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校長先生のお話

三学期始業式式辞
2018-01-06
 明けましておめでとうございます。
 こうして皆さんが大過なく元気な姿で登校してくれたこと,神に感謝するとともに大変嬉しく思っています。
 昨年は,皆さんの姿から元気とやる気,そして,教育に対する情熱を得た年でした。私は,マザーテレサの「神は,我々に成功など望んでいません。挑戦することを望んでいるのです」という教えにあるように,この一年は「挑戦(challenge)」という言葉を念頭に置いて邁進する決意です。
 皆さんは,どんな年にしようと思っていますか。
 「一年の計は元旦にあり」と言われるように,新年にあたって,いろいろな目標を立てたり,決心したりしたことと思います。
 パナソニックの創始者である松下幸之助は,「人と比較して劣っているといっても決して恥ずべきことではない。けれども,去年の自分と比較して,もしも今年が劣っているとしたら,それこそ恥ずべきことである」とか「どんなに悔いても過去は変わらない。どれほど心配したところで未来もどうなるものでもない。いま現在に最善を尽くすことである」と言われています。
 また,コロサイの信徒への手紙3章8~10節には「怒り,憤り,悪意,そしり,口から出る恥ずべき言葉を捨てなさい。互いにうそをついてはなりません。古い人をその行いと共に脱ぎ捨て,造り主の姿に倣う新しい人を身に着け,日々新たにされて,真の知識に達するのです。」とあります。すなわち,いつでも,どこでも,どんな状況にあっても,古い自分を捨てて,新しい人として生きることができるのだと教えられています。
 是非,日々最善を尽くしながら,古い自分を脱ぎ捨て大きく成長したと言える年にしていきましょう。
 
 さて,本校は、今年の10月20日(金)に70周年を迎えることとなります。戦後の混乱期に,四人のシスターたちが、母国にすべてを置きはるばる来日し,この地に一粒の種を落としました。崇高な使命を帯びたシスターたちのもと、未来を担う女性の教育のために「Women for Others」(他者のために生きる女性の育成)を建学の精神に開校され、今日まで歴史を刻んできました。
 開校当時の写真を見ると,小高い丘の上に,学校が建設され,周囲一面を見渡しても,田畑や更地が広がっているだけでした。それでも,日本復興のために,この地に学校を創り女性の教育を進めようというシスターたちの熱い思いがひしひしと伝わってくる1枚です。現在のように,周囲一面住宅や店舗が広がっている光景からすると隔世の感があります。
 当時,植えられた背丈ほどのヒマラヤスギも,今や,校舎より高くなるほどの成長を遂げています。
 そして,先ほど鎌田先生が朗読されたヨハネによる福音書12章24節「はっきり言っておく。一粒の麦は,地に落ちて死ななければ,一粒のままである。だが,死ねば,多くの実を結ぶ」という聖句の心は,本校では校章の麦として象られています。
 こうした本校の建学の精神や聖句の心に基づいた教育を受け,巣立っていった卒業生の皆さんは,経済・放送・医療・法曹・官僚・教育・芸術・芸能等様々な分野の中枢として活躍されています。まさに,四人のシスターたちの落とした一粒の種が,多くの実を結んで今日に至っています。
 これまで本校を支えてくださった皆さんに,改めて深く感謝するとともに,脈々と流れるカトリック学校としての歴史と伝統をしっかり受け止めながら学校生活を送っていきましょう。
 
 話は変わりますが,昨年度の世相を表す漢字は「北」という文字でした。ベスト10には,不穏の不,核兵器の核,乱世の乱,事変の変,暴力の暴と,朝鮮民主主義人民共和国の動向を想起させる漢字が多く入っていました。
 私も,こうした世界情勢を憂慮している所ですが,国内でも,かけがえのない尊い命が,蔑ろにされ,いとも簡単に奪われる事件が頻発していることに大変心を痛めています。
 赤十字の父と呼ばれ,1901年に初のノーベル平和賞を受賞したアンリ・デュナンは,「戦争は,人間の心の中で生まれるものであるから,心の中に,平和の砦を作らなければならない」と言っています。
 今だからこそ,たった一つしかない命の尊さや世界の平和を願う心についてしっかり考えていって下さい。そのためには,デュナンの言葉を皆さんの心の中に置き換え,友達への意地悪,嫌がらせ,いじめをしない,すなわち,友達を大切にすることが出発となります。このことは,本校の教育目標である「赦し合う心を育てる」を達成することに繋がります。是非,皆さんの心の中に,平和を愛する砦を築く一年にしていきましょう。
 
 6年生の皆さん,いよいよ後一週間でセンター試験となります。「成功した人とは,成功するまで諦めなかった人のことだ」と松下幸之助は言っています。不安になることもあると思いますが,焦らず諦めず堅実に努力することが大切です。また,「受験勉強は団体戦」と言われます。互いに激励しあいながら切磋琢磨するということです。これまでの学校生活の集大成です。体調管理にも十分留意して,合格を目指していきましょう。
校長 小野田 文明
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