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校長挨拶

校長
校長挨拶
 
 戦後の混乱期に,フランスから四人のシスターたちが来福し,言語,風俗,習慣,文化も違う国で,筆舌に尽くしがたい幾多の困難や苦労を乗り越え,一面麦畑であったこの深津の地に一粒の種を落としました。
 「今の日本にとって,一番必要なのは女子教育」であるとの強い信念のもと,未来を担う女性の教育のために「Women for Others」(他者のために生きる女性の育成)を建学の精神に開校され,今日まで歴史を刻んで参りました。
 これまで本校を巣立っていった卒業生は,経済界や放送業界,さらには,医療・法曹・官僚・教育・芸術等多岐に渡る分野の中枢として日本のみならず世界各地で活躍しています。
 昨年11月のローマ教皇38年ぶりの来日は,カトリック学校としての使命とともに,改めて命と平和の尊厳について考えさせられる機会となりました。広島平和記念公園での「平和のための集い」には,本校から私を含め教職員・生徒十数名が参加することができ,教皇フランシスコの姿を拝見するとともにメッセージを拝聴しました。「真の平和とは非武装の平和以外にあり得ません。」等の力強いメッセージはもちろんですが,キャンドルに点火後,献花台に手を置かれたまま,しばらく微動だにされなかった静寂の時間がとても感動的で強く印象に残りました。私には,教皇の深い悲しみがあのお姿に全て表れ,全世界をその姿に引き寄せられたのではないかと感じられた不思議な時間でした。
 「すべての命を守るために」というテーマで来日され,私たちに大きな勇気と希望を与えてくださいました。「私は平和の巡礼者として,この地の歴史の中にあるあの悲惨な日に,傷と死を被ったすべての人との連帯をもって悼むために参りました。命の神が,心を平和と和解と兄弟愛へと変えてくださるよう祈ります。」と英文で記帳されたメッセージにも「命と平和」への強い願いが込められています。
 これまでも,「いのちという素晴らしいたまものは,私たちが初めて授かった贈り物です。」という言葉を述べられています。私たちは,これからも,授かった大切な命,かけがえのない命,たった一つしか存在しない自分だけの命の大切さについて,脈々と流れるカトリック学校としての使命を継承しながら,生徒たちに学ばせてまいります。
 また,現在の中高校生は,2100年まで生きる可能性があり,22世紀の礎を築く世代となります。今日飛躍的に,AIやIoTの拡大が私たちの生活にも身近に感じられるようになってきています。まさに予測不可能で混迷の度合いを増す社会が到来しようとしています。こうした時代を生き抜くために,知識技能はもとより,「未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力・人間性」にも重点を置いた教育の推進が求められています。
 さらに,これからの時代は,環境問題や貧困問題が深刻化すると言われていますが,昨年は,地球温暖化について大きく報道されてきました。
 とりわけ,国連気候行動サミットで各国の地球温暖化対策について,スウェーデンの16歳の女性グレタ・トゥーンベリさんが、「あなた方は私たちを失望させている。そして,もしあなたたちが欺いたなら、私たちは決して許さないでしょう。」と強調したスピーチは,大きく報じられ話題となりました。
 こうした環境問題に対し,国連は,17の持続可能な開発目標(SDGs)を掲げ,貧困に終止符を打ち,地球を保護し,すべての人が平和と豊かさを享受できるようにすることを目指す普遍的な行動を呼びかけています。本校でも,引き続き総合的な学習(探究)の時間等を活用し,SDGsについての探究活動を推進し,自分たちができる行動等についての考えを深めてまいります。
 昨年末,新たな大学入試制度に係り,共通テストにおける英語の民間試験並びに国数の記述式問題の導入が見送りとなるなど,生徒たちへの影響は計り知れないものがありますが,新たな推薦入試,個別入試等への対応とともに,生徒の夢の実現へ向けてきめ細かな指導を継続してまいります。
 本校の本年度の教育目標である「命・恕の心を育む」の「恕」の意味合いについて,上智大学教授の竹内神父さんは,他人に対する誠実さのこと。あるいは,まごころから出る他人への思いやりで,イエスの語る愛と重なり合うものがあるとお話しくださいました。
 この目標は,これからの予測不可能で混迷する社会の中でも,人として,特に大切にされるべきものだと捉えています。
 昨年も紹介しましたが,宮澤章二さんの「行為の意味」を抜粋要約した「『こころ』はだれにも見えないけれど,『こころづかい』は見える。『思い』は見えないけれど,『思いやり』はだれにでも見える」という有名なフレーズがありますが,この詩は,次のように結ばれています。
             
あたたかい心が あたたかい行為になり
やさしい思いが やさしい行為になるとき
<心>も<思い>も 初めて美しく生きる
-----それは 人が人として生きることだ
 
 引き続き,ひとりひとりの生徒が,「命と恕の心」を大切にしながら,「あたたかい行為」と「やさしい行為」で溢れる学校となるよう指導してまいりますので,本年もよろしくお願いいたします。
 
福山暁の星女子中学・高等学校
校長 小野田 文明
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