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校長先生のお話

中学修了式(卒業証書授与式)式辞
2019-03-20
 八十二名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。先程、学級代表に卒業証書を授与いたしました。今日は、他校へ進学する六名の友と過ごす最後の日でもあります。皆さんの胸中には,中学校生活三年間の三瓶での林間学校や大阪でのキャリアプラン,そして,奉仕活動や文化祭・記念祭バザー等,さまざまな思い出が去来していることでしょう。
 まもなく、卒業生の皆さんが生まれ育ってきた平成の時代を終えようとしています。この時代を思い返してみると、地下鉄サリン事件やニューヨーク同時多発テロなど全世界を震撼させた事件や阪神淡路大震災・東日本大震災、西日本豪雨などの自然災害が頻繁に発生し、甚大な被害をもたらし多くの尊い命が失われた時代でもありました。その爪痕は、今なお、私たちの心深く浸透し、忘れてはならない記憶として残されています。平和と人命の尊さを教えられた時代でもありました。
 平成最後の年である本年の二月十二日、昨年のアジア大会では6個の金メダルを獲得し、2020年東京オリンピックの有力選手として活躍が期待された競泳の池江璃花子選手が、白血病に襲われ入院生活を余儀なくされたという報道が突然飛び込んできました。それ以来、連日のように関連する話題が報じられました。池江選手の「自分に乗り越えられない壁はないと思っています」「さらに強くなった姿を見せられるように頑張っていきます」というコメントは、大変な病魔に侵され、オリンピック出場という夢が断たれかねないような失意のどん底に落とされる事態となっても、前向きに生きようとする強い決意は、多くの人が称賛と激励の声を挙げています。自暴自棄になりかねない試練や困難を与えられても、現状をしっかり受け止め力強く生きようとするその姿には深い感銘を受けます。一日も早い快復と復帰を切望して止みません。
 
 さて,これまで、何度も紹介してきた宮澤章二さんの「行為の意味」という詩の中に、「あたたかい心が あたたかい行為になり やさしい思いが やさしい行為になるとき 心も思いも 初めて美しく生きる …それは 人が人として生きることだ」というフレーズがあります。
 本年度の教育目標であった「恕し合う心を育てる」の「恕」、すなわち「おもいやり」は、これからのAI等が加速度的に私たちの生活に入り込んでくる社会では、益々強く求められます。訪れる予測不可能な時代の中で、「あたたかい行為」と「やさしい行為」は、豊かな人間生活を営む上でとても重要になることでしょう。
 最後に、かけがえのない命を大切にしながら、中学校生活を共に過ごした友との友情を更に育んでください。
 義務教育を終え,これからは,より主体的に学習していくことが求められます。皆さんの高校生活が、夢と希望に溢れ、幸多きものとなることを祈念し式辞といたします。
校長 小野田 文明
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