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校長先生のお話

誰を招きますか
2008-10-01
  「私だったら誰を選んだろうか」と考えさせられた一つの小話と出合いました。
 
 ある女の人が庭の水撒きをしていると、三人の老人がそばを通りかかりました。彼女は彼らに「お疲れの様子ですね。よかったらうちで食事をされませんか」と誘うと、老人の一人が「ご主人はおられますか」と尋ねました。「夜に帰ってきます」と答えると、それまで待つということになりました。
 
  夕方帰宅した夫に彼女はその日の出来事を話しました。夫は自分の帰宅を伝えて、すぐに彼らを招くように言いました。彼女は三人を招きました。しかし、彼らは「三人のうち私たちは一人しか入れないのです。」と説明しました。妻が「なぜ」と聞くと、彼らの一人が自分たちを紹介しました。この人の名は“富”、この人の名は“成功”、そして私の名は“愛”です。さあ、ご主人とよく考えて誰を招くのかを決めてください。」
 
  妻は家に入り、夫に話しました。夫はとても喜び、「それはすばらしい。それなら、“富”を招いて家を繁栄させてもらおう」と言いました。しかし妻はそれに同意しませんでした。「どうして“成功”を招待しないのですか。」すると、部屋の隅で二人の話を聞いていた娘が走ってきて「“愛”という人を招待した方がいいんじゃないの?」と言いました。
 
  夫は考えてから、「娘の意見を聞きいれ、“愛”を私たちの家に招待しよう。」と言い、妻は老人たちに告げました。「あなた方のうちどなたが“愛”なのですか。我が家においでください。」 “愛”は車椅子で家の方に向かいました。すると他の老人たちも立ち上がって彼の後について行きました。妻は、彼らを叱って言いました。「招待するのは“愛”だけです。なぜ三人来られるのですか。」 すると彼らは声をそろえて答えました。「もし、“富”または“成功”を招待してくださったら、他の二人は外でじっと待ちますが、“愛が招待されたら私たちは彼と一緒にどこへでも行きます。愛のあるところに富と成功もありますから。」
 

  富、成功、愛・・・どれも私たちにとって価値あるものであり、どれを選ぶかは、選ぶ人の価値観によるところが大きいと思います。私たちの人生において、さまざまな価値あるものの中から、さまざまな価値あるものの中から、本当に自分を幸せにするものを選ぶことができる「識別力」を育てていきたいものです。

校長 朝廣絹子
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