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校長先生のお話

三学期始業式 式辞
2024-01-06
 明けましておめでとうございます。久々にコロナの制限もない新年を迎え、決意新たにスタートを切ったことと思います。
 ところが、上下する地面のコンクリート、陥没した道路、崩壊した数多の家屋映像に震撼された元日の能登半島地震、炎上する飛行機映像、「はやく降ろしてください」と叫ぶ子供の声に379名の乗客の命を懸念した2日の羽田空港での飛行機衝突事故、騒然とするJR秋葉原駅の様子、刺された乗客を搬送する救急隊員の姿に言葉を失うしかなかった3日の山手線刺傷事件と正月三が日立て続けに放映されました。天災や人災により尊いかけがえのない命が奪われたり、人が傷つけられたりする報道に心を締め付けられる思いに駆られたスタートとなりました。とりわけ、能登半島地震では、発生以来、日々死者数が増え、本日の報道によると84名の方がお亡くなりになられています。羽田空港飛行機衝突事故でお亡くなりになられた方も5名おられます。犠牲になられた方々のご冥福とともに死を悼み、皆さんで黙祷を捧げましょう。

(黙祷)

 改めて、お亡くなりになられた方々への哀悼の意を捧げるとともに、断水・停電・交通等のライフラインも遮断された中で避難生活等を余儀なくされている方々に一刻も早い復興により、平穏な日常が取り戻せますように。
 昨日、読売新聞の「『72時間』望み捨てず」「消防団員 崩れた自宅残し」という見出しが目に飛び込んできました。リード文には、「生存率が急激に低下するとされる『発生から72時間』を過ぎても、救助関係者は『一人でも多くの命を救う』という望みを捨ててはいない。」と記載されていました。本文に目をやると瓦礫の下から「ここにおるよ」との祖父の声が聞こえたが大津波警報がけたたましくなった。泣く泣く高台にある避難所に向かった。夜に戻ると暗闇の中、衰弱した祖父母の声がまだ聞こえていた。チェンソーを使って柱を切り、祖父の顔を確認することができた。だが、その時には息をしていないように見えた。激しく潰れて重機がなければ救出作業が難しいことから、自宅は手つかずのままだ。「じいちゃんには、よく学校まで車で送ってもらった。ばあちゃんには、おいしいご飯を作ってもらった」。思い出が次々とこみ上げる。「じいちゃん、ばあちゃんを運び出してあげたいが、辛い思いをしているのは自分だけではない。一人でも助けられる命を助けたい」と自らを奮い立たせながら現場に立ち続けるという内容が記載されていました。私は、涙なしには読めませんでした。皆さんには、どう伝わったでしょうか。

 さて、6年生の皆さん、後1週間で共通テストが始まります。様々なニュースも気になるところですが、今は、この重要なテストへ向け、集中して全力で取り組みましょう。
 少し弱気になっている人は、先日の箱根駅伝を思い出してみてください。駒澤大学一強と言われるほど、本年度の出雲及び全日本大学駅伝ともに、一区から首位を譲ることがない強さ。大学生一万メートルの記録、トップ3の走者を揃え、この箱根駅伝でも一区から他の有力校に20秒以上の大差をつけての首位。この時点で、誰もが駒澤大学の優勝を疑わなかったことと思います。優勝した青山学院大学の原監督でさえ「勝てる確率はほぼほぼない。よっぽど駒澤大学さんが自滅しない限りは勝てない。それぐらいの状況でした」と勝つイメージが持てなかったと振り返られていました。しかし、そんな逆境をはねのけてつかんだ大会新記録での総合優勝。全員の快走はいうまでもなく、3区で一万メートルの記録では、1分以上遅い青山学院太田選手が、大学日本一と言われる駒澤大学佐藤選手に対して、22秒差をものともせず、猛追し、7km過ぎからの激しいデッドヒートの結果、4秒差をつけての首位に躍り出ました。佐藤選手の調子が悪かったわけではありません。想定通りの走りをしての結果だけに、太田選手の活躍は、多くの人に称賛され、「あの佐藤を抜いた」と青山学院大学の選手に勇気をもたらし、「あの佐藤が抜かれた」と駒澤大学の選手の焦りを生み出した結果、その後の区間ごとに差が開き青山学院大学に優勝をもたらしました。大八木総監督の「佐藤はよい走りをしていた。みんなタイムもいい。なのに負けた。」とコメントされているように、駒澤大学の往路記録も新記録でした。それだけに、一段と青山学院大学の選手の走りが素晴らしかったことが伺えます。決して諦めず、強敵にも果敢に立ち向かい目標としていた優勝をもたらした青山学院大学の選手の姿は、見事であり、改めて、私たちに多くの勇気と希望をもたらしてくれました。その挑む姿は、二学期終業式でもお伝えした片柳神父さんの諦めず最後まで信念を持ってやり抜くことの大切さを教示くださったことや本校で培った「Grit」(やり抜く力)を発揮することにも繋がります。ルカによる福音(11:9)の「求めなさい。そうすれば、与えられる。探しなさい。そうすれば、見つかる。門をたたきなさい。そうすれば、開かれる。」この教えに基づき、体調管理とともに諦めず最後まで目標を達成するための努力を積み重ねていきましょう。

 全校の皆さん、能登半島地震では、連絡が取れない安否不明の方が、依然として222名おられます。お一人でも多くの方のご生存をお祈りするばかりです。本校は、本日から始業を迎えましたが、学びたくても学びの場がなかったり大学受験も手につかない状況に追いやられたりしている同世代の人も多くいます。今、この学び舎があること、そして、学ぶ機会が与えられていることに感謝しながら、今学期の歩みを進めていきましょう。
 最後に、1月15日(月)から、堺井恵子先生がお産のためお休みに入られます。1年生の理科は、鈴木奈穂美先生、5年生の物理は、広島県立芦品まなび学園で指導されている河内治先生にお願いすることとなりました。これまでの時間割と違う点がありますので、三学期の時間割について、確実に確認しておきましょう。

 皆さんの更なる成長を願うとともに、一人ひとりが元気に自分らしさを発揮した学校生活が送れることを祈念し式辞と致します。

校長 小野田 文明
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