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校長先生のお話

一学期始業式式辞
2019-04-05
  3月21日に,高校茶道部・マリアパン種クラブの14名が昨年度西日本豪雨災害で大きな被害を受け,仮設住宅での生活を余儀なくされている方から「なかなか地域の人々と会えなくなり,地域のみんなが交流できる場所がほしい」という声を聞き,少しでも元気になってコミュニティの再建とその応援になればとの思いで「復興まちづくり応援 お茶会」を現地で行いました。当日は,約50名の方を迎え,心温まる時間を過ごしたり,仮設住宅集会所で交流したり,ボランティアセンターでお話を聞いたりして被災者に寄り添ってくれました。その様子を,地元のケーブルテレビでも取り上げてくださるとともに,現地の人からは「こうしてお茶を頂けることも遠ざかっていたので,本当にありがたい。」等感謝のお言葉をたくさんいただきました。本校の精神でもある「愛と奉仕の心」を体現した素晴らしい活動であったことを踏まえ,先程,校長特別賞を授与いたしました。
 この他にも,ギターマンドリンクラブ,コーロ・ステルラクラブ,室内管弦楽クラブは初めて定期演奏会を実施し,参加された多くの皆さんから「素晴らしい演奏だった」「以前と比べても,相当レベルが上がっている」との声も頂きました。その他にも,部活動や勉強のために学校へ通い続けた人の姿もありました。それぞれ,成長を実感できた休みになったのではないでしょうか。
 さて,今日は,新たに二人の仲間を迎えてのスタートとなりました。皆さんは,この仲間とともに,平成最後と令和最初の学年を過ごすこととなります。令和は,万葉集の32首の序文にある「初春の令月にして 気淑く風和ぎ 梅は鏡前の粉を披き 蘭は珮後の香を薫らす」との文言から引用されたものであり,安倍首相は,「厳しい寒さの後に春の訪れを告げ,見事に咲き誇る梅の花のように,一人ひとりが明日の希望とともに,それぞれの花を大きく咲かせることができるようにとの願いを込めた」との談話を発表されました。
 私たちも,これに肖り,それぞれの花を大きく咲かせる年にしていきましょう。
 6年生の皆さん,ハードなスケジュールではありましたが,5日間の春期特別カリキュラム合宿を行いました。とても集中して臨んでいた姿が印象的でした。いよいよ最終学年としてスタートを切ります。「命は自分が持っている時間です。」その貴重な時間を有効に使いながら,チームとして,お互い激励し合ったり,教え合ったりしながら,夢の実現へ向けて邁進してください。
 5年生の皆さん,日々の授業を大切にして着実に学力を高めるとともに,生徒会活動・部活動をはじめ,運動会等の行事の中心となります。学校の推進役としての活躍に期待しています。
 皆さんは,新たな大学入試制度実施の最初の学年です。大学入試共通テストの実施とともに,英語の民間試験の活用,すなわち英語4技能の取扱いが大学ごとに違いが出ています。さらには,これまで以上に推薦入試のウェイトも大きくなりつつあります。その中で,主体的に多様な人々と協働していく力を問う動きも顕著になりつつあります。より主体的に学習に取り組み,分からない所は,しっかり質問をして,確実に理解していくことがとても重要です。
 3年生の皆さん,中学最終学年として,しっかりリーダーシップを発揮し,1・2年生を導いて下さい。本年度から,福山の企業等の訪問活動も加わります。これからは,学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・人間性等」の涵養や「主体的・対話的で深い学び」が求められています。こうした力を着実につけていくとともに,学習面・生活面・部活動・生徒会活動等の学校生活全般において,友を大切にしながら,思いやりに溢れた手本となる活動に期待しています。
 2年生の皆さん,林間学校やチャレンジセミナー・クリスマス奉仕活動等,学校外での活動が増えてきます。自己の成長を図れる絶好の機会です。これからの時代,5年生にも伝えたように主体的に多様な人と協働する力が求められています。ただ単に行事に参加するだけでなく,多くの人と触れ合い,他の人の意見にも耳を傾けながら,活動していくことが大切です。しっかり取り組んでください。また,明日から新たに67名の1年生が入学してきます。後輩たちを思いやりを持って優しく導いてくれることに期待しています。
 それぞれの学年に進級した皆さんへのメッセージを贈りましたが,これを達成するために,昨年同様,次の三つの力を身に着けてください。
 Empathy(共感する力) Grit(やり抜く力) Growth(学び続ける力) 
 頭文字を取って,EGGの力です。
 このなかでも,とりわけ,Grit(やり抜く力)を高めてください。そのためには,「興味あることを見つけ,それに打ち込むこと」「失敗を恐れずチャレンジし続ける習慣を身に着けること」「スキルより少し高い目標を定め,できそうなところからやり始めながら,小さな成功体験を積み重ねていく」こと等が大切であると提唱されています。
 この好事例が,先月引退したイチロー選手ではないでしょうか。メジャーリーグの選手として体格に恵まれないイチロー選手は,「人は必ず障害に出会う。誰もが負けそうになる。そこで頑張れる人間になりたい。前向きな姿勢で夢を持って歩いていきたい」「できると思っても出来ないことがある。でも,できないと思っていたら,いつまでもできない。とにかく,やってみる」と答えています。その後,大リーグでも首位打者2回,最多安打7回,新人時代から10年連続のゴールドグラブ賞等に輝き,名実とも大リーグを代表する選手となりました。そして,引退会見では「後悔などあろうはずがありません。自分なりに頑張ってきたということははっきりと言えるので,これを重ねることでしか,後悔を生まないということはできないと思います。」とコメントしています。まさに,大好きな野球に打ち込み,果敢に挑戦し続けながら,ハンディーを乗り越え夢を実現した姿がそこにありました。
 皆さんも,困難にあっても挫けない勇気・気概を持ち,挑戦し学び続けながら成長を確信できる年にしてください。
 さて、本年度の学校目標は、「命・恕の心を育む」としました。
 虐待,いじめ,身内への殺人,無差別な殺人等命を蔑ろにしている事件が後を絶ちません。また,身近な家族の突然の死に悲嘆にくれた人もいることでしょう。
 これまでも,機会あるごとに命の大切さについて触れてきましたが,本校のビジョンの一つでもある「命」を目標に掲げました。その尊厳と「生きる」ことの大切さについて考える年にしていきましょう。「恕」という文字は,昨年の目標の「恕し合う心」の恕と同じです。聖書が大切に教えている「ゆるし」の質をさらに向上させてほしいと考え,引き続き,目標としました。これまで積み上げてきた「恕し合う心」すなわち,「相手のことを自分のごとく思う心」,思いやりの心で溢れ,皆が安心して登校できる学校にして,皆さん一人ひとりの花が置かれた場所で大きく咲かせることができるようにしていきたいと強く願い目標といたしました。
 昨年までと違って,「育てる」ではなく「育む」とした意味合いは,「皆さん一人ひとりが,かけがえのない命と他者や友に対して思いやりを大切にしながら,心から愛情を注いで行動できる人になってほしい」との思いを込めています。自分自身で心の成長を感じられる年にしていきましょう。
 これからの人工知能革命の時代には,「クリエイティビィティ」「ホスピタリティ」「マネジメント」の三つの能力を持つ人材が活躍すると,世界の多くの識者が述べています。
 とりわけ,対人的能力としては,「ホスピタリティ」すなわち,思いやり・心からのもてなしが重要視されており,この目標と一致しています。
 聖書のペトロの手紙 第一 三章10-12は,次のように教えています。
 「命を愛し,幸せな日々を過ごしたい人は,舌を制して,悪を言わず,唇を閉じて,偽りを語らず,悪から遠ざかり,善を行い,平和を願って,これを追い求めよ。主の目は正しい者に注がれ,主の耳は彼らの祈りに傾けられる。主の顔は,悪事を働く者に対して向けられる。」
 さらに,よく歌う聖歌「ごらんよ空の鳥」の歌詞には,「ごらんよ空の鳥 野の白百合を まきもせず紡ぎもせずに 安らかに生きる こんなに小さな命にでさえ 心をかける父がいる」とあります。
 命は,自分が持っている時間です。命を大切にするとは,命を上手に使うことです。
 皆さん,この一年間,命と思いやりの心を育み,一人ひとりが持っている力を存分に発揮して,それぞれの花を大きく咲かせることができる一年にしていきましょう。
 最後に,相田みつをさんの「いのち無常」という詩を紹介します。
 『 いま ここにしかない あなたのいのち わたしのいのち 』
校長 小野田 文明
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