校長先生のお話
手のひらの歌
2010-03-01
福山暁の星女子高等学校では、高等学校を卒業するときに、各期に卒業名が贈られます。先日卒業した56期生には、「たなごころの会」という名前を贈りました。「たなごころ」とは、手のひらのことです。卒業生一人ひとりが、イザヤ書にある『女が自分の乳飲み子を忘れるであろうか。母親が自分の生んだ子を忘れるであろうか。たとえ、女たちが忘れようとも、私があなたを忘れることは決してない。見よ、私はあなたを私の手のひらに刻み付ける』というみことばのように、自分が神の手に名前を刻まれ、いつも見守られている大切な存在であるということを忘れないで、これからの人生において生きてほしいという思いがこめられています。
また、たなごころは『手の心』ともいわれます。私たちは生活の中で、意識していなくても、自分の心を相手に表すのに、手のひらをよく用いています。他人に何かをさし上げるとき、それを大切に両手で包み込みます。また、相手と心を通わすとき、励ますときには手を握ります。これからの人生で、卒業生が、それぞれの道で出会う多くの人々に、「たなごころ」をもって、暖かい思いやりの心を伝えていってほしいと願っています。
先日、『手のひらの歌』に出合いました。このような歌の存在を知りませんでしたが、歌詞を読みながら、「たなごころの会」のテーマソングにしてもいいなと思いました。
苦しいときには見つめよう 仕事に疲れた手のひらを
一人だけが苦しいんじゃない 皆苦しんでいる。
悲しいときは見つめてみよう ひどく荒れている手のひらを
一人だけで泣くんじゃない じっと、じっと我慢しろ
一人だけで泣くんじゃない じっと、じっと我慢しろ
皆で笑って見つめてみよう 汗にまみれた手のひらを
一人では何にもできない 皆で、皆手を結べ
一人では何にもできない 皆で、皆手を結べ
『人の手は神様の用いられる道具である』という言葉を聞いたことがありますが、卒業生がこれからの人生で、出会うすべての人を、やさしく包み、安らぎと励まし、喜びと希望をもたらす「たなごころ」として生きてほしいと心から願っています。
校長 朝廣絹子