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校長先生のお話

三学期終業式
2019-03-20
 旧生徒会の皆さんが本校の活性化のために,生徒朝礼や文化祭・予餞会の企画運営等工夫しながら誠心誠意取り組んでくれたことに感謝するとともに,コンタクトソフトレンズ空ケース回収事業では,全校生徒の皆さんの協力もあり,感謝状を頂くなど多大な成果もあげてくれました。オープンスクールや入試説明会等で来校された多くの方から,学校紹介等の姿を見て「すばらしい生徒ですね」といつも称賛の声を頂いていました。本当にありがとうございました。その見事な活動ぶりから,先程,本年度の最優秀校長賞を授与いたしました。中原会長率いる新生徒会の皆さんも,きっと,素晴らしい生徒会活動を創りあげてくれるものと期待しています。
 
 本年度は,本校創立70周年の年度でもありました。戦後の混乱期に,四人のシスターたちがフランスから来福され,言葉,風俗,習慣,文化も違う国で,筆舌に尽くしがたい幾多の困難や苦労を乗り越え,一面麦畑であったこの深津の地に一粒の種を落とされました。それ以後,70年の歴史を刻み,建学の精神である「Women for Others」に基づく教育を受け巣立っていった卒業生は,今や9899名となりました。多くの卒業生の皆さんが,経済界・産業界等多岐に渡る分野の中枢として国内外で活躍されています。このことは,本校の大きな宝であり,私たちにも,大きな勇気と希望を与えてくれています。
 さて,皆さんは,この1年間の教育目標「恕し合う心を育てる」に少しでも近づけたでしょうか?
 私は,これまで,宮澤章二さんの「行為の意味」という詩の中の「思い」は見えないけれど,「思いやり」は誰にでも見えるというフレーズを紹介しながら思いやりの心の大切さについて触れてきました。この思いやりの心が教育目標の「恕」という字の意味につながっていることも承知していることと思います。
 本年度,この目標を胸に刻んで,誰ひとり,淋しい思いや辛い思いをすることなく,持っている力を如何なく発揮し,みんなが笑顔で楽しく希望に満ちた学校生活を送ってほしいと強く願っていました。多くの皆さんが,意識しながら学校生活を送ってくれましたが,学校へ登校しにくくなったり,笑顔で過ごせなくなったりした人がいたことに心を痛めています。
 コロサイ3章8節で「怒り,憤り,悪意,そしり,口から出る恥ずべき言葉を捨てなさい。互いにうそをついてはなりません。」と教えています。
 何気ないちょっとした一言でも,人を傷つけることがあります。互いに「思いやり」をこめて言葉を発し,「思いやり」を持って接することができれば,皆が笑顔で感謝の気持ちを持ちながら楽しい学校生活を送ることができるのではないでしょうか。
 さらには,Empathy(共感する力 Sympathy) Grit(やり抜く力) Growth(学び続ける力)…EGGの三つの力の大切さについても触れてきました。
 これらの力は,皆さんの持っている可能性をしっかり伸ばして行く原動力となるとともに,これからの時代を生き抜く上でもとても重要であると言われています。当面,Grit(やり抜く力)を意識して生活してみてください。
 まもなく,皆さんが生まれ育ってきた平成の時代を終えようとしています。
 阪神淡路大震災・東日本大震災・西日本豪雨災害と自然の驚異にさらされた時代でもありました。
 とりわけ,2011年3月11日午後2時26分に発生した東日本大震災は,死者15897人,行方不明者2533人,仮設住宅者約1万人という未だ多くの爪痕を残す未曽有の大震災でした。
 これまで,家族や学び舎を失い,生活したくても生まれ育った家でできない,学びたくても学び舎がないという状況に多くの人が追い込まれました。先日の新聞には,「暮らし復興 道半ば」「祈りの被災地 再生へ歩む」等の見出しが躍り,八年経っても,まだ復興への道のりが険しい様子を物語っていました。こうした中でも,「家族の分も前へ進む」という見出しには心打たれました。家族を失い,故郷を失いながらも,家族の分も含め前に進もうとしている姿が伺えます。まさに,キープ オン ゴーイングです。現在,私達は,かけがえのない命を授かり生かされ,何気ない日常を送ることができています。だからこそ,命を大切にするとともに,学び舎があることに感謝しながら精一杯学校生活を送らなければいけないのではないでしょうか。
 皆さんも,それぞれ一学年進級します。もうすぐ,新たな1年生や4年生も加わります。不安と希望を胸に抱えて入学してきます。暁の星へ入学してよかったと思っていただけるよう,思いやりの心で優しく迎え入れ,これまでの先輩たちが築いてくれた歴史と伝統をしっかり引き継いで行って下さい。
 本年度は,5年生の渡部楽さんが,「グローバル未来塾inひろしま」に参加し国際平和を考えるとともに,海外研修や英語演習に参加し大きく視野を広げてくれました。同じく5年生の開原弓喜さんが,21代平和大使として国連欧州本部を訪問する等世界平和と核兵器の廃絶についても訴えてくれました。
 その他,高校生議会・北京教育交流訪問団や本校でのドイツ研修旅行等他校他国の生徒との交流を深めた生徒も多くいました。
 また,本年度も,運動部のみならず,文化・芸術面での活動に対して,多くの賞を頂き表彰してまいりました。みなさんの緻密な努力の成果が如実に表れた結果と言えます。
 来年度も,多くの皆さんが様々な分野で活躍し,様々な体験を通して大きく飛躍してくれることでしょう。新学期からの皆さんの成長した姿を楽しみにするとともに,この春休み中,皆さんが元気に過ごしてくれることを祈念しています。
 
 なお,年間の最優秀校長賞は,次のような文面で,生徒会執行部の皆さんに授与いたしました。
 あなた方は,本校生徒のリーダーとして,愛と奉仕の心に基づき,エコプロジェクト・生徒朝礼・文化祭・予餞会等の企画運営はもとより,オープンスクール等の進行役も見事に努めてくれました。
 その活動ぶりは,本年度の教育目標「恕し合う心」,すなわち,思いやりに溢れており,まさに模範的な活動でした。
 ここに,年間最優秀校長賞として称します。

校長 小野田 文明
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