力)
 ● Grit(やり抜く力)
 ● Growth(学び続ける力)
 
 
 本校の本年度の教育目標は,「命・恕(思いやり)・感謝の心を育む」といたしました。昨年の「「命・恕の心を育む」に「感謝」を加えたものです。命を大切にしながら,他者に対して「思いやりの心」で接し,それを受けた者が「感謝の気持ち」を返していく。恕と感謝が双方向で響き合う関係,そんな生徒たちで溢れている暁の星にしていくこと、そして、いじめなど皆無で,皆が明るく笑顔で学校生活を送り、持っている力を十分に発揮できる学校にしていくことが本年の目標の意味です。聖書では,「恕」「感謝」について次のように教えています。

【恕】
 あなたがたは神に選ばれ,聖なる者とされ,愛されているのですから,憐れみの心,慈愛,謙遜,柔和,寛容を身に着けなさい。互いに忍び合い,責めるべきことがあっても,赦し合いなさい。主があなたがたを赦してくださったように,あなたがたも同じようにしなさい。これらすべてに加えて,愛を身に着けなさい。愛は,すべてを完成させるきずなです。
(コロサイの信徒への手紙3章12~14)
 「人にしてもらいたいと思うことを,人にもしなさい。」(ルカ6章31)
 
【感謝】
 いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。どんなことにも感謝しなさい。これこそ,キリスト・イエスにおいて,神があなたがたに望んでおられることです。
(テサロニケの信徒への手紙一 5章16~18)
 
 本校の正面玄関を入ったところに,「のせる」(河野進)という詩が書で認められています。
 
 不満の手に
 どのように大きい恵みがのせられても
 小さく 小さく見えましょう
 感謝の手に
 どのように小さい恵みがのせられても
 大きく 大きく見えましょう
 目ではなく心が見るのです
 
 引き続き,ひとりひとりの生徒が,「命と恕,そして,感謝の心」を大切にしながら育み,「あたたかさ」と「やさしさ」で溢れる学校となるよう指導してまいりますので,本年度もよろしくお願いいたします。
 
福山暁の星女子中学・高等学校
校長 小野田 文明
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