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校長先生のお話

王様と賢者
2008-04-01
  「ああ、本当にそうだ」と思わず口にしてしまう小話を聞きました。
 
 ある王様が歯をすべて失った夢を見ました。王様は目が覚めると、この夢を解釈してくれる賢者を呼ぶように命令しました。最初に来た賢者はこう言いました。「何という災難でしょう! 抜け落ちた一本一本の歯は、王様のご親戚一人ひとりの死を意味します。」「なんと無礼なことを!」王様は怒って言いました。「よくも私にそんなことが言えたものだ。出て行け。」王様は家来を呼び、彼に100回の鞭打ちを命じました。 
 
  そして、もう一人の賢者を呼び寄せて、また見た夢を説明しました。彼は注意深く王様の説明を聞いて言いました。「王様、大きな幸せがあなたにあります。」「その夢はこういうことです。つまり、あなたは親戚の誰よりも長生きをします。」王様は顔を輝かせ、満面の微笑みを浮かべながら賢者に金貨100枚与えるように言いました。 
 
  賢者が王宮を出て行くとき、家来の一人は感嘆して言いました。「信じられない!あなたがした夢の解釈は、前の賢者の解釈と同じではありませんか。なぜ前の人には100回の鞭打ちが与えられ、あなたには金貨100枚なのか分からない」 
 
  「友よ、よく覚えておきなさい。」と二番目の賢者は言いました。すべては言い方次第です。人間にとっての大きな課題の一つは、伝え方を学ぶことです。」 
 

  このお話だけでなく、現実の私たちの日常生活においても、このようなことはよくあるように思います。伝え方によって幸せになったり、不幸になったりしますし、相手を傷つけることもあれば、相手に喜んで受け取ってもらえることもあるのです。確かに、真実を伝えなければなりませんが、その言い方によって、多くの問題を引き起こすことを意識することも必要でしょう。私たちは言葉というすばらしい賜物をいただいています。それをふさわしく使い、メッセージを伝えるならば、そのメッセージは私たちを活かすものとなるでしょう。

校長 朝廣絹子
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