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今月のおすすめ

2024年2月

日の入(いり)に時計の合へる余寒(よかん)かな               久保田万太郎

「余寒の候」は、まだまだ寒さが身に染みる季節ですが、日の入りの時刻は次第に遅くなってきます。その「日の入り」の時刻に時計がぴったり合っていることを確認して、ちょっとした感動を覚えているのでしょう。この冬もどうやら一番寒い時期は過ぎたようです。春に向かって準備を始めたいところですよね。
さて、今月も三冊の本を紹介します。防災やキャンプに役立つサバイバルテクニックの本・勇気を与えてくれる言葉を集めた本・そしてちょっぴり大人向けの小説です。

『ビジュアル「生きる技術」図鑑』

かざまりんぺい/著 誠文堂新光社

今年は北陸地方がお正月から大きな災害に見舞われました。わが身を振り返ってみると、いざ災害に見舞われたとき生き残るための知恵と工夫を働かせることができるのか、はなはだ不安になりました。この本はいざという時に役立つ「サバイバルテクニック」の基本を図解し、実践的なアイデアをたくさん紹介しています。具体的にはシェルターを作ったり、飲み水を作ったり、火をおこしたり…… 災害時だけでなくアウトドアでも役立つ内容がいっぱいなので、キャンプ好きな人にもお勧めです。

『超訳 猫が教えてくれた明日を生きる勇気の言葉』

白取春彦/編訳 山と渓谷社

著者の白取さんは自宅で18匹(!)の猫たちと暮らしているそうです。私も猫を飼っていますが、彼らは愛される天才であると同時に人間に癒しを与えてくれる存在でもあります。猫を飼っている人は皆、同じように感じるのではないでしょうか。ヘッセ,サルトル,シュバイツァー,ヘミングウェイなどの偉人も「猫に教えられた人物」として取り上げられています。多くの猫の写真もカラーで楽しめます。心穏やかに、愛と喜びある人生を歩むために、この本を読んでちょっとリラックスしてみませんか?


『ぼんぼん彩句』

宮部みゆき/著   角川書店

著者の宮部みゆきさんが同年代の人たちと作った「BBK」という会があるそうです。もともとは「ボケ防止カラオケ」を略したものだったそうですが、宮部さんの声掛けで「ボケ防止句会」の意味もつくようになりました。そのBBK句会で生まれた俳句をタイトルにして短編小説を書く、というアイデアから生まれたのがこの本です。(あとがきより)十二の俳句と十二の短編小説を楽しむことができる本です。冒頭で「ちょっぴり大人向け」と言いましたのは、けっこう不愉快な人物も登場するからです。ハッピーエンドが大好きな人には少々苦しい本かもしれませんが、ちょっと大人の世界を覗いた気分を味わえるかもしれませんよ。

2023年11月

われはもよわらはべなりき故郷(ふるさと)の山に椎(しひ)の実を拾ひてありき      若山牧水

「われはもよ」の「もよ」は感動の意を表す言葉で、~よ。~はまあ。くらいの意味です。子供のころ、ふるさとの山で木の実を拾って遊んだことよ。と、郷愁を味わっているのでしょう。皆さんも、子供のころにドングリを拾って遊んだことがあるかもしれませんね。直接経験したことなので、「き」という助動詞が使われています。文法の授業で習いましたね。さて、過ごしやすい秋が来ました。秋の夜長を楽しむ本を見つけに、図書館にもおいでください。

『絶滅してない! ぼくがまぼろしの動物を探す理由』

宗像充/著 旬報社

 「絶滅種」とか「絶滅危惧種」とかいう言葉を聞いたことがありますか?「レッドリスト」とは、国(環境省)がもういなくなった、または現在いなくなりそうな生き物を分類したもので、いなくなった種を絶滅種、いなくなりそうな種を絶滅危惧種と呼んでいます。著者の宗像さんは日本で絶滅したとされる動物の姿を追い続けており、『ニホンオオカミはきえたか?』『二ホンカワウソは生きている』などの著書があります。この本を読むと、絶滅したという判断を検証するための調査が行われていなかったり、目撃情報らしきものが上がっていたりして、「本当に絶滅しているのか?調べていないだけではないのか?」という気持ちになってきます。「常識」を疑ってみることも教えてくれる本だと思います。

『恐怖の扉がひらく!10行の怪談』

福井蓮/著 汐文社

「学校図書館の隠れたベストセラー」は、怖い話かもしれません。わが校でも『学校の怪談』など怖い本は大人気です。この本は三冊のシリーズになっていて、それぞれに「厄(わざわい)」「妖(あやかし)」「凪(なぎ)」と副題が付いています。ほかの本と違うのは、すべて10行の物語であるということ。「恐怖というものは日常の何気ない風景の中にひっそりとかくれている。」と著者は言います。わずか10行の物語の先にある恐怖を膨らませるのはあなた自身です。

『からだがよろこぶ副菜』

齋藤菜々子/著 誠文堂新光社

 献立を考えるとき、主菜は決まったけれど副菜をどうしようか、と悩むことはありませんか?この本は、「からだがよろこぶ」とタイトルにもあるように、野菜をいただく副菜76品を紹介した本です。外出先の食事や時間がない時などは、体に良くなさそうだとわかっていても、ついついファストフードに走りがち!週末はこの本からその日の主菜に合いそうな副菜を探して、作ってみませんか?

2023年7月

二十余樹大緑陰をなせりける               星野立子

「寄らば大樹の陰」は、あまり良い意味では使われませんが、大木の影はこの季節本当に頼もしいものですね。今年は暑い夏になりそうですが、坂道の樹木の陰のおかげで一息つけることもあるでしょう。この俳句の大樹は家の周りに植えられたものでしょうか。ひんやりとした感触まで伝わってきそうですね。さて、夏休みも間近となりました。図書館では長期貸し出しも始まっているので、ゆっくりと読書に取り組んでみてください。

『美術館を装う 名画アクセサリーの作り方』

くまごろ/著 KADOKAWA

 著者はアクセサリー作家のくまごろさん。コロナ禍ですべての暇つぶしをやり尽くし、床に寝転がってダラダラと天井を眺めていたとき、唐突に「レジンをしてみようかな」と思い立ったそうです。この本で紹介している作品は、数々の名画を思い起こさせる本当に素敵なものばかりです。レジンの基本やそろえる道具なども紹介されていますし、単純な工程の物から複雑な工程の物まで多くの作品が紹介されていますので、レベルに応じて挑戦してみてはいかがでしょうか。美的センスがあると自負している方に特におすすめしたい本です。バザーの生徒作品にもぴったりだと思います。

『キリンのひづめ、ヒトの指―比べてわかる生き物の進化』

郡司芽久/著   NHK出版

 著者の郡司さんの専門は「解剖学」です。私たちの体の中には、何億年にもわたる「進化の歴史」が刻まれていて、その歴史をひも解いていくのが解剖学という学問なのだそうです。この本では各章ごとにひとつの器官を取り上げ、その基本的なはたらき、進化について紹介しています。「解剖学」というと堅苦しく思えるかもしれませんが、この本は「からだ」を題材にしたエッセイを目指して執筆されたものなので、「理系の話はちょっと苦手」という人も気軽に挑戦できると思います。


『ワンス・ワズ・マイン(上下二巻)』

リズ・ブラスウェル/著 笹山裕子/訳 Gakken

 どこかがゆがめられた「もしも」の世界が描かれる、ディズニー・ツイステッドテールは何作か出版されていますが、この本はラプンツェルの魔法の髪に命を奪う力が宿った「もしも」の世界を描いたものです。『塔の上のラプンツェル』が大好きな闘病中のダニエラに、弟ブレンダンが「ぼくバージョン」ということでアレンジした話を語るという設定で物語が始まります。元になっている『塔の上のラプンツェル』のお話を知っているほうが、より楽しめるかもしれません。

2023年4月

春曙なにすべくして目覚めけむ           野沢節子

 「春はあけぼの」といえば『枕草子』を思い出す人も多いのではないでしょうか。春眠暁を覚えず、とも言われるこの季節、夜明け方にふと目が覚めてしまった軽い後悔を感じるような俳句です。作者は闘病中であり、一日病床にあるのに、なぜこの時間に目が覚めてしまったのか、と感じていたのかもしれませんね。さて、新年度が始まりました。いくら寝ても寝足りないこの季節ですが、図書館にも足を運んでみて下さい。

『JK、インドで常識ぶっ壊される』

熊谷はるか/著 河出書房新社

 作者の熊谷はるかさんは、父親の転勤により、中学三年生の夏、インドに引っ越しました。2021年6月、高校三年生で帰国するまでの約三年間をインドで過ごしたのです。コロナ・パンデミックの中、無力感と罪悪感に悶々としながら「なにかしなきゃ」という思いにかられ、インドで暮らした日々を本にするべく「第16回出版甲子園」に応募。グランプリを受賞したのがこの本です。高校生がインドで暮らして様々な文化や経験と触れ合い、自分のことばで表現したこの本は、きっと同じ年頃の皆さんの心に響くものだと思います。

『これ、台所でつくれます。』

農文協/編   農山漁村文化協会

 季刊雑誌「うかたま」の人気連載「お家で本格食品加工」5年分に連載以外で紹介した加工食品づくりの記事を加えた保存版です。漬物や梅干し、ジャムなどなら、お家で作った経験がある人も多いかもしれません。しかし、生芋こんにゃくやソーセージ、ベーコン、アンチョビ、発酵バターとなると、それはもう「お店で買ってくるもの」と考えてしまいますよね。この本ではそれらの加工食品づくりをそれぞれの手作りのベテランに教わって実際に作ってみています。心のゆとりがあるときに、挑戦してみてくださいね。

『世界のクジラ・イルカ百科図鑑』

アナリサ・ベルタ/編 山田格/監訳 黒輪篤嗣/訳 河出書房新社

 千葉県房総半島の東側の海岸に、大量のイルカが打ち上げられ、サーファーたちが何とか救助しようとしたニュースは記憶に新しいですね。哺乳類ということもあって、なんとなく身近に感じる鯨類(クジラ目 クジラとイルカからなる)には現在90の現生種がいるそうです。第一部では鯨類の生態に関する情報がまとめられ、第二部「種別の特徴と地図」では体の特徴からクジラやイルカの種を固定する鍵が述べられています。第三部は鯨類の「種目録」で、鯨類の種をグループに分けて一種ずつ順番に紹介しています。識別ポイントや種の説明固有の特徴など、イラストや写真も交えてとにかく情報満載です。クジラやイルカに興味がある人に特におすすめしたい本です。

2023年1月

冬が春にうつる素速さをよりも空にみる陽の沈むとき            長沢美津

 冬至を過ぎるとだんだん日が長くなって、季節の移り変わりを感じます。作者はきっと夕焼け空を見上げて、春の訪れを実感したのでしょう。コロナ禍が長引く中ですが、新たな年を迎えて心に期することもきっとあると思います。皆さんの2023年がよりよいものとなりますよう、お祈りいたします。今回はイラストや写真が楽しい本を紹介します。

『生きもの 毛 事典』

保谷彰彦/著 川崎悟司/イラスト  文一総合出版

 「毛」は狭い意味では哺乳類の体毛を、広い意味ではすべての生き物に生える「毛のようなもの」を指します。この本では後者を「毛」ととらえ、生き物に生えている多様な「毛」について紹介しています。実はホッキョクグマの肌の色は黒く、毛は中空で透明なのだそうです。この話だけでも面白いですよね。生き物たちの「毛」に隠されたヒミツを楽しんでみませんか?

『草つみ花つみクッキング』全3巻

農文協/編   農山漁村文化協会

 (1) 草と花のカラフルおやつ (2) イチゴとベリーのジューシーおやつ (3) 葉っぱでかおりのラッピング 以上三冊からなるクッキング絵本です。身近なところで採った草や木の実でおやつを作ったりラッピングしたり。もちろん正しい知識を持つことが必要ですが、身近な自然を生かして、お菓子や飲み物づくり、ラッピングなどに挑戦してみてください。

『世界の市場』

マリヤ・バーハレワ/著  河出書房新社

 この本は12の国々の市場を紹介する本です。24か所の市場それぞれにどんなお店があってどんな食材を売っているのか、どんな人たちが訪れてどんな料理を作るのかなど、イラストを使って分かりやすく説明されています。イスラエル・チリ・ハンガリー・モロッコなどなかなか訪れる機会のない国の市場を覗いたような気分になれるかもしれませんよ。イラストには「さがしてみよう」というページもあって、物探し・人探しのゲームとしても楽しむことができます。海外旅行が難しい現状ですが、この本で旅行気分を味わってみましょう。

2022年10月

秋の雲は空の真綿かやはらかき光となりて温みもたらす            窪田空穂

 今年は特別暑い夏だったように思います。9月も終わりになってようやく秋の気配を感じるようになりました。この歌はもう少し季節が進んで秋風が冷たく感じられる頃、秋の雲をあたたかく感じるという歌です。さわやかな秋日和を味わえる歌ですね。さて、今月も三冊の本を紹介します。

『名城を訪ねる旅 西日本編』

「名城を訪ねる旅」政策委員会/著  講談社

 令和の大普請が終わり、新しい姿になった福山城。皆さんもうご覧になりましたか?オープニングイベントには全国からお城好きの人たちが来福され、町がにぎわっていましたね。今月も築城400年記念のイベントがあるようですので、市のHPや広報などを調べてみてくださいね。この本は文字通り西日本の名城を紹介しています。福山城はリニューアル前の姿ですが、新しくなったお城と比較してみるのも面白いと思います。

『その本は』

又吉直樹/ヨシタケシンスケ/著   ポプラ社

 年を取って目が悪くなり本を読むことができなくなった王様が、二人の男に、世界中の『めずらしい本』について知っている者から話を聞き出し、その本の話を自分に教えるように命じます。一年後旅から戻ってきた二人が、もう起き上がることもできなくなった王様に、一晩ずつかわりばんこにいろんな人から聞いたいろんな本の話をするという本です。「エピローグ」にどんでん返しがあって、最後にクスリと笑えます。ヨシタケシンスケさんのイラストの「二人の男」が最高です。


『空の鈴―児島昌恵歌集』

児島昌恵/著  ながらみ書房

 本校の卒業生(6期生)児島昌恵さんの歌集です。一学期の終業式で校長先生が紹介して下さった二首の短歌は、この歌集の中に含まれています。尾道や鞆の浦など私たちにとって身近な土地で詠まれた歌もあれば、カリフォルニアの情景・東北の被災地なども描かれ、上野動物園のゴリラ・リキの歌まで。最後にアンジェラスの鐘が出てくるのも私たちにとってはうれしいですね。この本は児島さんからいただいた丁寧なお手紙とともに図書館に展示しております。ぜひ手に取ってゆっくりと読んでみてください。

2022年8月

カンナの花黄なるの如くなり子供出て来よ背戸の月夜に                   北原白秋

 今月は北原白秋の歌です。「背戸の月夜」とランプに例えられたカンナの花、そして「子供出て来よ」という呼びかけの組み合わせが面白いと感じます。ところでこの歌の「来」は、何と読めばよいでしょうか?カ変動詞の活用を思い出してみてくださいね。さて、今月も三冊の本を紹介します。夏休みのための長期貸し出しを行っていますので、図書館に来てみてくださいね。

『お天気クイズ①天気のことば・ことわざ』

勝丸恭子/著  小峰書店

 全四巻の「お天気クイズ」の本です。気象予報士からの挑戦状、ということで、各巻天気に関する50のクイズが出題されています。例を挙げると「七夕の前日に降る雨を何という?」とか「梅雨明けのころ吹く南風の名前には色がついている。何色かな?」などです。ちょっと難しいと思ったかもしれませんが、クイズはすべて四択なので、気軽に挑戦できますよ。答えを見て解説を読むことで、気象に関する知識も得ることができる、楽しくてためになる本です。お天気に興味がある人にお勧めします。


『遠慮深いうたた寝』

小川洋子/著   河出書房新社

 作家・小川洋子がこれまでさまざまな機会に書いたエッセイを一冊にまとめた本です。タイトルの『遠慮深いうたた寝』は今も続いている神戸新聞でのエッセイの連載のタイトルと同じです。「あとがき」によると著者は敬愛する内田百閒の随筆を「ありのままに出来事を差し出したにもかかわらず、なぜか深みのあるユーモアとともに人間の本質が映し出されています。一字一句にどれほどの精力を傾けたかと思うのですが、そんな様子はみじんもなく、まるでうたた寝をしている間に自然と書けてしまった、そんな気配を漂わせています。」と表現しており、そんな境地に少しでも近づければ、という思いのこもったタイトルとなっています。日常生活での出来事を著者がどのように表現しているか、味わってみてください。

『トウシューズのすべて』

富永明子/編集・著   誠文堂新光社

 幼いころ、トウシューズに憧れたことはありませんか?私にはトウシューズが魔法の靴のように思えました。しかし、もちろんトウシューズを履いただけで美しく踊れるわけではありません。見た目の美しさとは異なり、履きこなして踊ることはとても難しいシューズなのです。この本ではトウシューズの歴史や作り方、選び方、履き方、踊り方まで様々な角度からトウシューズについての取材をしています。101種類ものトウシューズのリストには圧倒されました。実際に踊る人も踊らない人も、トウシューズの魅力を満喫できる本です。

2022年5月

玻璃盤に露のしたたる苺かな                   夏目漱石

 今月は夏目漱石の俳句です。この句は漱石が二年間のロンドン留学から帰国した明治三十六年(1903年)に作られました。今から約120年前です。玻璃盤はガラスの器。初夏、みずみずしい苺が大きめのガラスの鉢に盛られている様子が想像できますね。


『漢字ハカセ、研究者になる』

笹原宏之/著  岩波ジュニア新書

 「漢字博士」として、辞書の編さんや国の漢字政策などに関わってきた著者。様々な当て字を得意になって書いていた小学校時代。秋桜をコスモスと読むのが許せなかった中学時代。進路に悩んだ高校時代。地名漢字を調べに出かけた現地調査など、漢字にまつわるエピソードを交えながら、漢字の魅力や研究者への道のりを語ります。漢字についてだけでなく、著者の様々なこだわりや、進路決定にまつわる体験なども書いてあるので、参考になります。


『COLOR DESIGN』

ingectar-e(インジェクターイー)/著    KADOKAWA

 サブタイトルは「カラー別配色デザインブック」です。配色をするとき、メインの色が先に決まってそこに何色を合わせるか悩むことがあるのではないでしょうか。この本は、「使いたい色が決まっているとき」に見たい配色ブックです。最初に一色主役の色を選べば、そこに合わせるおススメの色を提案してくれるすぐに使える一冊です。例えば「赤」は「赤」でも様々な赤がありますが、この本では「はじけるポップな赤」「ナチュラルで優しい赤」「子どもらしくかわいい赤」「大人の雰囲気ただよう赤」…などバリエーションも豊富です。配色によって同じデザインのものでもずいぶん印象が変わるので、見るだけでも楽しめる一冊です。

『こども手に職図鑑 AIに取って代わられない仕事100』

子どもの科学と手に職図鑑編集委員会/著   誠文堂新光社

 「将来AIが人の仕事を奪う」という話を聞いたことがある人は多いと思います。しかし、AIが働くことで逆に仕事が増えたり、新しい仕事が誕生したりこともあるのではないでしょうか。この本では将来性があり、長く続けられる100種の職業を厳選して紹介しています。実際にその職業で活躍している人に取材しているので、ナマの声を聴けるという点でも面白い本だと思います。親の世代が知らない新しい職業もあるので、親子で読んでみるのも良いですね。

2022年1月

冬さびて枯れたるごとき庭木立しづかに命養へるなり               窪田空穂

 一見枯れてしまったように見える冬の樹木。でも実はその中で静かに命は息づいているという意味の歌です。
「冬来たりなば春遠からじ」とも言います。私たちも春に向けての準備を整えたいものですね。
今月は小説以外の本を三冊紹介します。

マンガでわかる 高校生からのお金の教科書

小柳順治/原作 河出書房新社
 
 「お金」は、生きていく上で絶対に必要なもの。でもお金についてきちんと勉強する機会は意外と少ない気がします。この際お金や投資、株式や金融機関、各種カードなどについて勉強してみませんか。将来自分でお金を稼ぐようになったときに、きっと役立つ知識となります。本当は学校の授業でこういうことを教えないといけないのではないかと思います。

花のことば12ヶ月

川崎景介/監修  山と渓谷社

 皆さんは花が好きですか?花は私たちの日々の暮らしを豊かにし、彩を添えてくれるものだと思います。この本には87種類もの花が登場します。季節ごとに編集されていて、春から冬までそれぞれの季節の花について多くのエピソードが記されています。一例をあげると、冬の花シクラメンの花言葉は「遠慮」。王冠に花のモチーフをあしらうことを唯一了承してくれたシクラメンにソロモン王がお礼を言い、シクラメンが照れて下を向いたことに由来する花言葉だそうです。皆さんも好きな花の花言葉やエピソードを楽しんでみてください。

作家と猫

向田邦子 岩合光昭 夏目漱石 /他/著    平凡社

 実に49人の作家が猫について書いています。文章あり、マンがあり、詩ありと、バラエティーに富んだ内容です。猫好きの人はもちろん、猫を飼ったことがない人も楽しめる本です。冒頭が「猫の定義と語源」から始まるのも面白いです。表紙の写真は中島らも家の「とらちゃん」です。姉妹本として『作家の猫』という本もあるので、探してみてください。

2021年10月

秋を掌(て)にのせしと云へる葡萄かな          永井龍男

 作者は葡萄を手のひらにのせて、秋を体感しています。皆さんはどんな葡萄を思い浮かべましたか?世代によって思い浮かべる葡萄の種類は異なるかもしれませんが、ずっしりと手のひらに感じる重みそのものが「秋」だと感じる感覚は共感できるのではないでしょうか。今月はコロナ禍だからこそ読んでみたいパンデミックの本、写真が美しい野生ネコの本、イラストと英語で和食の魅力を伝える本、計三冊を紹介します。この三冊に限らず、秋の夜長の読書を楽しんでみてください。

パンデミック―世界に広がる恐るべき50の感染症

Peter Moore/著 加藤茂孝/監訳 丸善出版
 
 この本では50の感染症を紹介しています。それぞれの感染症について、起源・症状と影響・発生地域・歴史的大流行・治療法の開発・さらに生物兵器として用いられる危険性にまで言及しています。2019年12月の発生報告以来新型コロナウイルスに翻弄されている人類ですが、過去に大流行した感染症を参考に「敵」の姿を知り、学ぶことが感染症に立ち向かうための第一歩となるのではないでしょうか。

世界で一番美しい野生ネコ図鑑

水口博也・秋山知伸/編著  誠文堂新光社

 タイトル通り、とても美しい写真が印象的な本です。表紙はヒョウの子供の写真です。この時期特有のブルーの目が何とも言えない美しさです。絶滅の危機にさらされているネコ科の動物は、実に種の半数ともいわれています。この本を読むと、この美しい野生ネコたちと人間との共存が続いていくことを願わずにはいられません。この本の中の私のおすすめショットはp138のピューマのしっぽです。ぜひご覧ください。

世界に教えたい日本のごはん WASHOKU

川村淳平/著    淡交社

 「和食」は面白い!現在の和食は海外の食文化との出会いによって作られてきました。和漢の境・和洋の境をあいまいにし、超えていきながら独自の発展をとげてきたのです。ラーメンや洋食は、もはや日本独自の文化となっていますね。また、英語対訳なので楽しみながら英語の勉強もできるかも?イラストはとっても色鮮やかで美しく食欲をそそります。(色が鮮やかすぎてどの料理も濃い口に見えてしまうのが少々残念)この一冊で和食の美しさや楽しさが味わえるので、食いしん坊さんにおすすめします。


2021年7月

百日紅(さるすべり)涼しき木かげつくりけり        高橋淡路女

 サルスベリは夏から秋にかけて次々と開花します。公園などにも植えられることが多いので、皆さんも白や赤、ピンクのサルスベリを見たことがあるでしょう。枝の生育にばらつきがあるので、開花期が長く、「百日紅(ヒャクジツコウ)」の別名もあります。校内にもありますので、花かげで涼んでみるのも良いですね。今月は見た目も楽しい三冊の本を紹介します。

博物館のバックヤードを探検しよう!

DK社/編 小林玲子/訳    河出書房新社
 
 2021年6月に発行されたばかりの本です。サブタイトルは「博物館のすごい裏側大図鑑」。普段私たちは博物館の展示を見ることはあっても、なかなか裏側を覗くことはできません。この本は、世界の有名博物館の裏側を紹介しています。展示を行うためには、過去を整理し、歴史を保存していく必要があります。美しい状態を保つための苦労もあります。この本を読めば、今よりもっと「宝物の部屋」である博物館を楽しむことができると思います。

ヨーロッパの古城

スティーブン・ビースティー/画
リチャード・プラット/文 あすなろ書房

 「輪切り図鑑クロスセクション」の一冊です。本校には『帆船軍艦』の本もあります。表紙を見てまず驚かされるのは、その絵の細かさ!この本では主として1350年ころのヨーロッパの古城を紹介しているのですが、城の外見だけでなく、輪切りにした内部までも細かく描かれています。城の攻め方・守り方をはじめ、料理や娯楽・刑罰など城での暮らしぶりも具体的に書かれていますので、中世後期ヨーロッパに興味のある人にお勧めします。

音楽の肖像

堀内誠一×谷川俊太郎/著    小学館

 イラストレーター堀内誠一さんは、1987年に54歳で亡くなっています。この本は、生前堀内さんが描かれた音楽家の肖像とエッセイに谷川俊太郎さんが詩を添えられるという構成になっており、未発表の作品もあります。巻頭の『幽霊 H・Sに』という詩からは、お二人の関係も連想されて興味深いです。クラシック音楽が好きな人はもちろん、クラシックに詳しくない人でも、色彩豊かな音楽家の肖像を見るだけで楽しめる本です。


2021年5月

花揺れてスイートピーを束ね居る        中村汀女

 スイートピーはイタリアのシチリア島原産の一年草。今ではたくさんの品種がある花です。色とりどりのスイートピーにそよ風が吹いて可憐な花を揺らしている光景が目に浮かびますね。今年は二年ぶりの運動会が行われました。種目を減らしての実施ではありましたが、皆さんの活躍する姿を見てうれしい気持ちになりました。さて、今月も三冊の本を紹介します。

小学生なら知っておきたい教養366

齋藤孝/著    小学館
 
 タイトルを見て侮るなかれ!1日1ページ、1週間1テーマの編集で、楽しく読みながら点の知識を線につなげて「教養」を身につけることを目指した本です。「言葉」「文学」「世界」「歴史」「文化」「芸術」「自然と科学」という7つのジャンルがあるので、好きなものから読んでみるのも良いですね。次のクイズに挑戦してみてください。小学生に勝てるかな? 正解は…… 図書館に本を借りにきてね。
 ①人間が犬を飼いはじめたのは今からおよそ何年前?
 ②オペラ『トゥーランドット』を作ったのは誰?
 ③世界最高峰のエベレスト。中国では何と呼ばれている?

10分読書―明日の自分が確実に変わる

吉田裕子/著    集英社

 著者の吉田さんは、講演や研修を担当される際、よく次のように紹介されるそうです。「三重県四日市市出身。公立高校から塾や予備校を利用せずに、東京大学文科三類に現役合格、さらに教養学部超域文化科学科を学科主席で卒業…」そんな吉田さんから「読書しないともったいないよ!」と言われるとたいへん説得力があります。読書は「苦行」ではない。「いきなり意気込んでがんばりすぎないことが重要」と言われると、今まで読書が好きでなかった人も「まず10分からはじめてみようかな。」という気になるのではないでしょうか。読書の幅を広げる方法なども紹介してあって、もともと本が好きな人にもおすすめできる本です。

猫を飼うのをすすめない11の理由

響介/著    サンマーク出版
 
 「猫マスター」こと響介が、ひたすら猫への愛を語る一冊。タイトルは猫を飼うのを「すすめない」となっていますが、これは、猫を飼うにはそれなりの覚悟が必要という意味。「人生の8割を猫に持っていかれる覚悟があるなら猫のいる人生は最高」と語っています。著者は自宅に5匹・実家に2匹の猫を飼っていますが、その猫たちにもうメロメロ。猫を飼ったことがある人なら、誰だって「うちの子が一番!」と思うはず。猫を愛し、猫に愛される幸せな日々の記録?です。
 

2021年1月

はなみちてうす紅梅となりにけり        暁台

 「清楚な白梅、華やかな紅梅」というイメージが定着しているように思います。この句の「はなみちて」は花満ちて。満開になっても「うす紅梅」なのがかえって春の心を感じさせる気がします。「なりにけり」の「けり」は言わずと知れた詠嘆の助動詞。作者の思いを感じ取れますね。

図説 ヴィクトリア朝の暮らし

Cha Tea 紅茶教室/著    河出書房新社
 
 ヴィクトリア朝は1837年~1901年。この時代は紅茶を介してのコミュニケーションが英国の中産階級に浸透した時代だそうです。サブタイトルは「ビートン夫人に学ぶ英国流ライフスタイル」。当時爆発的なベストセラーとなった『ビートンの家政本』の内容を取り上げながら、英国の人々の暮らしに欠かせなかったティータイムについて考察します。お茶の時間を通して人との交流を深めていった様子がよくわかります。余談ですが、行きつけの英国風ティールームに「ハイティーセット」というメニューがあります。この本を読んで初めて「ハイティー」の意味を理解しました。異国の文化に興味がある人におすすめします。

風のことば 空のことば 語りかける辞典

長田弘/詩 いせひでこ/絵    講談社

 2015年に亡くなった詩人・長田弘さんの短詩をちりばめた本です。逝去までの11年間にわたり読売新聞「子どもの詩」の選者を務められた長田さん。選んだ子供の詩に添えられる「選評」だけを独立した本にまとめて出版したいという長田さんの遺志を実現したのがこの本です。この本を読むと詩人が語りかけてくるような不思議な気分になります。すべての見開きに入っているいせひでこさんの絵もとてもステキです。「どんな人もね、初めから自分じゃないんだ。/自分で自分であることを選んで、自分になるんだ。」(「自分」より)

なぜ僕らは働くのか

池上彰/監修    学研プラス
 
 タイトルからわかるように、仕事について考える本です。でも、単に仕事を考えるだけでなく、生き方や幸せについても考えさせてくれる本です。世の中にはいろいろな人生があり、いろいろな働き方があります。そして、生きていくにはお金がかかります。世の中にはいろいろな仕事があり、その仕事が誰かの役に立っている。どうやって働き、どうやって生きていくのかを考えるヒントがこの本には書かれています。中高生向きに書かれた本ですが、大人が読んでも面白いです。巻末に「おすすめキャリア本」の一覧もありますので、参考にして下さい。
 

2020年10月

眼のなかの秋の白雲あふれ去る              山口誓子
 
 雲を見て、秋の到来に気づくことも多いのではないでしょうか。白雲が浮かんだ秋の空を見上げて、まるで眼の中からあふれるように感じてしまう。秋の雲の量感を感じさせる句です。
 
 コロナ禍の中、いろいろな制約を受けながら日々頑張っている暁の星の生徒がたくさんいると思います。イベントの人数の緩和など、少しずつ日常が戻ってきつつあるように感じられますが、まだまだ先が見えない状況ですね。気がめいったときは気分転換に図書館をのぞいてみてください。楽しい本や、新しく寄贈された洋書などもありますよ。今回は美術館・博物館入門の本、ケセン語で伝えるイエスの言葉、そして猫又が主人公のファンタジー小説を紹介します。

『ミュージアムを知ろう』-なるにはbooks別巻

横山佐紀/著    ぺりかん社
 
 英語の「museum」は、美術館と博物館のどちらも指すことのできる語です。この本では敢えて「ミュージアム」という言葉を使い、そのはじまりや展示する空間、社会とのかかわりなどを紹介しています。ミュージアムの起源についての話は興味深く、「集めたい」という欲望に従って作られた「驚異の部屋」から近代的なミュージアムへの変遷の歴史をもっと調べたくなるかもしれません。美術館や博物館に行くと時のたつのを忘れてしまう方におすすめしたい本です。
 

イエスの言葉 ケセン語訳

山浦玄嗣/著   文藝春秋

 「ケセン語って何?聞いたことない!」と思った人も多いでしょうね。実はケセン語というのは岩手県気仙地方の言葉なのです。今まで何となく難しいと思っていた新約聖書の言葉が、ケセン語に訳されることによってストンと心に落ちてくる。そんな不思議な体験をさせてくれる本だと思います。欲を言えば、ネイティブスピーカーの発音で聞いてみたいと感じました。宗教科の吉井先生が紹介してくださった本です。

猫君

畠中恵/著  集英社
 
 猫が二十年生きると、尾が二股に分かれ人語を解する「猫又」になるという話を聞いたことがありませんか?この本は、しゃばけシリーズでおなじみの畠中恵さんが、猫又を主人公にして書かれた小説です。あとひと月ほどで二十年生きることになる「みかん」と、最近寝込むことが多くなっている飼い主のお香の会話から物語が始まります。猫又なのに「新米」というのがなんとも面白いのですが、新米猫又や猫又の学校「猫宿」の師匠たち、その他の猫又たちもたくさん登場します。「みかん」が仲間とともに様々な試練に挑む物語として楽しむことができると思います。
 

2020年7月

天の(あお)さ盗め盗めと飛ぶ噴水                      長谷川秋子
 
 夏本番間近です。夏の深い青空と吹き上がる噴水をイメージさせる句です。福山市役所前にも噴水がありますが、こちらは水が流れ落ちるタイプ。この句の噴水はやはり上に吹き上がるものがふさわしいように思います。
 
 新型コロナウイルスの影響で変則授業が続いていましたが、期末テスト後から元の50分授業に戻ります。東京都などでは感染者数がなかなか減らずまだまだ安心できない状況で気分も暗くなりがちですよね。今月は気分が明るくなるような本を中心に紹介します。

Zooっとたのしー!動物園

小宮輝之/著・写真    文一総合出版
 
 著者の小宮さんは、40年間動物園で働かれた方です。著者が実際に出会った動物たちの姿・不思議な行動・かわいい仕草・驚きの表情などを著者自身が撮影しているのが特徴です。写真集としても動物図鑑としても楽しむことができます。登場する動物はなんと233種類!!同じ個体を長く観察したからこそ撮れる写真や記事も満載です。

はぐれくん、おおきなマルにであう

シェル・シルヴァスタイン/著 村上春樹/訳 あすなろ書房

 この本は、倉橋由美子さんの翻訳で日本でもベストセラーになった『ぼくを探しに』の続編です。原題は『The Missinng Piece the Big O』 あるべきなのに欠けている部分・足りない部分=missing pieceを、訳者の村上春樹さんは「はぐれくん」と訳しています。さて、「はぐれくん」の書けている部分は見つかるのでしょうか?子どもは子どもなりに素直に楽しめるし、大人になるとまた別の読み方ができる本だと思います。

てしごと―おんな職人日乗

あさのあつこ/奥山景布子/小松エメル/他/著  徳間書店
 
 六人の女性作家による時代小説アンソロジーです。江戸時代に職を持った女性たちの物語がそれぞれ描かれています。「手」はその人の人生をよく表す身体のパーツの一つだと思います。蕎麦を打つ手・揉む手・彫る手…皆さんはどんな「手」に魅力を感じるでしょうか。私は、あさのあつこさんの『おもみいたします』に登場するお梅さんの「手」に惹かれました。中高生におすすめするなら西條奈加さんの『姉妹茶屋』でしょうか。謎解きの楽しさもある作品です。気に入った作品が見つかったら、その作品の著者の他の作品を探してみるのも楽しいですよ。

2020年6月

日に求めし青き一草日ざかりの中に光となりてまぎるる           村野 次郎
 
『樗風集』より。夏の日盛りの情景です。一むらの草を炎のように感じる季節も目の前ですね。
 
新型コロナウィルスの影響で休校が続いていましたが、久しぶりに全学年そろっての登校がかないました。やはり学校は生徒の皆さんがいて初めて命を吹き込まれるものだと実感する日々です。今月は夏にふさわしい浴衣の本・美しい海洋生物の本・少々変わった読書会の本を紹介します。

絶対ひとりで着られるはじめてのゆかた

主婦の友社/編    主婦の友社

 みなさんは「ゆかた」を持っていますか?一人で「ゆかた」を着ることができますか?格式の高い和服をひとりで着るのはなかなか難しいけれど、「ゆかた」なら中高生の皆さんも一人で着ることができます。この本では着付けだけでなく今どきのコーディネートや脱いだ後の片づけ方まで詳しく解説しています。今年の夏祭りや花火大会はお預けかもしれませんが、着付けを練習して近所をお散歩してみませんか?

美しすぎる海洋生物の世界

石垣幸二/監修・執筆    枻出版社
 
 著者の石垣さんは「海の手配師」と呼ばれている人。未知の深海生物の捕獲や展示を次々と成功させてあの『情熱大陸』にも出演されました。この本はタイトルの通り著者自らの眼で見た海洋生物を豊富なカラー写真とともに紹介するもの。表紙だけを見てもたいへんカラフルです。身近な生き物から珍しい深海魚や熱帯魚まで、楽しみながら知識を得ることができます。海に興味がある人には特におすすめします。
 

『罪と罰』を読まない

岸本佐知子 三浦しおん 吉田篤弘 吉田浩美/著   池田書店

 誰もが知っている名作、ドストエフスキーの『罪と罰』。そもそも宴席で居合わせた四人が四人とも『罪と罰』を読んだことがなく、世界的名作だけに「なんとなく知ってる」という状態。小説に携わる四人が『罪と罰』を読まずに秘密の読書会を開こうということになったわけです。許された情報は、『罪と罰』最初のページと最後のページの翻訳だけ。座談会形式で読みやすい本です。ちなみに、読書会の後で皆さん『罪と罰』を読まれており、その感想もあります。『罪と罰』を読んだことがないという人に特におすすめします。

2020年4月

誰に告げむ春の星座の金と銀           赤尾兜子
 
 「春の星座」と言われてもピンとこない人も多いかもしれません。そんなあなたのために、「春の星座の大曲線」をご紹介します。おなじみ北斗七星と、牛飼い座のアークトゥルス・おとめ座のスピカを結ぶ大きなカーブが「春の大曲線」で、春の星座のガイドラインになっています。星座早見盤を片手に、春の夜空を見上げてみませんか?さて、今月も三冊の本を紹介します。

こども六法

山崎聡一郎/著    弘文堂

 著者の山崎さんは、教育研究社・写真家・俳優など多くの顔を持った人です。自身でいじめの被害者と加害者の両方の立場を経験され、この本の必要性を痛感されたそうです。クラウドファンディング「いじめという《犯罪》を『こども六法』で無くしたい」によって資金が集められ出版に至ったこの本は、今大きな話題となっています。法律は私たちの安心・安全な生活を守るために決められたルールです。子どもにも関係のある法律・知っておいたほうがよい法律をピックアップし、普段使っている言葉でわかりやすく説明することが、きっと子どもを守ることにつながっていくと思います。
 

猫に生まれてよかった

山口玲子/著    文芸社
 
 タイトルからも想像できるように、猫の視点で書かれた小説です。ノラ猫出身で事故にあい、人間の「れれ」に飼われることになった「まる」が、だんだん人間に心を開いていく様子が描かれています。後から「ちい」と「もも」の二匹も加わり、ちょっとした事件なども起こりつつ、ほのぼのとしたお話が展開していきます。著者の山口さんは広島県出身で、市民団体「ペットマナープロジェクトおのみち」のメンバーでご自身がノラ猫「まる」を育てられた経験がこの小説の下敷きとなっているそうです。猫好きな中学生におすすめの本です。
 

マンガでわかる明智光秀

柴裕之/監修   池田書店

 2020年のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』の主人公としてもお馴染みの戦国武将、明智光秀。この本は光秀の人物像はもとより、周辺の人物や戦国時代の政治・社会などについてもわかりやすく解説した本です。近年、最新の資料を基に歴史上の人物の実像を見直そうという動きが出てきています。信長像の見直しとともに、信長を支えた家臣たちの「実像」も見直され始めており、その意味でも面白い一冊だと思います。この本のほかにも「マンガでわかる」シリーズが図書館に入っていますので、読んでみてください。

2020年1月

かたまつて薄き光のすみれかな           渡辺水巴
 
 新年あけましておめでとうございます。新たな決意と希望を胸に新年を迎えられたことと思います。暖冬といわれている今年の春にふさわしい句をご紹介します。菫は小さいけれど凛とした美しさを持った花。そんな菫が固まって咲いている山上の空間は「薄き光」に満ちていて暖かささえ感じられますね。
 さて、今月も三冊の本を紹介します。「本当の頭のよさ」について考える本、「ハイジ」にまつわる歴史的問題などを考察した本、手作りアクセサリーの本です。
 
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本当の「頭のよさ」ってなんだろう?

齋藤孝/著    誠文堂新光社
 
 「頭がよい」ってどういうことだと思いますか?中学生や高校生の皆さんは成績が良いとか偏差値が高いことが「頭がよい」ことだと考えるかもしれません。ところが著者の齋藤孝さんは「そうじゃない」と言います。本文を引用します。「学生という立場が終わって社会人になると、頭のよさを測るものさしが、突然変わります。『勉強ができること』から『社会に適応できること』に切り替わるんです。」もちろん勉強をおろそかにしてよいわけではありません。齋藤さんはこうも言っています。「勉強は、頭の基礎トレーニングなんです。」「勉強を甘く見ると、その後の人生が大変になります。」この本を読んで、「生きること」についてもう一度考えてほしいと思います。

「ハイジ」が見たヨーロッパ

講談社/編    講談社
 
 「ハイジ」といえば世界名作劇場の『アルプスの少女ハイジ』を連想する人も多いでしょう。誰もが知っている名作アニメですね。この作品の原作は、1920年に野上彌生子によって翻訳され、日本に紹介されました。今では『ハイジ』の訳は絵本や簡約本などを含めれば300種を超えるといわれています。本書では第一章で『ハイジ』が日本に受容された歴史をたどり、第二章以下では原作『ハイジ』に出てくるスイスに特徴的なテーマ・歴史的問題を考察しています。おじいさんの履歴やスイスの食糧事情等、興味深い話題にもふれており、スイスの歴史や経済・宗教にまで言及しています。

ビーズで作るおめかしアクセサリー

ちばのぶよ/著   日東書院
 
 著者のちばのぶよさんは、ラスベガス在住の作家さんです。主に花・果物・小動物をモチーフにしたリアルなのにかわいい作風が人気です。この本は母と娘で一緒にアクセサリー作りを楽しむことを想定して書かれています。スワロフスキーパールやビーズを用いたおめかし用のアクセサリーがとても可愛いです。小学生の妹さんや、いとこのために作ってあげても喜ばれること間違いなし。基本の道具や材料の紹介はもちろん、実物大の図案もあって挑戦しやすいと思います。細かい作業が好きな人に、特におすすめします。 

2019年11月

  ラグビーのジヤケツちぎれて戦へる           山口誓子
 
 先日行われたラグビーワールドカップ2019では、日本中が熱く盛り上がりました。選手が激しくぶつかり合う力強い場面も、鮮やかにパスをつないでトライが決まる美しい場面も数多くありました。日本での開催をきっかけにラグビーファンになった人もたくさんいることでしょう。「ラグビー」は冬の季語です。これから始まる国内のトップリーグも盛り上がると良いですね。
 さて、今月はノーベル化学賞を受賞した吉野彰さんおすすめの本、大人の絵本、そしてカラフルな図鑑の三冊を紹介します。
 
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ロウソクの科学

ファラデー/著  三石巌/訳    KADOKAWA
 
 1861年にイギリスで出版された本です。ロンドンの王立研究所で催されたクリスマス講演6回分の記録で、講演者はマイケル=ファラデー。ファラデーの法則で知られる人物です。吉野彰さんが科学に興味を持たれたのはこの本がきっかけだったそうです。ファラデーの言葉を引用します。「ロウソクの身の上には、あちらから見てもこちらから見ても、興味をそそる話の種だらけでして、それが科学のいろいろな分野につながる道の多様なことは、まったく驚くほかありません。この宇宙をまんべんなく支配するもろもろの法則のうちで、ロウソクが見せてくれる現象にかかわりをもたないものは一つもないといってよいくらいです。」子どもたちを対象とした講演なので難解な言葉が少なくわかりやすいです。

君に会えてよかった

講談社/編    講談社

 「自分はひとりぼっちだ」と思うことはきっと誰にでもあるはず。そんな時支えてくれるのは「君」の記憶だったり「君」の言葉だったりするのかもしれません。実際にはなかなか言葉にできない、大切な人への思いが詰まった本です。『トイ・ストーリー』『アナと雪の女王』『ミスターインクレディブル』『モンスターズインク』『美女と野獣』などディズニーやピクサーのキャラクターのイラストが全ページを彩っているので、以前観た映画を思い出す人も多いでしょう。言葉が心に響く大人の絵本です。

博学王13と2分の1のビックリ大図鑑

DK社/編   集英社
 
 世界でもトップクラスの図鑑の出版社DK社。DK社の図鑑はそのヴィジュアルの美しさと内容の面白さで高い評価を得ています。この本ももともと英語で出版されたものを日本語に翻訳したものです。図版をちょっと見ただけで、「普段見ている日本の図鑑とはちょっと違う!」と感じるはずです。内容も生物・天体・言語・お金の話など盛りだくさん。あなたの知識欲をきっと満たしてくれるはずです。
 

2019年9月

  まっすぐの道に出でけり秋の暮(くれ)           高野素十
 
 「秋の暮、ふと眼前に開けた道は、まっすぐな道であった」難解な言葉を用いることなく、ストレートな句だと感じます。作者は吟行にでも出ていたのでしょうか。秋の日が落ちようとしているその時にまっすぐな道が目の前に現れたのでしょう。私たちも似たような体験をすることがありそうですね。
 暑さもピークを過ぎ、読書の秋が近づいてきました。今月は、見て楽しめる本を中心に紹介します。
 
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リアルサイズ古生物図鑑 古生代編

土屋健/著  技術評論社
 
 現代の景色に紛れ込んだ古生物のサイズ感を楽しめる本です。生命は誕生から数十億年をかけて顕微鏡サイズで少しずつ進化してきました。それが先カンブリア時代末に突如として大型化します。「肉眼で見えるサイズ」の化石が確認できるのはこの時期以降です。その後様々なサイズをとるようになった生命ですが、特に古生物はサイズを実感しにくいもの。現代の情景に配置された古生物の姿を鮮やかなイラストで楽しんでください。

日本200年地図

今尾恵介/監修  河出書房新社
 
 この本は、江戸時代から現代に至る地域の変遷をたどる地図集です。全国47都道府県の中から161の都市・地域を選んでいます。基本的に①伊能図 ②明治・大正期 ③昭和戦前期④高度成長期(昭和40年代) ⑤平成30年の5図で構成されています。広島県の地図は広島市内のほかに福山・呉の地図もあります。暁の星の場所を確認してみてください。

むらさきのスカートの女

今村夏子/著   朝日新聞出版
 
 第161回芥川賞受賞作です。「むらさきのスカートの女」を見つめる「黄色いカーディガンの女」がなんだか怖い。爽快な読後感は味わえないけれど、言葉にしがたい感情にとらわれる気がする本です。著者の今村夏子さんは広島市出身。ファンに言わせると、著者の作品にしては「普通で読みやすい」そうです。この本が気に入って、もっと強烈に心を揺さぶられたければ先行の『こちらあみ子』『あひる』も読んでみてください。

2019年6月

  (わか)(かえで) 枝を平らにうち重ね           富安風生
 
 生えだして間もないころの楓の若葉を「若楓」と言うそうです。皆さんは学校の桜の坂道の入り口と出口に楓の木があるのを知っていますか?紅葉の季節だけでなく新緑の季節も美しい楓。その楓の木が、暁の星の生徒の登下校を見守ってくれていると思うとなんだか心強いですね。
 
 
 
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藤井恵さんの体にいい和食ごはん

藤井恵/著  Gakken
 
 皆さんのお家では、どんなメニューが人気ですか?イタリアン?それとも中華?カレーやオムライスといった洋食メニューでしょうか?学校のデリバリー弁当で人気のメニューは唐揚げやハンバーグなどお肉のメニューで、魚が主菜の日は注文が少ないと聞きます。この本は、さっぱりと食べられて体にも良い和食のレシピ140品を紹介しています。著者が特にすすめる食材は魚(特に青魚)・大豆や大豆加工品(豆腐など)・海藻です。疲れた胃腸にやさしい和食を見直すことで体調が改善されるかもしれませんよ。

二度読んだ本を三度読む

柳広司/著  岩波新書(1776)
 
 「本書が若い人たちにとっては『初読み本』のガイドとなり、同時に年齢を重ねた人たちにとっての再読の機会となれば、著者としてこれに過ぎる喜びはありません。(著者あとがきより引用)」とあるように、若い人はもちろん、全ての人への読書案内となる本です。『月と六ペンス』『それから』『怪談』『シャーロック・ホームズの冒険』…などバラエティーに富んだ作品が取り上げられています。何回も読むに値する本に出会うためにはまず一度読んでみなくてはなりません。著者の柳氏の作品は暁の星の図書館にも7冊あります。小説家が若いころ読んだ「特別な作品」を読んでみませんか。

備陽史研究第26集―備後史探訪の会紀要

備陽史探訪の会/編
 
 備陽史探訪の会は、備後を中心とした地域の歴史を研究する会で来年発足40年を迎えるそうです。第26集の内容は「風雲の神辺城―その築城から神辺合戦まで―」「中世栄えた城塞港町 深津―深津高地を考える」「水野家時代福山城下明細地図にみる水野藩士詳細(一覧)」です。中でも深津高地というのは今まさに暁の星の校舎が建っているこの場所です。身近な土地の歴史を写真とともに楽しむことができます。同じく備陽史探訪の会が編集した『山城探訪 福山周辺の山城三十選』とともにおすすめします。

2019年4月

 山路来て何やらゆかしすみれ草            芭蕉
 
 この句の出典は『野ざらし紀行』です。教科書にもよく取り上げられるので、知っている人も多いかもしれません。京都から大津への山道を歩いていてふと足元を見るとすみれの花が咲いている。その様子に何となく心をひかれる、というほどの意味でしょうか。すみれの花の色は紫であることから芭蕉が「紫のゆかり」に思いを馳せたのではないかという説もあります。芭蕉と『源氏物語』がつながるなんて、面白いですね。
 
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ハンディ版よくわかる日本のキノコ図鑑

保坂健太郎/監修  Gakken
 
 日本には約5000種のキノコが存在するといわれています。第一章は見て美しい「美人キノコ写真館」第二章は「危険!毒キノコ」第三章は「食べられるキノコ」第四章は変わったフォルムや色のキノコを集めた「森を彩るキノコたち」第五章は「変なキノコと仲間たち」…と続きます。食べておいしいキノコですが、身近な「シイタケ」を取り上げてみても自生しているものは市販の物とは比べ物にならないほどおいしいそうです。普段はあまり目にしない青いキノコや緑のキノコの写真などもあります。この本を読んでキノコに関する知識を増やしてみませんか?

猫がいなけりゃ息もできない

村山由佳/著  集英社
 
 この本は軽井沢在住の小説家・村山由香さんが2017年8月から2018年7月にWeb連載していたものに加筆・修正を加えて出来上がりました。92歳で一人暮らしをしていた父親が急逝し、当時9歳だったラグドールの〈青磁〉を引き取って猫が5匹になるところからこのエッセイは始まります。5匹の猫の中でも作者にとって特別な存在だったのは最長老17歳の三毛猫〈もみじ〉。生まれたときに取り上げ、そこから常に一緒にいて作者の半身のような存在の〈もみじ〉が扁平上皮癌・平均余命三か月と診断されます。もみじを見送るまでの日々や人々とのふれあいが心にしみます。猫好きの人にもそうでない人にも読んでほしい作品です。

万葉集―日本の古典をよむ④

小島憲之・木下正俊・東野治之/校訂・訳  小学館
 
 新元号「令和」の出典となったことで話題となっている『万葉集』は現在書店でも品薄の人気だそうです。この本には「梅花の歌32首併せて序」の部分は載っていませんが、解説とともに万葉集の歌を楽しめるように編集されています。「万葉の時代」と言われるのは、いわゆる飛鳥時代から奈良時代の中ごろまでの約130年間です。日本最古の歌集として知られる『万葉集』には若々しく生きる力に満ちた歌が満ちています。梅花の歌の序文が詠みたい人は、「日本古典文学大系7」万葉集②をどうぞ。こちらも図書館にあります。

2019年2月

 冬ながらそらより花のちりくるはくものあなたははるにはあるらむ      清原(きよはらの)(ふか)養父(やぶ)
 
 清少納言の曽祖父・清原深養父の歌です。冬なのに空から花が散ってくる。古文では「花」といえば通常桜の花を指します。もちろん雲の上から桜の花びらが降ってきているわけではありません。「雲の向こうは春なのだろう」と言っていることから季節は冬。空から降っているのは雪なのです。春を待ち望む気持ちが詠まれた歌なのですね。
 今月紹介する本は、いろいろなジャンルから選んでみました。テーマはおにぎり・サメ・ルイ14世です。お楽しみください。
 
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主役はごちそうおにぎり‐つまみにポテサラ、シメのホットサンド

Tesshi/著 KADOKAWA
 
 私たちにとって身近な「おにぎり」。おにぎりといわれて連想するのは白いご飯をにぎったもの、あるいはそれに海苔がまかれたものではないでしょうか。その常識を覆してくれるのがこの本です。まず表紙の写真にびっくり!ページをめくると、カラフルなおにぎりのラインアップを見ることができます。ベスト10の中からいくつか紹介しますと、①「ベーコン菜っぱ炒めでおにぎり」②「鮭と天かすのおにぎり」③「炒り卵の酢めしおにぎり」④「梅干し&おかか菜っぱの焼きおにぎり」など、どれもおいしそうです。おなか一杯食べたいときにおすすめの本です。

ほぼ命がけサメ図鑑

沼口麻子/著  講談社
 
 サメが大好きで自ら「シャーク・ジャーナリスト」という肩書を作った著者が、サメについて語った本です。著者は読者にサメに対する「誤解」や「偏見」を解くべく、第一章では「サメのよろず相談室」を設けて質問に答え、第二章では著者が身をもって体験したサメを図鑑仕立てで紹介しています。第三章は「わたしの世界サメ巡礼」サメは食べてもおいしいそうで、サメ料理も紹介されています。サメに対する冤罪を晴らして正しい知識を広めたいという著者の情熱が伝わってくる本です。
 

図説ルイ14世 太陽王とフランス絶対王政

佐々木真/著  河出書房新社(ふくろうの本)
 
 四歳八か月で即位してから72年間在位し、「ギネス世界記録」にも認定されているフランス国王。それがルイ14世です。この本は多くの肖像画や、ヴェルサイユ宮殿をはじめとする建造物の写真などを取り入れて、ルイの誕生から晩年までを描いています。著者は、「ルイ14世ほどそのイメージと実態との乖離が激しい王も稀である」と言います。絶対王政とそこでのルイ14世の役割、さらに芸術政策についてもくわしく解説している本です。

2018年12月

   冬日(やはら)か冬木(やはら)(いづ)れぞや           高浜(たかはま)虚子(きょし)
 
 冬木とは葉を落としつくした木のことをいうそうです。冬日が柔らかいというのは感覚的に理解できるような気がしますが、冬木の美しさを「柔か」と表現するのは凡人にはなかなか難しそうです。
 私はこの句を読んで、北向きの部屋の柔らかな日差しを好んだという西洋の画家フェルメールやレオナルドを思い浮かべました。虚子と彼らが共通の感覚を持っていたとしたら面白いですね。
 さて、今回も三冊の本を紹介します。今回は見て楽しめる本を中心に選んでみました。
 
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ねこの商売

林原玉枝/著 二俣英五郎/絵  福音館書店
 
 著者の林原玉枝さんは尾道出身。本校の13期生で、児童文学者として活躍しておられます。この本は可愛らしい装丁の絵本で、『ねこの商売』というタイトルのとおりネコが「猫の手」を貸す商売をするお話です。商売といっても物を売るわけではなく、ネコが客引きをして報酬に花かつおの晩ごはんをいただくというわけです。幸福堂というおまんじゅうやさんが「まねきねこ派遣協会」に電話をかけるところから物語が始まります。千光寺ならぬ万光寺が出てきたりして、ローカルな楽しみ方もできます。猫好きな方には特におすすめです。

読むパンダ

黒柳徹子/選  日本ペンクラブ/編  白水社
 
 その可愛らしい風貌のせいか、人気の高いジャイアントパンダ。2017年6月に上野動物園でシャンシャンが誕生したこともあり、もちろん日本でも大人気です。この本には、1972年に日本に初めてパンダがやって来た時の話から、シャンシャンの誕生までのエピソードやパンダについての雑感など様々なエッセイや対談が収録されています。パンダが大好きな黒柳徹子さんが選ばれただけあって、パンダに対する愛情があふれた本です。執筆メンバーも小説家の浅田次郎さんから『しろくまカフェ』を描かれた漫画家のヒガアロハさん、映画『パンダコパンダ』の監督高畑勲さんなどバラエティー豊かなメンバーです。表紙や裏表紙のパンダの写真にも癒されます。
 

料理の科学大図鑑

スチュアート・ファリモンド/著
辻静雄料理教育研究所/日本語版監修 河出書房新社
 
 冒頭に〝読者であるあなたが、食品と料理の科学についての理解を深め、創造性の扉を開けられるようにすることが筆者の狙いです″とあるように、通常の料理本とは一味違った本です。160以上の料理についての難問を集め、最新の科学に基づいた有意義で実用的な紹介をしています。今までの「常識」が覆されることもしばしば。理詰めで納得したうえで料理に取り組みたいタイプの方にはうれしい本だと思います。

2018年10月

 破(や)れ蓮(はす)の動くを見てもせりふかな      初代中村吉右衛門

 江戸明治期の役者にとって俳句は嗜みだったそうです。明治生まれの初代中村吉右衛門も良い句を残していて、この句はそのうちの一つです。熱演型の役者だったといわれる初代吉右衛門。池の破れ蓮が風に動くのを見てせりふが口をついて出てくる様子がうかがえます。さて、どんなセリフを口にしたのでしょうか。
 『読書の秋』がやってきました。猛暑が去って過ごしやすくなったこの時期に、お気に入りの本を楽しむのはとても幸せで贅沢な時間の使い方だと感じます。今月も三冊の本を紹介します。
 
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珍獣ドクターのドタバタ診察日記

田向健一/著  ポプラ社
 
 「珍獣ドクター」ってどんなドクターなのでしょう。著者の田向先生は田園調布動物病院の院長を務められています。学生時代から「いろんな動物をみられる獣医さんになろう」と決めて、今までに百種類を超える動物を診察されてきました。犬や猫はもちろん、ネズミ、サル、ブタ、カエル、ヘビ、カメ、金魚、イモリ、珍しいものではフェネック、ワラビー、アリクイまで診察されたそうです。実際に行われた治療の様子や工夫、先生が獣医を目指した理由、そして「命」との向き合い方などが読み易い文体で書かれています。動物好きな人、獣医を目指そうと思っている人には特におすすめしたい本です。

悠久の宙(そら)

KAGAYA/著・写真  河出書房新社
 
 「デジタルペインティング」の世界的先駆者 KAGAYAの三冊目の風景写真集です。「天空の入り口」「フローズンナイト」「アメージングスカイ」「畏敬の詩」の四部構成で、宙と地球のいろいろな表情を見ることができます。本当にこんな風景が地球で見られるのかと感嘆し、畏敬の念を抱かずにはいられません。凍り付くような空気の冷たさまで感じさせてくれる「フローズンナイト」は私のおすすめです。
 

真夜中の電話(ミステリーの小箱・謎解き物語)

赤川次郎/著  汐文社
 
 全5巻の「ミステリーの小箱」シリーズのうちの、「謎解き物語」編です。四つの短編で構成されていて、どのお話も意外なラストが待っています。本格推理小説を読むにはそれなりの集中力が必要ですが、このシリーズなら気分転換にも最適です。初めてミステリーに挑戦する中学生におすすめの作品です。
 

2018年6月

冷房の大玻璃の外都市動く    松本たかし
 
 この句を読んで、私は高層ビルがそびえ立つ大都市を想像しました。皆さんもきっと大都市の夏を思い浮かべたことでしょう。ところがこの句は昭和16年の夏に名古屋で詠まれた句。その年の12月に太平洋戦争が始まっているのです。それを知って読むとずいぶんイメージが変わってきますね。
 
 先日中国地方も梅雨入りしました。湿度が高く不快な時期ではありますが、体調管理に気を付けて毎日を過ごしたいものです。もちろん読書も忘れずに!今月は「パン」と「RUN」そして「いきもの」の本を紹介します。

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パンの科学―しあわせな香りと食感の秘密

吉野精一/著  講談社ブルーバックス2058
 
 パンは私たちにとってたいへん身近な食物です。パン屋さんで焼き立てのパンを見ると幸せな気持ちになって、ついつい買いすぎた経験はありませんか?世界中で愛されている「パン」ですが、この本ではパンの魅力が生まれる科学的な秘密について解説しています。巻末にあるパンのよもやま話や、世界のパンの紹介もとても楽しいです。いくつものプロセスを経ておいしいパンが出来上がる仕組みを知れば、パンをより楽しんだり、より美味しく食べたりすることができるかもしれませんよ。
 

99%の人が速くなる走り方

平岩時雄/著  ちくまプリマー新書298
 
 運動部の生徒におすすめの本です。99%というのは、概ね高校生以上を対象として50m走のタイムが速くなる人の割合を想定しています。「走ることはすべてのスポーツの基本!」という言葉はよく聞きます。走れるようになると競技のパフォーマンスが向上することは誰もが認めるところだと思います。
 実は走るには技術が必要です。この本はその技術を教えてくれます。プロトレーニングコーチのすすめるトレーニングを実践して、「走る技術」を習得しましょう。

恋するいきもの図鑑

今泉忠明/監修  KANZEN
 
 わずかな例外を除いて、野生動物には雑種ができないそうです。その原因の一つは動物の種類によって求愛の仕方がちがうから。求愛の仕方は一種の言葉であり、同じ仲間にしか通じないそうです。その求愛行動は動物によってさまざまで、プレゼントをしたり、いっしょうけんめい自分をアピールしたり、命がけで愛を語ったり…
 「結局のところオスもメスも子孫を残すために苦労しているのだ」という著者の言葉がまとめとなっています。動物好きな人におすすめの本です。

2018年4月

  白藤(   しらふじ)や揺りやみしかばうすみどり    (しば) 不器男(ふきお)
 風に揺れていた白藤の動きが止まったとき、ふと気づくと真っ白だと思っていた花がほのかに緑色を帯びている、という句です。中庭の藤は紫色ですが、毎年私たちの目を楽しませてくれていますね。
 
 新年度が始まりました。新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。二年生以上の人もそれぞれ学年が上がって登校する教室も変わり、新鮮な気持ちで新年度に臨んでいることでしょう。
 読書が好きな人も、そうでない人も、今年度はぜひ図書館に足を運んでみてください。図書係と協力して、多くの人に利用される図書館づくりを目指していきたいと考えています。それでは、今月は新年度にふさわしい、楽しい本を紹介します。

歩いて楽しむ 東京

JTBパブリッシング
 
 今まで、本校の図書館には旅行案内本がほとんどありませんでした。かつて修学旅行で訪れていた奈良・京都以外の旅行本も入れたいと思い、このたび「歩いて楽しむ」シリーズを購入しました。(東京以外に、信州・鎌倉・京都・神戸・大阪・奈良・近江 琵琶湖 若狭の各地域の本も購入しています。)
 この本はタイトルにもあるように、観光・歴史・風景などが歩いて楽しめるように編集されています。東京編では、日本橋・丸の内をはじめお台場・原宿・東京スカイツリー周辺など36コースのモデルコースが掲載されています。最寄りの駅に降り立ったら、この本を参考にしてお散歩を楽しんでみてはいかがでしょうか。

マンガでわかる 百人一首

あんの秀子/著 池田書店
 
 本校では国語の時間に必ず百人一首を学びます。二年生・三年生は、今まで習った歌を覚えていますか?小学校の時にかるた取りをして、百人一首を覚えているという一年生もいることでしょう。
 『ちはやふる』というマンガがヒットし、映画化もされたことで、競技かるたの存在がずいぶんメジャーになってきました。お気に入りの一首を見つけると、百人一首のみならず和歌や古典の世界が身近に感じられるようになるかもしれません。この本は、百人一首を一番から順に紹介しています。細かい文法にはこだわらず、マンガでニュアンスを伝えているので、まずは歌の雰囲気を味わってみてください。マンガだけでなく解説も充実しており、読み物としても楽しめますよ。
 池田書店の「マンガでわかる」シリーズは、ほかにも購入しています。(古事記・東洋医学・心理学入門・日本の近現代史・人体のしくみ・地政学・日本国憲法)いずれも入門編ですので、気軽に手に取ってみてください。

マスキングテープで楽しむ模様づくり

フミノナ/著 ブティック社
 
 皆さんは、マスキングテープを持っていますか?きっと多くの人が何種類ものマスキングテープを持っていると思います。(暁の星オリジナルのマスキングテープだけでも4種類ありますね!)貼ってはがせる便利さが人気につながり、急速に身近な存在になった文房具の一つです。
 この本は、マスキングテープを使っていろいろな模様を作ってみることを目的とした本です。Part1ではいろいろな作品を紹介し、Part2 では、マスキングテープを使った模様作りの基本を紹介しています。ちょっとした工夫で自分の持ち物やプレゼントがオリジナルなものに変身します。カッターマットとデザインカッターがあればすぐに始められるので、この本を見て模様作りに挑戦してみてください。

2018年1月

     深々と闇照らされて慈姑(くわい)かな      矢田(やだ) (やじり)
 
 福山は全国一の慈姑の産地です。慈姑は、「芽が出る」ということでお正月には縁起物として大活躍。作者は、青味がかった慈姑の姿を、闇の中に浮かび上がらせています。
 
 2018年が明けました。新しい年を迎えて、新たな目標を立てた人も多いのではないでしょうか。「読書は心の糧」と言います。本が好きな人も、そうでない人も、まずは一冊本を手にとって見ませんか?もしかしたら、素敵な出会いが待っているかも…
 今月は、生活に密着した「家庭科の教科書」・時代を超えた名著を漫画化した『君たちはどう生きるか』・画期的な編集の美術全集を紹介します。

正しい目玉焼きの作り方

作・イラスト/森下えみこ 河出書房新社
 
「14歳の世渡り術」シリーズの中の一冊です。気持ちよく暮らすためには、「生活力」が大事!この本は「きちんとした大人になるための家庭科の教科書」です。洗濯・料理・片付けと掃除・裁縫の四つの章に分かれていて、それぞれの〈基本のキ〉を学ぶことができます。これから一人暮らしをする人はもちろん、家族と楽しく暮らすためにも、基本的な「生活力」を身につけることは大切なこと。「お料理なんてほとんどしたことない」というあなたにおススメの本です。

君たちはどう生きるか

原作/吉野源三郎  漫画/羽賀翔一  マガジンハウス
 
 原作は1937年に出版された小説で、暁の星の「ベストセレクト」の中にも入っているので、読んだことがあるという人も多いと思います。小説の出版から80年を経た今、はじめてマンガとして書き下ろされました。中学二年生の「コペル君」こと本田潤一少年と、「おじさん」が主人公。貧困・いじめ・格差・そして勇気… 時代背景は変わっても変わらない人生のテーマに迫ります。タイトルの「君たちはどう生きるか」は、私たちへの問いかけなのです。

ART GALLERY テーマで見る世界の名画

集英社
 
 久しぶりに図書館で美術全集を購入しました。この全集は、世界の名画をテーマごとに編集しています。既刊のものは「ヴィーナス」「肖像画」「風景画」「宗教画」です。テーマごとの編集は珍しく、時代や画家の枠を超えて世界の名画を味わうことができます。30×30の大画面と最高の印刷技術によって高いクオリティの紙面が実現されており、古代から現代までの厳選された名画を楽しむことができます。個人的には巻末の年表がおすすめです。  

2017年3月

桜の花に遅れて、山吹の花が咲き始めます。時代劇でこっそり「山吹色」といえば小判のこと。それはともかく、花と葉が交互に並んだ山吹の枝のようすが、目の前に浮かんできます。若葉の緑と山吹色のコントラストが美しい句ですね。

LIFE  人間が知らない生き方

篠原かをり/著 麻生羽呂/画 文響社

人類の歴史はあまりにも短く、人類が知らないこともたくさんあります。
この本は、20種類の生き物の生態から、人間が生き残るための「戦略」「習慣」を学ぶ本です。
各章の扉はリアルな劇画調のイラスト。本編はかわいいイラストのマンガに続いて解説。そして最後に動物豆知識という構成になっています。本編の内容から、いくつかピックアップして紹介します。
・カピバラの赤ちゃんは、群れのどのメスからでもお乳をもらえる。
・キリンは、実はアフリカでも1位、2位を争うほど強い動物である。
・天敵に食べられたタコの足は再生しても、ストレスによって自分で食べた足は再生しない。

物語のある風景

山口康夫/著 MDNコーポレーション

誰もが子供の頃に読んだ物語や、映像で見た物語の中のお城や街。そのモデルとなった実物の写真を集めました。多くの人が親しんだ有名な物語の舞台になったお城や街などをお楽しみください。

生きものの持ち方 

松橋利光/著 大和書房

虫やカエル、クモ、トカゲ、ウサギにニワトリ…自分の身の安全をしっかりと保ちつつ、生き物を傷つけることなくスマートに持つことは意外と難しいもの。この本は、それぞれの分野の専門家が持つ人間も持たれる生き物も傷つかないようにどのように持つべきかを考察し、実践した本です。一生持つことがない生き物もいるかと思いますが、実践の様子を見るだけでも面白いです。もちろんイヌやネコの持ち方もあります。

2017年1月

昭和三年二月、岡山後楽園での作です。遠足で後楽園を訪れた学年も多いですね。現在はケージの中で飼育されているタンチョウですが、毎年お正月には放鳥が行われています。その優雅な姿を見るのを楽しみに、来援する人も多いそうです。
 

2017年が明けました。それぞれが新たな思いで、この一年をより良いものにするための決意を固めていることと思います。寒い日々が続きますが、健康管理に気を付けて、三学期を過ごしたいものですね。
 
さて、今月は、ダムの本・言葉の本・そしてキツネの本を紹介します。

/ 著    学研プラス

国土交通省が発行している「ダムカード」をご存知ですか?レアなカードもあり、人気だそうです。著者の萩原さんは、ダムの魅力はまず人間が造り出した構造物の中で最大級の大きさであること、そして、立地条件や予算をはじめとした諸条件が異なるために同じデザインのものが二つとないことだと言っておられます。
この本には、従来の写真とは異なり、ドローンを使用して空撮された写真も多数収録されています。お気に入りのダムを見つけて、訪れてみてはいかがでしょうか。
 
3

エラ・フランシス・サンダース/著 前田まゆみ/訳    創元社

この本に収められているのは、他の国のことばではそのニュアンスをうまく表現できない「翻訳できないことば」たちです。「世界にはこんな言葉があるんだ」という驚きを感じたり、温かい気持ちになれたりできるはず。
たとえば、こんな言葉があります。
・アラビア語(名詞)SAMAR 日が暮れた後遅くまで夜更かしして、友達と楽しく過ごすこと。
・韓国語(名詞)NUNCHI 他人の気持ちをひそかにくみとる、こまやかな心づかい。
・ロシア語(名詞)RAZLIUBIT 恋がさめ、ほろにがい気持ちになる。
 
5

竹田津 実 / 著    アリス館 

竹田津実さんは『子ぎつねヘレンがのこしたもの』の著者としても知られる、もと野生動物のお医者さんです。『恋文』というタイトルからもわかるように、この本の写真や文章は、キツネたちへのラブレターと言えるかもしれません。キツネのいろいろな表情がとらえられていること、人と動物とのかかわりについて考えさせてくれることがこの本の魅力だと思います。キツネの信を勝ち取ったのは、竹田津さんの娘さん。彼女は、本当にキツネたちと対等だったようです。
 
4

2016年10月

  秋の気配が松風だけでなく、水の声にも宿っているという、涼しさを実感させてくれる句です。『山家集』より。
 
  残暑が厳しい今年の夏でしたが、やっと朝晩涼しくなってきました。秋は、落ち着いて勉強に取り組んだり、読書を楽しんだりできる季節です。図書館でも、秋のディスプレイをして、皆さんの来館をお待ちしております。
 
  さて、今回紹介するのは、新しく図書館に入った本です。美しい写真を楽しめる本を中心に、三冊の本を紹介します。

/著  松橋 利光/写真  誠文堂新光社

  鳥類が鳥類であるために欠かせないもの、それが羽根です。羽根は、体温を保持したり、飛ぶために必要なだけではありません。それぞれの生活スタイルに合わせた進化を遂げてきました。自然が作り出した模様・色彩は、感動的です。美しい写真の数々をお楽しみください。サブタイトルは「鳥たちが成し遂げてきた進化が見える」です。
 
1

井田 仁康/監修  学研

  世界には様々な国や地域があります。それぞれの自然環境や社会の中で、その国の文化が生まれていきます。日本とは異なる自然や文化を学んだり、共通なことを知ったりすることができるシリーズです。置かれた環境は違っても、平和で豊かな生活を目指そうとする思いは皆同じ。このシリーズで、世界の国々について調べてみませんか?
 
3

西田 俊哉/作  徳間書店

  陽太は、一年前に東京から奈良に引っ越してきました。奈良は、亡くなった母の故郷です。小学校の卒業式はむかえたけれど、仲のいい友達もまだいないし、父親のナオも仕事で忙しい。「春がくるのも中学も、ちっともうれしくない。」と思っていた陽太は、ホームレスの男から迷い犬らしいフレンチブルドックを渡され、「飼い主を捜してやれよ。」と頼まれてしまいます。この日から、陽太が犬といっしょに奈良の街を歩く日々が始まります。ホームレスのおじさんの、「おまえ、さっき桜を見ていたけど、待ってたって咲かないよ。桜っていうのはふと気がついたらいつのまにか咲いてるもんだ。だからまずは歩けよ。」という言葉は、印象的です。
 
4

2016年6月

(たかはま)虚子(きょし)
  この句は、苔に打ち水をしたときの様子を表現しています。校内の桜の坂道にも、たくさんコケが生えていますね。理科的な話をすると、コケ植物には花はなく、胞子嚢を花に見立てているわけですが、見かけはほんとうに、小さな花のようです。
 
  梅雨に入って、湿度の高い日々が続いていますね。本格的な夏も目前。体調管理には十分気をつけたいものです。さて、今回は楽しい本(うち一つはシリーズ)を三冊紹介します。

/末次由紀  作/時海結以  講談社

原作は漫画で、競技かるたに青春を書ける少女・綾瀬千早が主人公の青春ドラマです。雑誌連載中から大好評を博し、アニメ化・映画化されましたので、ご存知の方も多いと思います。原作は、登場人物たちの高校時代を描いていましたが、この『小説 ちはやふる』は、原作には描かれなかった千早たちの中学時代が全4巻に描かれています。原作ファンの「千早たちの中学時代もしっかり見たかった」という声にこたえ、原作者のアイデアを反映したこの作品ですが、原作を知らなくても十分楽しめますので、読んでみてください。百人一首に興味がある人には特におすすめです。
 
1

絵/クリスティヤーナ・S・ウィリアムズ 文/ ジェニー・ブルーム 汐文社

大型本です。まず、表紙の色彩の美しさに目を奪われます。「美しい」というよりも、今まであまり見たことのない色使いと言ったほうがピンと来るかもしれません。ゴールドにショッキングピンク、黒・青・紫…さまざまな色がちりばめられており、とても新鮮です。サブタイトルに「5つの楽園、多彩な生き物」とあるように、全体を五つのパートに分けて、生き物たちの姿を描いています。アマゾン・グレートバリアリーフ・ヒマラヤなどの「楽園」に生息する生き物の姿を見て、旅した気分を味わってください。
 
2

作/額賀 澪   小学館

「襷(たすき)と言えば駅伝!」と考える人も多いのではないでしょうか。お正月の箱根駅伝はとても人気がありますし、駅伝を扱った小説も少なくありません。この『タスキメシ』は、駅伝に青春をかける若者たちの物語です。タイトルに「メシ」とあるように、効果的に料理の話も取り入れられています。一つ違いの兄弟の、互いに対する思いや、競技をしていく上での葛藤が中心になっていますが、女子も登場します。スポーツをする人はもちろん、しない人も十分感動できる小説です。
 
3

2016年4月

  百人一首でおなじみの歌ですが、万葉集では上のように表記されています。山の緑と、干された衣の白い色が目の前に浮かび、初夏を感じさせてくれる歌です。
 
  新年度が始まりました。坂道は満開の桜の季節を終えて、新緑が目に鮮やかです。新入生の皆さんはもちろん、上級生の皆さんも、きっと新鮮な気持ちで新学期を迎えられたことでしょうね。
  運動会まであまり日にちもなく、あわただしいと思いますが、図書館にも足を向けてみてください。見た目にも楽しい本を並べて、皆さんのお越しをお待ちしております。
 
  さて、今回も新着図書の中から三冊の本を紹介します。皆さんの大好きなお菓子の本、季節の言葉の本、そして「いのち」を考える本の三冊です。

Backe晶子・伊能勢敦子/著   宝島社

子どもの頃、絵本で見たお菓子や料理を「食べたい」と思ったことはありませんか。小さい頃のそんな夢をかなえてくれる一冊です。『はらぺこあおむし』のチョコレートケーキやアイスクリーム、『ちびくろ・さんぼ』のホットケーキ、『バムとケロのにちようび』のドーナッツなど、絵本そのままのできばえです。皆さんも、挑戦してみてはいかがでしょうか。
 
2

山下景子/著    朝日新聞出版

  日本語は、美しい言葉だと思います。古くから、手紙には時候の挨拶をそえる習慣があるのも、移り変わる四季と美しい言葉があってこそではないでしょうか。現在ではメールやLINEなど、いろいろな通信手段がありますが、心のこもった手紙を頂くのはとてもうれしいもの。美しい季節の言葉を知るだけでも、言葉への興味が増すと思います。
 
3

菊田文夫/著 日野原重明/監修   Gakken

  この本は「いのち」について考える本です。私たちは「いのち」を与えられているけれど、それは永遠に続くものではなく、すべての人に「死」がおとずれます。だからこそ、自分の生き方は自分で決め、楽しく生きたいと考える著者からの、未来を生きる若者たちへのメッセージです。
 
4

2016年2月

(ゆう)爾(じ)
  福山市出身の詩人・俳人である木下夕爾の俳句です。詩人らしい感性が感じられる一句ですね。
  年が明け、三学期が始まりました。年末までは暖かかったのに、一月になって急に本格的な寒さが訪れて、体調を崩す人も多いと聞いています。できればインフルエンザにかかったり風邪をひいたりしたくないものです。うがいや手洗い、規則正しい生活をするなどして、予防につとめましょう。
 
  さて、今回は新着図書の中から三冊の本を紹介します。表紙のインパクトが強い本を選んでみましたので、図書館の新刊コーナーで探してみてくださいね。

PHP研究所

  『りゆうがあります』に続いて発売されたシリーズ第二弾です。皆さんは子どものころ、「大人はずるい!」と思ったことはありませんか?ひょっとしたら、今でもそう思うことがあるかもしれません。この本では、小さな女の子がお父さんに疑問をぶつけ、それに対してお父さんが答えるのですが、その答えがとても面白いのです。「どうして ゆびずもうを なんかい やっても、パパの かちなの?」「『こどもに まけたら もういちど こどもに もどって やりなおし』という、ひみつの ルールがあるから パパも ひっしなんだよ。」といった具合です。最後のページのうれしそうなパパの顔は必見です。
 
7

錦織圭・秋山英宏/著 文藝春秋

  テニスの世界ランキングで日本人がベスト4に入るなんて、15年ほど前の日本人は予想もしていなかったかもしれません。そんな時代に、「夢は世界チャンピオンになること。」と、小学校の卒業文集に記したのが、錦織圭選手です。この本は、彼が19歳のころから綴ってきたブログを中心に2010年から2015年までの彼の道のりを記した本です。今では「国民的ヒーロー」となり、知らない人はいないと言っても過言ではない錦織選手。ランキングのアップダウンに一喜一憂せず、自己と向き合おうとする彼の姿は、どんな道を志す人にとっても参考になるのではないかと思います。
 
8

企画制作/草土出版 山と渓谷社

タイトルのとおり、薔薇の図鑑です。福山は名実ともに「ばらのまち」を目指している都市ですので、皆さんに読んでいただきたくてこの本を選びました。内容は、ほとんどがカラーの薔薇の写真です。バラ園芸品種は20万種とも言われているそうです。そんなバラの花を6つの系統に分け、写真とともに特徴を紹介してあります。「バラ」と言われてイメージする花とは全く違う花もあり、新たな発見があると思います。あなたのお気に入りのバラはどれでしょうか。
 
6

2015年9月

(せんだん)の若木の上も秋の空            飯田 龍太(いいだ りょうた)
 
  栴檀は甘く高貴な香りを放つと言われます。「栴檀は双葉より芳し」の栴檀は、白檀(ビャクダン)を表すそうですが、実際は全く違う木だとか… いずれにせよ、かぐわしい若木の上に澄んだ秋の空が広がる秋の情景は、とても爽やかです。
 
  さて、暑かった今年の夏も終わりです。記念祭・文化祭を始め、多くの学校行事があるこの二学期を元気に過ごしたいですね。今回紹介するのは3冊の新刊図書です。
25年間飼育係を務め、現在絵本作家として幅広く活躍されています。代表的な著作に『あらしのよるに』『ゴリラにっき』があります。
 
1
 
イルカの不思議
  私たちにとって、イルカは身近な動物だと思います。水族館のイルカショーは毎回大人気ですし、イルカと一緒に泳ぐことで癒しの効果があるとも言われて、子どもにも大人にも親しまれています。そんなイルカの本来の姿や生物としての特徴を研究し、わかりやすく説明しているのがこの本です。イルカのさまざまな能力を知ることで、イルカに対する見方が変わるかもしれませんよ。
2
まんがで語りつぐ広島の復興―原爆の悲劇を乗り越えた人びと―

 今年は戦後70年ということで、新聞やテレビでも戦争に関連することがらが多く取り上げられました。戦争を体験した人はだんだん少なくなっていますが、その体験を後世に伝えることは私たちの責任でもあると思います。
 この本は、被爆70年を迎えた広島の復興に焦点をあて、まんがで表現しています。焼け野原になってしまった広島が、奇跡の復興を果たせたのはなぜなのか。ライフラインの復旧から、「食」の復興、市民球団・広島カープの誕生までいろいろなことを取り上げてあり、「人間の立ち直れる力」を信じさせてくれる本です。

5

2015年6月

(ろくぐわつ)を奇麗な風の吹くことよ           正岡(まさおか)子規(しき)
 
  「奇麗な風」が吹く、さわやかな五月晴れの日を表現した句です。梅雨の晴れ間の、風や光が体感できるようです。
 
  さて、今回は、日本の産業遺産を紹介した本と、生態があまり知られていない「うなぎ」の本、さらに不朽の名作『風とともに去りぬ』の新訳を紹介します。

うなぎ 一億年の謎を追う

塚本克巳/著 学研教育出版

風とともに去りぬ

ミッチェル/著 荒このみ/訳 岩波書店 マーガレット・ミッチェル/著 鴻巣友季子/訳 新潮社

2015年1月

(つぼみ)のかすかなる我があこがれや空に合ひにけり      伊藤左千夫(いとうさちお)
 
  細い月(三日月・繊月(せんげつ))と梅の香りは「あこがれ」のシンボル。かすかな「あこがれ」は人を想う気持ちでしょうか。その気持ちが空にとけ込んで広がるさまが表現されている歌です。
 
  年も改まり、寒い日が続いています。インフルエンザが流行する兆しがあるそうなので、皆さん気をつけてくださいね。今月は新着の本の中から、小説以外の本を選んで三冊紹介します。どれも楽しく読める本なので、気分転換にもおすすめです。

(とだ)創(はじめ)/編・監修  飛鳥新社

  編者の洞田さんは広島大学文学部卒業のイラストレーターで、浮世絵調のものを得意にしておられる方です。この作品は、平成の世にタイムスリップした浮世絵師が何かのきっかけで幕末に戻り、うろ覚えで平成の世の風俗を描いている、という体裁をとっています。もちろんフィクションですが、平成の世の文化・風俗が浮世絵師の目にはどう映ったのか、想像力を働かせて読むと面白いですよ。
「大空木(おおうつぎ)」は東京スカイツリーのこと。「屑吸桶(くずすいおけ)」はルンバ。では、「尻鉄砲(しりでっぽう)」はいったい何のことでしょう?
 
1

おかべたかし/文 やまでたかし/絵  東京書籍

  昨年末、テレビでも取り上げられていた本です。この本では、同じ読みでありながら異なる意味を持つことば(「現す」と「表す」、「足」と「脚」など)や、形が似ていて違いがよくわからないもの(「サンデー」と「パフェ」、「アシカ」と「アザラシ」など)を写真を使って一目で分かるように解説しています。
  日本ではよく、「左ヒラメに右カレイ」などと言いますが、アメリカなどのヒラメは向きが逆のものも多いとか。正しくは「口が可愛いのがカレイ」「口が怖いのがヒラメ」なのだそうです。
 
2

左巻健男/日本語版監修  日東書院本社

  80を超える世界地図を収録し、自然・生物・テクノロジー・歴史・文化の注目すべきテーマを取り上げた本です。豊富な写真やデータを用いて解説してあるので、中学生の皆さんにもおすすめです。世界の姿を通して、日本の状況や客観的に見た日本の様子を知ることにもつながると思います。
  ここで一つ質問です。196ある独立国の国旗の中で四角形でないものはいったいいくつあるでしょうか。答えを知りたい人は図書館へおいで下さい。
 
4

2014年9月

(て)にのせしと云(い)へる葡萄(ぶどう)かな      永井龍男
 
「云へる」というのは作者自身のつぶやきなのでしょうか。ぶどうの房を、まさに秋そのものと感じていることがわかりますね。
  秋は読書に適した季節です。学校でも、毎年秋の読書週間が企画されています。この機会に図書館を訪れて、お気に入りの一冊を見つけてみませんか?
 
  今月は、科学的な分野の本を2冊、小説を1冊紹介します。本校では小説の貸し出しが圧倒的に多いですが、新たなジャンルに挑戦してみるのもおすすめです。
  この本では、イヌとネコの起源や体の秘密・栄養学・そして行動の不思議についてまとめています。イヌやネコを通じて、生き物への理解を深めていきたいものです。
  ここでクイズを一つ!体重1kgあたりのタンパク質の必要量が最も多いのはイヌ・ネコ・ヒトのうちどれでしょう。答えが気になる人は、図書館に来てこの本を読んでみてください。
 
1
 
『図説 虹の文化史』
 
  写真をたくさん使った美しい本です。装丁にもこだわりがあります。表紙は三角プリズムを用いて白色光を解体しているニュートンの絵で、本の「小口」の部分にも虹色の彩色が施してあります。タイトルどおり「虹」の文化史なのですが、「あとがき」にもあるように、「人が虹を解き明かすためにどのように考え、理解したのかという観念の歴史」が読みとれる本です。
  意外なことに、「虹」の研究に一生をささげた研究者は一人も見当たらないそうです。数学者、聖職者、天文学者、哲学者、物理学者、医者、画家などが余技として「虹」を研究しており、それゆえ虹に関する情報はあらゆる分野に分散しているそうです。
  私たち日本人は、虹の色数を聞かれたらあたりまえのように「7色」と答えますが、これも国によって答えが違うとか…(アメリカでは6色、ベルギーでは5色だそうです)
  理系の内容は苦手、と言う人も、「虹の写真館」「虹の伝承」「文学と虹」の章で十分楽しめますよ。
2
『明日の子供たち』
  本校でも人気の高い有川浩さんの小説で、「あしたの家」という児童養護施設を舞台に繰り広げられるドラマです。新米職員の三田村慎平や和泉先生、施設で暮らしているカナや久志の言動を通して、施設に対する先入観や勝手なイメージが塗り替えられるかもしれません。甘い恋の話ではありませんが、有川ファンは必見です。
 
5

2014年7月

  作者は青葉の茂る一本の大木の中に、姿の見えない小鳥のさえずりを聞いています。小鳥の声の振動が、そのまま光と色の振動となっているのですね。
 
  さて、今回は3冊の本を紹介します。暑い季節ですが、図書館は涼しくて快適ですよ。涼みがてら、本を探してみませんか?
  私も、この本を見ていくつか料理を作ってみました。「フライパンひとつおかず」や「具だくさんご飯」のところに載っている料理は、後片付けも簡単です。中高生でも手軽に挑戦できる料理もたくさん紹介してありますので、みなさんもぜひ作ってみてください。
1
『東大・京大式頭がスッキリするパズル』
 
  十万部を超えるベストセラーとなった『東大・京大式 頭がよくなるパズル』の第二弾です。パズルを数多く解くことで、ひらめきを起こしやすい柔軟な脳を形成することが可能だそうです。この本のパズルは、鉛筆を使わなくても、目で見るだけで解くことが可能です。また、どのパズルも東大と京大のパズル同好会のメンバーが、腕によりをかけて作った良問です。気分転換にも最適な一冊です。
2
『かないくん』
『かないくん』は、谷川俊太郎が一晩でつづり、松本大洋が二年かけて絵を完成させた作品です。装丁にもこだわりがあるので、手にとって見てほしい本です。
  生きている人はやがて死にます。死ぬとどうなるのでしょうか。この絵本は、小学四年生という若さで亡くなった「かないくん」と、60年以上前に彼のクラスメイトだった絵本作家の「おじいちゃん」の死を描いています。
  私たちの誰もが「死」への恐怖を持っているでしょう。「おじいちゃん」は、もう来年の桜は見られないと知っています。「死を重々しく考えたくない、かと言って軽々しく考えたくもない」というおじいちゃん。孫の「私」はスキー場でおじいちゃんの死を知って、「始まった」と思うのです。いったい何が始まったのでしょうか。答えは書いてありません。この作品を読んで、考えてみませんか?
3

2014年4月

(はざくら)の 影ひろがり来(き) 深まり来(き)      星野立子(たつこ)
 
  作者の星野立子は高浜虚子の次女で、虚子の一族の中でも特に評価の高い俳人の一人です。作者は葉桜の下に立って、いくばくかの時をすごしているのでしょう。次第に葉桜の影が作者を包み、「ひろがり来」「深まり来」たことを驚いている様子が読みとれます。
 
  新しい年度が始まりました。新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。坂道の桜を眺めながら、きっと大きな希望を抱かれたことでしょう。今の新鮮な気持ちを忘れず、これからの学校生活を楽しんでくださいね。
 
  さて、今回はチョコレート好きな女の子におすすめしたいお菓子の本と、日本の伝統文化・茶道(ちゃどう)の本、そして日本の古典を紹介する本、以上三冊を紹介します。

1

『はじめての茶道 - 本人の目線で点前を学ぶ』
田中仙融/著 中央公論新社

2

『千年の百冊』
鈴木健一/編 小学館

3

2014年1月

(きた)るらし       相生垣瓜人(あいおいがきかじん)
 
  つらい、大きな冬が去って小さな可愛らしい春がやってきたという意味の句です。作者は春の到来を、どんな思いで迎えたのでしょうか。
 
  新年明けましておめでとうございます。今年は暖かいお正月でしたね。今年度も残すところ三学期だけになってしまいました。「終わりよければすべてよし」という言葉もありますから、三月末までしっかりがんばって、新しい年度につなげていきたいですね。
 
  さて、今回は郷土福山・広島にちなんだ本2冊と、2013年に亡くなったやなせたかしさんの本1冊を紹介します。

福山うずみごはん研究会/発行(株)栄光/編集

  福山に住んでいる人にはおなじみの「うずみ」ですが、全国的には知名度が低いのではないでしょうか。この本は、小説と漫画で「うずみ」にまつわる話を紹介しています。さらに「うずみ」の由来やレシピ、福山うずみごはんMAPなどもあるので、地元の人もそうでない人も楽しむことができると思います。「うずみ」が全国的に広まるといいですね。小説部分の著者は、本校で2009年度まで教鞭をとっておられた皿海先生です。
 
2

重松清/著  講談社

  40代後半以上の広島県人・特にカープファンにとって、1975年は忘れることができない年ではないでしょうか。前年まで三年連続最下位だったカープが初優勝した年です。この年、カープの帽子は紺から赤に変わり、ユニフォームも大きく変わりました。やんちゃな野球少年ヤス、新聞記者をめざすユキオ、東京から引っ越してきたマナブを中心にして、彼らの友情やカープの初優勝までの道のりを描いた作品です。1975年は原爆投下から30年目という節目の年でもありました。史実を語ることももう一つのテーマとなっています。カープが好きな人はもちろん、野球にそれほど興味がない人も楽しめる作品です。
 
4

やなせたかし/著  PHP研究所

  2013年に亡くなった漫画家・やなせたかしさんへのインタビューをもとに原稿を作成し、単行本化された作品です。本文から一部引用します。「正義を行う人は、自分が傷つくことを覚悟しなくちゃならない。アンパンマンは自分の顔をあげる。自分のエネルギーは落ちるけど、そうせずにはいられないから。正義には一種のかなしみがあって、傷つくこともあるんです。そんなにかっこいいもんじゃない。」
 
1

2013年9月

『失葉集』より。雲の心・すすきの心に寄せる作者の心が伝わってくるようです。
  猛暑に悩まされた夏休みが終わり、新学期が始まりました。朝夕がすごしやすくなり、やっと秋の気配が感じられるようになりましたね。9月は記念祭バザーという大きな行事があります。お客様に楽しんでいただけるように、各自責任を持って仕事をしましょう。もちろん楽しむことも大切です。ふだんと違う学校の雰囲気を満喫してください。
  さて、秋と言えばやはり「読書の秋」。眠りに着く前の数十分を、読書にあててみませんか?きっと新しい世界が広がりますよ。今月は新着図書の中から三冊を紹介します。
  一方、その作品のラストの一文についてはどうでしょう。知らない人のほうが多いのではないでしょうか。
  この本では、「名作」のラストの一文を取りあげ、コメントを加えています。既読の人も未読の人も、十分楽しめますよ。ラストを知ってから作品を読み始めるのも、たまにはいいかもしれません。
1
『動物大せっきん オオカミ』
  ナショナルジオグラフィック協会は、1888年に設立されて以来、世界中で自然・地理・歴史などの調査を続けてきました。「動物大せっきん」のシリーズは、そのナショナルジオグラフィックで長年動物を観察してきた研究者やカメラマンによって作られた人気のシリーズです。今回紹介するのは「オオカミ」の巻ですが、オオカミの生態だけでなく、人間との共存についても考えさせてくれる本です。
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『かんたんお菓子』
  お菓子作りを楽しんでいる人は、本校にもたくさんいると思います。でも、お菓子作りってけっこう時間がかかりますよね。おいしいお菓子が簡単に作れたらいいのに……!そう思っている人にぜひ読んでほしい本です。表紙のコピーを一部拝借。「ぐるぐる混ぜて焼くだけでふわふわ、サクサクッ!」「こんなにおいしいお菓子、はじめて!」どうですか?お菓子を作りたくなってきませんか?
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2013年5月

  夏の光あふれる、明るい風景を詠んだ俳句です。さわやかな初夏にぴったりの一句ですね。
 
  2013年度が始まって早くもひと月が経過しました。新しい担任の先生や教室、クラス
メイトなどにもそろそろ慣れてくる頃でしょうか。もうすぐ快適な初夏の季節。読書活動も楽しんでみましょう。
さて、図書館からのお知らせです。今年度、文庫本のコーナーに新しい本棚が入ることになりました。それにともなって、文庫コーナーのいっそうの充実を目指しています。皆さんからのリクエストもお待ちしております。
今回は、小説以外のジャンルから3冊の本を紹介します。3冊ともカラー印刷の部分が多く、見るだけでも楽しめるので、ぜひ手にとって見てください。
  野生動物と向き合うためには、現状を正しく把握し、身の回りの自然に対する無関心な態度を改めることが必要です。この本を読んで、「なんだかおかしなことが起こっている」と感じることが、現状把握の第一歩になるかもしれません。
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『切り紙でつくる花の飾りもの』
  この本で紹介しているのは、主に花の飾り物です。手軽に楽しめる、立体的な花飾りを紹介しています。使用する紙は、タントペーパーと呼ばれる適度なコシがある両面同色の紙で、文具売り場で求めることができます。もちろん、片面のみに色がついた一般的な折り紙や、チラシなどを使っても作ることができますので、いろいろな素材を使って挑戦してみるといいと思います。バザーのときの飾り物としてもおすすめします。後半に載っている「ペーパータイル」は、ウォールデコレーションに最適です。
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『スポーツの世界地図』
  通常、スポーツと世界地図は直接結びつかないかもしれません。しかし、この本では、世界中で行われているスポーツを30項目にわたってとりあげ、世界地図を用いて競技人口や分布の状況、テレビ視聴者数などをわかりやすく示しています。スポーツの歴史や社会現象、経済現象についても論述しているので、この本を読めば今までとは一味違った視点からスポーツを楽しめるようになると思います。
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2013年2月

   作者は、春のまだ早い時期にバスを待ちながら、降り注ぐ春の陽(ひ)や春の装いの人たちをながめて、春の訪れを確信したのでしょう。俳句における「春」は、中国や日本古来の暦にしたがって、立春(2月4日ごろ)から立夏(5月6日ごろ)の前日までとされています。私たちの実感とは、ひと月ほどずれていますね。
  さて今月は、小説を2冊と、星に関する本を1冊紹介します。中学生の皆さんにも十分楽しめる本ばかりなので、ぜひ読んでみてください。今後、映画やドラマの原作本も随時新刊コーナーに展示しますのでお楽しみに。
(ヤングアダルト)小説と評価されており、とてもきれいな純愛小説です。
 主人公の「まゆ」は、不思議な力を持っています。精霊や、他人の患っているところなどが見えるのです。「まゆ」のおばあちゃんにも霊感のようなものがあって病気を治すことができます。  「まゆ」は学校がお休みのときはおばあちゃんの手伝いをしています。そんな「まゆ」の、クラスメイトや家族との関係を通して、生と死・性の問題などいろいろなことを考えさせてくれる小説です。中には、懐かしい音楽や本、映画なども登場するので、昭和世代の大人が読んでも懐かしい気分になれると思います。
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『謎解きはディナーのあとで 3』
  言わずと知れた大人気シリーズの第3弾です。この作品は、シリーズ累計340万部突破の大ヒット作となりました。2013年8月には映画の公開も決定しています。
おなじみのキャラクターは健在で、宝生麗子は相変わらずのお嬢様ぶりだし、風祭警部は相変わらずピントがはずれています。もちろん影山の毒舌と推理も絶好調。一話ずつの分量が短く、勉強のあいまにも手軽に読める…そんなことも人気の要因でしょうか。第一話から第五話までは『きらら』初出ですが、最終話の第六話は書き下ろしで、3人の関係に大きな変化がありますよ。
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『星と神話 物語で親しむ星の世界』
   忙しい現代人には、ゆっくり星を眺める時間などなかなかないかもしれません。でも、夜空をいろどる星座には、それぞれロマンティックなエピソードがあるのです。この本では、多くのイラストや写真を交えて、21編の神話が楽しめるようになっています。星座観察のしかたも詳しく説明してあるので、実際に夜空を見上げながら、ギリシャの神々の話を思い起こしてみてください。
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2012年11月

この歌は、皆さんもご存知の藤原道長が、嵯峨野で雨宿りしたときの歌だそうです。昔は政治で成功するためには歌も上手でなくてはなりませんでした。今の政治家の皆さんにも、歌を詠んでもらったら、意外な一面が見えて面白いかもしれませんね。。
2012年度図書館宝くじは、好評のうちに終了しました。期間中700名以上の貸し出しがあったことをお知らせしておきます。当選者の発表は11月22日の予定です。
さて、今月は、幅広いジャンルから、3冊の本を紹介します。

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『プロフェッショナル・チーズ読本』
木村則生/著 誠文堂新光社

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『マラソン ステップアップトレーニング』
川越学/監修 実業之日本社

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2012年9月

南校舎と北校舎の西側にキンモクセイの木があります。小さなオレンジ色の花と芳しい香りに、秋の訪れを感じますね。朝の蒼い空に流れるのは、モーツァルトの交響曲『40番ト短調』でしょうか。
二学期は、文化祭・記念祭バザー・座禅静修会や修学旅行など、いろんな行事があります。楽しい思い出をいっぱい作り、明日への糧として下さい!
さて今月も、新しく入った本の中から、楽しんでいただけそうな三冊をご紹介しましょう。
「よく見かけるけれど、名前は知らない…」という花たち。月ごとにまとめられ、さがし方も書かれているので、この本を片手に散策してみませんか。
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『フシギなくらい見えてくる!本当にわかる心理学』
 
雑誌の「心理テスト・あなたはどのタイプ?」などのコーナー、つい見てしまいませんか。この本では、心理学についてわかりやすく解説するとともに、身の回りで応用できそうな手法が紹介されています。
「記憶の達人はどうやって覚えているのか?」
「友情はどうやって作られるのか」
心を見つめなおすことができる一冊です。
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『動物で読むアメリカ文学(岩波ジュニア新書)』
あなたは動物好きですか? 文学作品の中には、いろんな動物たちが登場します。主人に忠実な賢い犬や、魔物のような猫、大海原から現れて主人公の前に立ちはだかる巨大な敵も…。
メルヴィルの『白鯨』、ヘミングウェイの『老人と海』など、図書館に原作本や映画のビデオがある作品も紹介されていますので、ぜひ、あわせて読んでみましょう。
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2012年6月

暁の星でも、すでにプールの授業が始まっていますが、この句もプールの風景でしょうか。水着に着替えた乙女の颯爽とした姿が、鮮やかに浮かんできますね。
全国的に入梅し、うっとうしい季節を迎えています。体調には十分気をつけて、恵みの雨に感謝しながら、過ごしたいものです。
さて、今月は新刊コーナーの中から三冊の本を紹介します。試験勉強に疲れたときの気分転換にいかがでしょうか。
「わたしのネコ」は実はネコではありません。大きくなりすぎて、飼い主の「わたし」は、大きな家に引っ越します。ネコがそこで出会った運命の恋人が三毛猫、という、言葉で説明すると、ちょっとややこしい話になっています。恋人の三毛猫ちゃんが、とってもキュートです。
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『三国志の世界』
桃園の誓い・官渡の戦い・三顧の礼・赤壁の戦い・出師の表・五丈原の戦い……誰でも知っている三国志の数々の名場面をいきいきと語り、ゆかりの地を写真で紹介しています。三国志や漢詩に関連する多くの著書を持つ筆者の、丁寧な解説がうれしい本です。歴史好きな人、三国志の英雄に惹かれる人に、特にお勧めします。
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『千年の森をこえて』
タイトルのとおり、千年にわたる不思議な物語です。2009年のニューベリー賞銀賞を受賞した作品で、全米図書賞候補にもなりました。
物語は、千年昔という「遠い過去」・それほど遠くない「25年前」・そして「今」という三種類の「時」を行きつ戻りつしながら展開していきます。主人公は、二匹の子猫と老犬でほかの登場人物(?)も、人間でないものが多いです。ヌママムシの婆は、千歳をはるかに超す高齢です。325ページの作品ですが、124章から成り立っていて各章が短く、文体もやさしいので、本を読むのに慣れていない人でも気軽にチャレンジできる作品です。
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2012年4月

『独石馬』「初夏籠居」より引用した歌です。仔細ありげな猫の行為に、ユーモラスなものを感じますね。
2012年度が始まりました。新しい担任の先生や教室、クラスメイトなどにもそろそろ慣れてくる頃でしょうか。年度当初の新鮮な気持ちを忘れず、この一年間がんばりたいですね。
さて今月は、この時期にふさわしい元気の出る本、ちょっとわくわくする本を紹介します。ファンタジックなものに興味がある人には特におすすめです。

『100人の物語』

井辻朱美/監修 講談社
  女の子はいつの時代もお姫様に憧れるのかもしれません。皆さんも「お姫様」になりたいと思ったことがありますか?この本は、お姫様100人の物語を集めたものです。実在の人物(ダイアナ妃,マリー・アントワネット他)からアニメや映画のお姫様(サファイア姫,あんみつ姫,レイア姫他)まで、洋の東西やジャンルを問わず、たくさんのお姫様の物語が楽しめます。また、面白いのが「プリンセス・ポイント」です。〈悲恋〉〈政略結婚〉〈悪女〉〈シンデレラ・ストーリー〉〈継母〉〈戦う姫君〉〈女帝〉! さて、あなたはどのポイントにひきつけられるでしょうか。

『あきらめないで 足みじかおじさんの旅』

やなせたかし/著 新日本出版社
  アンパンマンシリーズで有名な、やなせたかしが綴った大人のメルヘンです。足長おじさんならぬ「足みじかおじさん」は、あまりカッコよくもなく、正体不明の影のような人です。ご存知のように人生は困難にあふれていますが、足みじかおじさんは困っている人を助けてくれるのです。本人は「ごく初歩的な救助の仕事をしています。」と言っています。現代のようにあわただしい時代だからこそ、足みじかおじさんのような存在が必要とされるのではないのでしょうか。

『写真で歩く奥の細道』

久富哲雄/著 三省堂
  この本には、昭和期から平成期にかけて久富哲雄の写した『おくのほそ道』の写真百余点が掲載されています。深川を出発してから今の東北・北陸諸国を巡った六百里にも及ぶ芭蕉の旅を、読者も味わうことができます。本文と脚注も載っていますので、古文の勉強にもなるかもしれません。時間に余裕ができたら、この本を片手にのんびりと芭蕉の足跡をたどる旅をしてみたい、と思う今日この頃です。

2012年2月

「春浅き」は、立春を過ぎて、まだあまり日がたっていない、寒さの残っている頃のことを言います。この句の鷺の白い色も、鷺の細い足が水の上を動いていくようすも、春浅い感じをよく表していますね。
2011年度も残すところわずかとなりました。まだまだ寒い日が続きますが、体調管理に気をつけてがんばりたいものです。
さて、今回も新刊図書の中から三冊の本を紹介します。読書が苦手な人にも楽しめそうな本を選んでみました。新刊コーナーに置いていますので、手にとってみてください。

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『甲子園がくれた命』
中村計/著 講談社

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『元素図鑑 宇宙は92個の元素でできている』
エイドリアン・ディングル/著 池内恵/訳 主婦の友社

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2011年12月

待降節にはいり、各学年でクリスマスの奉仕活動の準備が始まっています。今年は11月の下旬になっても最高気温が20℃を超えるなど、なかなか本格的な冬の到来を実感できませんでしたが、さすがに師走の声を聞くと、めっきり冷え込んできました。急な環境の変化で体調を崩さないよう、気をつけましょう。
11月に実施した「図書館宝くじ」は、好評のうちに終了しました。貸出冊数も倍増し、昼休みにはカウンターに行列ができるほどの反響があったため、ぜひ来年度も実施したいと考えています。今回くじが当たった人もはずれた人も、再度チャレンジしてみてください。
さて、今回は新着図書の中から3冊の本を紹介します。今回紹介しているのは、小説と写真入りの資料ですが、冬休みの長期貸出の期間を利用して、普段読まないジャンルの本に挑戦してみるのも良いかもしれませんね。
(OAは12月3日の予定) 絵本『あおぞらリボン』がベストセラーになった陽子と、新聞記者の晴美は親友で、共に親に捨てられたという過去を持っています。ある日、陽子の息子が誘拐され、「真実を公表しなければ、息子の命はない」という脅迫状が送られてきます。「真実」とはいったい何か。絵本『あおぞらリボン』と一緒に読んでみてください。
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『ビジュアル源平1000人』
2012年の大河ドラマは『平清盛』ですが、その清盛をはじめとする多くの人物を紹介している本です。いわゆる「源平争乱期」を生きた人物たちのドラマに焦点を当てて詳しく描きつつ、彼らの祖先・子孫までも網羅している新しい源平本です。源平好きの人はもちろん、初心者にも十分楽しめる内容になっています。カラー図版も満載です。
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『旭山動物園写真集』
2009年にもこのコーナーで『夢の動物園』と『旭山動物園』の二冊の本を紹介しましたので、旭山動物園に関する本の紹介は三回目になります。斬新な展示方法が功を奏し、今や知らない人はいないといっても過言ではない旭山動物園。気鋭の写真家・藤代 冥砂が撮り下ろす動物たちの生き生きとした表情をお楽しみください。付録のDVDには約70分のムービーが収録されており、旭山動物園をまるごと味わうことができます。ほんとうに潔い写真集で、解説文はほんのちょっぴりです。ユキヒョウのビックのおなかの写真は圧巻です!
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2011年9月

   朝・夕はずいぶん涼しくなり、厳しい夏もようやく終りを告げる気配を見せています。新学期早々、台風の襲来による休校もありましたが、そろそろ落ち着いたペースを取り戻せたでしょうか。二学期は、記念祭バザーやクリスマス会をはじめ、多くの行事があります。ひとりひとりが自分の責任を果たし、充実した時間がすごせるように努力したいものです。
  さて、今月は、まもなく図書館に並ぶ予定の、新しい本を紹介します。写真や図解が中心の本を選んで見ましたので、ぜひ図書館に足を運んでみてください。
写真は、血統猫の撮影では実力・知名度ともに全米ナンバーワンの呼び声が高いシャナンが担当。猫の魅力を余すところなく伝えています。
「こんな教科書なら大歓迎!」という猫好きの人をお待ちしています。
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『世界ステンドグラス文化図鑑』
ステンドグラスは建物に明るい光を満たす壁面を作り出し、それまで人が感じていた平凡な光を、建物の目的に合った特別で意義深い光に変えます。筆者は、ステンドグラスを生んだ時代がそれぞれに寄せた文化的・宗教的期待を特徴付けることに力を注いだと語っています。
この図鑑は、小さな教会堂から大聖堂のものまで三百数十点のステンドグラスをとりあげて、窓に描かれた物語の意味やシンボルを図版とともに紹介しています。ステンドグラスの起源の時代から、20世紀のガラス作品まで、幅広い作品を解説とともに味わってみてください。
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『ひと目でわかる方言大辞典』
  日本には、さまざまな方言があります。(ちなみに、福山の言葉は、「備後弁」といわれています。)この本は、地域の「話し言葉」である方言について理解を深めてくれます。
地方別・都道府県別に全国の方言の特徴を詳しく解説し、方言を使った歌詞や物語なども紹介しています。また、日常よく使われる言葉を集めた「五十音順方言事典」では、共通語から全国の方言を調べることもできます。
  ここでクイズをひとつ。方言で、「あしのくび」「ぐりぐり」「くるみ」「くろこぶす」「いしなご」などと呼ばれるからだの部分はどこでしょう。
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2011年7月

「暑い…」思わずつぶやいてしまいそうです。
涼しい部屋に直行し、冷たい飲み物やアイスクリームで一息つきたくなります。でも、夏しか出来ないこともいっぱいあると思います。海水浴、キャンプ、花火大会などなど。2011年の夏、大切な思い出をつくって下さいね。
  今月は、新しく入った本の中から、夏らしいテーマの本三冊を紹介しましょう。
  この物語の主人公は、小学生の浅見光彦です。テレビのサスペンスドラマではぱっとしないルポライターですが、少年時代の光彦はどんな子どもだったのでしょうか。
  夏休みに家族と訪れた軽井沢の別荘地で、女性の行方不明事件がおこります。怪しい大男があらわれ、光彦や幼なじみの峰男くん、かわいい転校生の衣理さんは好奇心いっぱい。大人の心配をよそに、少年探偵たちの活躍が始まります。森の中ではいったい何が…?
  テレビでおなじみの光彦のお兄さんや、しっかり者のお母さんも登場します。
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『「雲」のコレクターズ・ガイド』
  夏空によく似合うのは入道雲でしょうか。塔のように高くそびえ、「天空の城」といった感じです。
この本は、世界のあちこちで撮影された雲の写真集で、中には、「環天頂アーク」や「ケルビン・ヘルムホルツ波の雲」など、日本ではめったに見られない珍しいものもあります。山や海で変わった雲を見かけたら、写真にとって帰って、巻末の雲写真インデックスとくらべてみてはいかがでしょう。
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『未来へ伝えたい日本の伝統料理・夏の料理』
  みなさんの中には、家族でお盆の帰省をする人もあるでしょう。お祖母ちゃん手作りの素朴な郷土料理は、いつもの夕食とはひと味違い、作り方を知りたくなりますね。
  これは、日本各地の、夏の食材を使った家庭料理を紹介した本です。調理しているのもプロの料理人ではなく、地元の方々なのです。写真を見て、作ってみたくなったら、ぜひ、挑戦してみて下さい。
この中の一品が、あなたのお家の自慢の家庭料理になりますように!
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2011年4月

(はん)芽ぶく 心は湧くに まかせたり      細見 綾子
 
新年度がスタートしました。今年は例年に比べて桜の開花は遅かったものの、入学式には坂道の見事な桜を眺めることができました。「新しい学年になったのだから、新しいことに挑戦してみよう。」「以前から続けていることを継続してがんばろう。」など、それぞれに決意していることがあることと思います。東日本大震災で大変な思いをしていらっしゃる方も多い中で、私たちは自分にできることをせいいっぱいやっていく義務があるような気がします。一人ひとりのがんばりが、きっと復興につながっていくと信じて、日々をすごしていきたいものです。
さて、今月は、文学以外のジャンルから三冊の本を紹介します。

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『築地直伝 魚のさばき方』
萩原淳/編集 辰巳出版(タツミムック)
『アスリートのための食トレ』
海老久美子/著 池田書店

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クイズの正解

2011年1月

新年明けましておめでとうございます。まだまだ寒さは厳しいですが、体調に気をつけて今年もがんばりましょう。特に受験生の皆さんにとっては、本番を間近に控えた大切な時期です。普段の実力がじゅうぶんに発揮できるよう、お祈りしております。
今月は、新刊の中から、三冊の本を紹介します。

文藝春秋

 最近、『ゴースト~ニューヨークの幻』が邦画にリメイクされて話題になりましたね。死者の魂がこの世に戻ってくる話に興味を持つ人は、いつの時代も少なくないのでしょう。
 物語は、三年前に行方不明になった夫・優介が、妻・瑞希のもとに戻ってくる場面から始まります。優介の好物だった餡入りの白玉を夜中に急に食べたくなった瑞希は、何か予感のようなものを感じていました。優介はすでに亡くなっていたのですが、はっきりとした姿を持っているし、食欲も体温もあります。ほかの人には見えないわけでもありません。二人は翌朝から、彼の死後にかかわった人たちを訪ねる旅に出ます。失うことの意味や、やさしさについてなど、多くのことを考えさせてくれる作品です。小説を読むのが好きな高校生にお勧めします。
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ローリー・ハルツ・アンダーソン/著 中井はるの/訳 金の星社

  この作品は、「マック動物病院 ボランティア日誌」シリーズの中の一冊です。この巻では、スニータという猫が大好きな少女が主人公です。町にハリケーンが近づいて浸水などの被害が拡大し、逃げ遅れた動物たちを救うために子供たちが活躍します。ふだんから自然災害に対する備えをしている人は多いかもしれませんが、ペットの避難場所まで考えている人は少ないと思います。巻末には、ペットの災害対策についてもまとめてあるので、実際に動物を飼っている人は参考にするとよいでしょう。挿絵もかわいく読みやすいので、中学生向きの一冊です。
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山下裕二/監修  ポプラ社

  教科書には、さまざまな「もの」の写真がのっています。特に歴史の教科書には、多くの写真がのっていますね。しかし、残念ながら、教科書の写真は、小さかったり、カラーでなかったりすることが多いようです。細かいところがわからなかったり、大きさのイメージがつかみにくかったりして、困った経験はありませんか?この図鑑では、縄文時代から明治時代にかけての歴史資料を、実物大で紹介しています。「写真では何度も見たことがあるけど、こんなに小さかったの?」など、新鮮な驚きを感じることができると思います。歴史に興味がある人に、特にお勧めします。
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2010年10月

   記録的な猛暑といわれた今年の夏。厳しい残暑がようやく終わりを告げ、秋の気配が感じられるようになりました。今年は秋が短く、厳しい冬になりそうだという予報も出ていますが、「読書の秋」を楽しむべく、今回は小説を中心にとりあげてみました。
  生徒朝礼で取り上げた作品も紹介しています。
もともと「郵便小説」として、選ばれた50人の読者にのみ郵送されたそうです。書き下ろされた最終章が加わって、単行本になりました。
「繭美」というキャラクターがたいへん印象的です。さて、最後にバイクのエンジンはかかるのか?エンディングの後を想像してみるのも楽しいと思います。
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夜行観覧車
  広島県出身の人気作家、湊かなえさんの新作です。『告白』が映画化されたこともあり、本校の図書館でもよく読まれている作家の一人です。遠藤家と高橋家にいったい何が起こったのか?坂道病とは何か?家族について考えさせてくれる作品でもあります。
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永遠の0(ゼロ)
  著者の百田尚樹さんは、放送作家としても有名です。『探偵ナイトスクープ』の構成なども手がけています。この本は2006年に単行本として出版され、2009年に文庫化されました。じわじわと売れ続けて、ベストセラーになったそうです。
 人生の目標を失いかけていた、佐伯健太郎とフリーライターの姉・慶子は、太平洋戦争で戦死した祖父・宮部久蔵のことを調べ始めます。元戦友たちの証言から浮かび上がってきた祖父の姿は、予想もしないものでした。60年にわたって封印されていた驚愕の事実とは……?
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ニッポンの嵐
  「自分たちが生きているこの日本のことをもっともっと知りたい」という思いで作られた本です。子供からお年寄りまで、幅広いファン層を持つ人気グループ「嵐」のメンバーが、各地を旅して、実感を語ります。非売品ですので、どうぞ図書館に読みに来てください。
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2010年4月

  新学期が始まりました。1年生の仲間作りの合宿と、4年生のオリエンテーション合宿も終了し、新しい教室や新しいメンバーにもそろそろ慣れてくるころでしょうか。運動会を目前に控えて、校内では応援団の練習も盛り上がっているようです。
  さて、今年度は久しぶりにベストセレクトの改訂がありました。各教科からのお勧めの本のリストも、図書館内に掲示しています。読書の授業がない高校生の皆さんも、積極的に図書館に足を運んで、お気に入りの一冊を見つけてください。
  今月は、新着図書の中から気軽に楽しめる三冊の本を紹介します。
びんにつめて3年くらいたつとおいしくなるので、出来上がりを楽しみに待ちましょう。
友達と「マイ梅干」を交換してみても面白いのでは?
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やなせたかし メルヘンの魔術師 90年の軌跡
  やなせたかしは1919年に東京で生まれました。(出生届は高知県で出されています。)この本は90歳の誕生日を迎える、記念すべき年に出版されました。彼が自分の人生について語っている文章の中から、引用します。「ボクは何をやらせてもおそいし、頭もよくないから、普通の人が三日でわかることが30年ぐらいかかってやっとわかったりします。」「ボクよりもはるかにはやくとびだした人たちがもうリタイヤしているのを見ると、自分はあまりきらめくような才能に恵まれなくて良かったかなと思うこともあります。」
  「アンパンマン」であまりにも有名ですが、やなせたかしは、作詞や雑誌の編集など多方面で活躍した人です。そんな彼の仕事を、彼の人生に即して味わえる本です。
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かのこちゃんとマドレーヌ夫人
  『鴨川ホルモー』が話題になった万城目学が、三鷹市第一小学校で取材をして書き下ろした小説です。かのこちゃんは小学校一年生の元気な女の子、マドレーヌ夫人は外国語を話す優雅なアカトラの猫、そして玄三郎はマドレーヌ夫人の夫で年老いた柴犬!彼らの毎日は思いがけない出来事の連続で、不思議や驚きに満ちています。
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2010年2月

  暖冬とはいえ、まだまだ寒い日が続いています。新型インフルエンザの流行は一段落した感じがありますが、季節性インフルエンザも侮れません。引き続き手洗い・うがい・換気などをおこなって予防につとめましょう。
図書館には、三学期も多くの本がはいりました。今月も、新しく登録した本の中から三冊を紹介します。新刊コーナーを覗くだけでも楽しいものです。
お気に入りの一冊を見つけに来てください。

ポプラ社

  北海道から沖縄まで、日本全国の郷土料理を、都道府県別に紹介した本です。郷土の伝統的な食材も紹介されており、料理とあわせて各地の食文化の違いを学ぶことができます。カラー写真が豊富に収録されているので、郷土の多彩な食文化を目で楽しむこともできます。広島県の料理では、牡蠣の土手鍋とあなごめしが、「農山漁村の郷土料理百選」に選ばれています。
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丁 宗鐵/著  講談社

意外なことかもしれませんが、正座が日本人に広く一般的習慣として受け入れられてから、100年あまりしかたっていないそうです。
正座とは、いったい何なのでしょうか。いかなる過程を経て特定の座り方のみを正しいという「正座」が生まれたのでしょうか。筆者は、正座の歴史的背景をわかりやすく述べ、これからの日本人が正座のよい面と悪い面を理解し、新しい正座文化を構築していくことを目指しています。正座にはデメリットもあることや、向いていない人もあることを認めた上で、正座をエクササイズとしてとらえる筆者の視点は、とても新鮮です。
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サイモン・シャーマ/著  高山 宏/訳 河出書房新社

 レンブラントは、17世紀オランダに生まれ、宗教戦争の渦中で育ちました。神童と呼ばれた彼が、どのようにして巨匠ルーベンスを超えて特異な画境にいたったのか。この本はその長い道のりを追っています。絵画史でありながら、小説であるかのように、バラバラの事件、ちぐはぐな時空の断章がゆっくりと展開し、つながっていきます。『ザ・タイムズ』の書評で「歴史書と伝記の奏でる音楽」と評されたこの本を、多くの図録と共に楽しんでください。
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2009年11月

全国的に新型インフルエンザが流行し、広島県でも警報が発令されました。
ひき続き、手洗いやうがいをしっかり行って、予防につとめましょう。
今回は、新刊図書の中から3冊の本を紹介します。映画のノベライズ本、人気作家の短編集、ステンドグラスの写真集を選んでみました。この三冊の本のほかにも、図書館の新刊コーナーでたくさんの本を紹介していますので、どうぞ手にとってみてください。
角川文庫
 この本は、映画『旭山動物園 ペンギンが空をとぶ』(2009年2月公開)の脚本をもとに書き下ろされた作品です。
前回も『夢の動物園』で旭山動物園を紹介しましたが、現在日本一の入場者数を誇るこの動物園も、かつては何度も閉園の危機に見舞われたことがあります。そんな苦境の中、子どもたちに「夢」を与えられる動物園作りに必死に取り組んだスタッフたちの姿が描かれています。二冊を比較しながら読んでみても面白いでしょう。
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あさのあつこ/作 
文藝春秋
『バッテリー』や『ナンバー6』でおなじみの、あさのあつこさんの短編集です。2007年から2008年にかけて、産経新聞の土曜日の夕刊に掲載された作品をまとめてあります。『玩具箱』というタイトルが示すように、色とりどりの6篇がぎゅっと詰まった、青春小説・ファンタジー・SF。幅広く活躍している著者ならではの一冊といえるでしょう。
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志田政人/著
東京書籍
著者は、フランス国立高等工芸美術学校ステンドグラス科で伝統的ステンドグラスの技法を学びました。在学中を含め、通算20年の歳月をかけて、フランスを中心とした約900の教会のステンドグラスを撮影・取材し、まとめたのがこの本です。
著者自身が撮影したカラー写真が豊富に使われていて、見るだけでも楽しめます。待降節を間近にひかえたこの時期にぴったりの一冊です。
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2009年9月

 夏休みも終わり、落ち着いて勉強に取り組める二学期がやってきました。
現在全国的に新型インフルエンザの流行が懸念されています。
手洗い・うがいをしっかり行って、予防につとめましょう。図書館にも新刊本が多数はいっています。今月は、新刊コーナーの中から楽しく読める三冊の本を紹介します。
角川学芸出版
 今、日本でもっとも人気のある動物園といえば、旭山動物園でしょう。
旭川という北の地にあるにもかかわらず、各地から多くの人々が訪れています。著者の坂東さんは、この旭山動物園の副園長として活躍されています。動物たちが本当に生き生きと過ごせる空間でありながら、訪れた人にもゆったりとくつろいでもらえる空間作りを目指しておられます。
この本では、野生動物のすごさや日本の動物園の「反省史」にふれるとともに、旭山動物園の行動展示の秘密や夢の動物園についても語っています。
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村田 裕子/作
講談社
 そう遠くない昔、まだ外食産業が盛んでなかった頃には、ごちそうは家で作るのが当たり前でした。きっとどこの家庭にも、定番のごちそう料理があることでしょう。今は、手作りしなくても、外食やデパ地下で何でも好きなものが味わえます。でも、それらはやはり、家庭で作るごく普通のごちそうのおいしさにはかなわないのではないでしょうか。
 この本は、昔から作り続けられてきた定番料理に、最近人気のメニューも加えた、現代のごちそう料理の決定版です。シンプルなレシピにこだわって、豊富なカラー写真を用いてていねいに解説してあるので、初心者でも安心して挑戦できます。この本を読んで「我が家のごちそう」を増やしてみませんか。
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NHKアナウンス室/編
東京書籍
  ことばは生き物であり、時代とともに変わるといわれています。日本では「書きことば」は長い年月をかけて熟成され、優れた文学作品を残してきましたが、その一方で「話しことば」の成熟は遅たと言わざるを得ません。社会が複雑化し、価値観が多様化した今、皆が理解し納得できる「話しことば」を築き上げていくため、ことばに関心を持って敏感に反応していきたいものです。
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2009年6月

   梅雨の季節を迎えました。今年は水不足が心配されており、長期予報が気になります。農作物のためにも恵みの雨を期待したいところです。体調を崩しやすい時期ですから、健康管理に気をつけて、睡眠と栄養を十分にとるようにしましょう。
  今月は新しい本がたくさん入り、図書館の新刊コーナーも充実しています。ぜひ図書館に足を運んでくださいね。

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『虎と月』
柳広司/作
理論社

2

『犬と人のいる文学誌』
小山慶太/著
中公新書

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2009年4月

(へ)にあはむ 中村憲吉

  新しい年度の授業もはじまって、そろそろ落ち着いてきた頃でしょうか。新入生の皆さんはもちろん、在校生の皆さんも、それぞれ期待や決意を持って新学期を迎えられたことでしょう。その新鮮な気持ちを忘れずに、充実した学校生活を送っていきましょう。
  図書館のオリエンテーションで毎回話していることですが、図書館は「学びの場」であり、「書物との出会いの場」でもあります。活字離れが進んでいると言われ始めて久しいのですが、皆さんが有効に図書館を利用して、在学中に多くの本と出会えるよう、お手伝いができれば幸いです。
  さて、今回は新刊図書のコーナーの中から選んだ本を紹介します。

平凡社

 絵本をみると心がなごむ、という人も多いのではないでしょうか。この本は、絵本好きな人106名のアンケートにもとづいて、2007年に刊行された本の上位ベスト23を紹介した本です。カラー写真でさし絵も紹介されており、見るだけでも楽しめます。以前このコーナーで紹介した『としょかんライオン』は、海外翻訳絵本の部門で一位になっています。
 国内絵本の分野では、落語絵本や狂言絵本なども人気だそうです。今、若い人たちの間にも、日本の古いものを見直す動きが広がっています。
図書館にも『ぶす』などの狂言絵本を入れてみたいと思っています。
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盛口満/著  サイエンスアイ新書

 私たちにとって身近な食べ物である、フライドチキン。フライドチキンを食べれば必ず骨が出ます。筆者はこのフライドチキンの骨から恐竜を探ることができないか、という試みをしています。一羽の鳥をバラバラにして油で揚げたのがフライドチキンですから、何ピースか集めれば、もとの一羽に戻るはず。さて、何ピースあわせると一羽分になるでしょうか。
答えはこの本を読んで見つけてください。
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乃南アサ/著  新潮文庫

  直木賞受賞の超ベストセラーが文庫化されました。作者の乃南アサさんは東京生まれの女性で、巧みな人物造形、心理描写が高く評価されています。この作品では、女性刑事・音道貴子の孤独な戦いが、読者の圧倒的共感を集めました。警察を舞台にした小説は、ほかにもたくさんありますので、司書室に声をかけてみてください。
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2009年2月

   いろんな思い出でいっぱいの2008年度も、あとわずかになりました。玄関横の花壇を見ると、霜に凍えそうになっていたパンジーやプリムラが、いつの間にか大きくなり、小さな花をそっと開いています。春はもう、そこまで来ているのですね。
  今月もたくさんの新刊書が入りました。その中から、見て楽しい本を2冊ご紹介しましょう。

JTBパプリッシング刊

 LRTとは、“Light Rail Transit”の略で、次世代型の路面電車のことです。皆さんも、岡山市の「モモ」や広島市の「グリーンムーバー」をごらんになったことがあるのではないでしょうか。
世界の先進都市は、自動車中心の交通システムを切り換えて、新しい街づくりのツールとしてのLRTを取り入れようとしています。ローマ、アムステルダム、ヒューストン、香港、日本では高知、長崎、富山などの街で、都市機能の一端を担うため、次々と新型の車両が導入されているのです。高齢化の進展や地球温暖化現象への対策として選ばれた、人と地球にやさしい交通システムであるLRT。今までの路面電車とはどのように違うのでしょうか?
世界の街をさっそうと走るすてきな電車たちの形や色には、それぞれのお国柄も感じられ、ちょっと乗ってみたくなります。
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露木宏/著 美術出版社刊

 デパートやショッピングモールのアクセサリー・ジュエリーコーナーは好きですか?
本物のダイヤモンドやサファイアは、生徒の皆さんにはまだちょっと早いけれど、可愛いビーズの指輪や手作りのブレスレット、バザーで買った銀の十字架などを、アクセサリーケースに集めている人も多いことでしょう。
アクセサリーやジュエリーといった装身具は、心の安らぎを得たり、おしゃれ心を満足させるという精神的な役割もあれば、権力や財力のシンボルにもなります。この本では、旧石器時代から現代にいたるまでの日本の装身具がたくさん紹介され、中には菅原道真の遺品の飾り帯や北条政子のくし(くし政)箱、ペリー提督の結婚指輪といった、かなり珍しいものもあります。日本史や工芸の資料としても楽しいものです。
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2008年11月

   アンジェラスの鐘の音がすいこまれていきそうな、蒼い美しい空。冬がやって来ました。朝、坂道を登って登校して来る皆さんの中にも、マフラーと手袋を身につけた人が目立つようになりましたね。
  夜も長くなりましたが、勉強のあいまに、あたたかい飲み物と、ほっと一息できる本はいかがですか? 図書館の新刊ケースを入れ換えましたので、ぜひ見に来て下さい。

ドン・ボスコ社刊

「ペトロ岐部と187殉教者」について、皆さんはシスターからお話を聞いたと思います。
徳川幕府の禁教令のもと、キリスト教の信仰を守り、全国各地で殉教した日本人の男女信徒・修道者・司祭です。このほど、日本で初めての列福式が行われました。
この本では、時代背景や、なぜ彼らが「福者(神から祝福された人)」に選ばれたのか、どのような生き方をした人たちだったのか、美しいさし絵とともにやさしい言葉で書かれています。どんな時も信仰を捨てなかった彼らの生き方から、勇気をもらいましょう!
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マリー=オード&エルヴィール・ミュライユ/著 徳間書店刊

 皆さんは、クリスマスのプレゼントを楽しみにしていますか? 友達どうしで交換する人もあるでしょう。
この本の主人公のジュリアンは、もうサンタクロースなど信じていません。両親に、高価なゲーム機をおねだりしました。でも、クリスマスの日、両親も知らないプレゼントがツリーの下にあったのです。本物のサンタさんがうっかり落としていったかもしれないプレゼント。よその子のためのものだったのか…。ジュリアンはプレゼントをどうしたでしょうか。返したのでしょうか。
こころがふんわりとあたたかくなる本です。
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柳広司/著  理論社刊

 夏目漱石の「吾輩は猫である」を読んだことがありますか? ちょっぴり長くて、でも何だかよくわからないエピソードが並んでいて、謎めいた部分もあります。
この「事件簿」は、猫が主人公ではなく、先生の家に居候することになった探偵小説好きの少年の目を通して語られます。漱石の作品に出てくる数々の出来事には、実は驚くべき事実が隠されていたとは!読み比べてみるのもおもしろいですよ。
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2008年9月

   秋の訪れとともに、暁の星の坂道は色とりどりの落ち葉におおわれます。赤、黄色、セピア色、形もさまざまで、季節からプレゼントされた美しい帯のようですね。
  図書館には、たくさんの新刊書が入りました。新刊紹介の書架にずらっと並んで、皆さんの利用を待っています。どうぞ手にとってみてください。
  今月はその中から、楽しんでいただけそうな二冊をご紹介しましょう。

晶文社刊

昨日のお昼ごはんに何を食べましたか?食べるということはとても大切なことです。この本では、食べ物がどこから来て、からだのために何をするのかなど、みなさんとのいろいろな関係を、クイズや漫画をつかってわかりやすく教えてくれます。
「ハンバーガーが英雄になった理由はなに?」
「チョコレートはにきびのもとって本当?」
「どんなことが、太り過ぎの原因になるの?」
答えはこの本のどこかにありますよ。
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バーバラ・マクリントック著  あすなろ書房刊

 皆さんの中には、しょっちゅう忘れ物や落とし物をする人があるかもしれませんね。学校に着いて、「あっ、体操服がないっ!」どうしようかと、頭が真っ白になります。
この本の主人公のシモン君は学校から家に帰る間に、立ち寄った先でいろんなものを置き忘れてしまいます。持っていたネコの絵、マフラー、なぜか上着やセーターまで…。いっしょに帰ったお姉さんはためいきをついたり、怒ったり、もうクタクタです。シモン君はどうして落とし物をしてしまうのでしょう。そして、なくなったものは見つかるのでしょうか?
お話の舞台は二十世紀初頭のフランスです。古い絵はがきのような町並みや人々の服装、インテリアの細部にいたるまで、ていねいに描かれた挿絵もぜひお楽しみください。
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2008年7月

  毎日暑い日が続いていますね。体調に気をつけて、充実した夏休みを過ごし、元気で二学期を迎えましょう。
  今年は創立六十周年の年です。九月の記念祭バザーには、遠藤周作文学展および、夫人の遠藤順子さんの講演会が開催されます。この機会に、遠藤周作の作品を読んでみましょう。集団読書で『最後の殉教者』を読んだ学年もあると思いますが、その他の作品も数多く図書館に揃っていますので、館内のパソコンで検索してみてください。カトリックと関係の深い『沈黙』や代表作といわれる『深い河』をまだ読んでいない人には、ぜひ読んでもらいたいと思います。
  さて、今月は、遠藤周作が訳に関わった『秘密のノーム』と夏目漱石の孫・半藤末利子のエッセイ『夏目家の福猫』を紹介します。

遠藤周作・山崎陽子・寺地伍一/訳  株式会社サンリオ発行

   作者のポールトフリートとヒュイゲンは、ノームの要請を受けて、つらい旅に出ます。二人は、キノコとクリームの食事を食べ終わり、気がついてみるとノームにされてしまっていたのです。ノームの特性である卓越した視力・すぐれた触覚・嗅覚・味覚・聴覚などを与えられ、ノームのとんがり帽子までかぶせてもらった二人が、シベリアの荒野を横断するのです。この作品は『ノーム』第2巻ですが、第1巻を読んだ人もそうでない人も楽しめます。オランダ人の画家ポールトフリートのみごとな挿絵や、遠藤周作のあとがきもおすすめです。

半藤末利子/著 新潮文庫

 今は絶版となっている『夏目家の糠みそ』と『漱石婦人は占い好き』の2冊の本からおもに漱石に関するものを一冊にまとめて出版したのが本書です。筆者は漱石門下の作家松岡譲と漱石の長女筆子の四女として生まれました。筆子から伝え聞いた夏目家の暮らしや、文豪の孫としての日常をユーモアたっぷりに描いたエッセイです。
『吾輩は猫である』のモデルになった仔猫が夏目家に住みついたいきさつをはじめ、夏目家に代々伝わる糠みその話などが書かれています。
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2008年5月

  新年度がはじまって、ひと月が経過しました。そろそろ周りの環境や、新しいクラスメイトにもなれてくる頃でしょうか。4月当初には、新入生の皆さんはもちろん、在校生の皆さんも、それぞれ期待や決意を持って新学期を迎えられたことでしょう。その気持ちを忘れずに、充実した学校生活が送ってほしいものです。
 
  図書館のオリエンテーションで毎回話していることですが、図書館は「学びの場」であり「書物との出会いの場」でもあります。皆さんが、在学中有効に図書館を利用し、多くの本と出会えるよう、お手伝いができれば幸いです。
 
  今月は、三冊の本を紹介します。テレビで紹介されたり、映画化されたりしているので、タイトルに聞き覚えのある人も多いのではないでしょうか。

講談社 青い鳥文庫

沖縄美ら海(ちゅらうみ)水族館のバンドウイルカ「フジ」は、がんこで子育て上手なお母さんイルカ。
そんなフジが病気で尾びれをなくしてしまいました。何とかして、フジにイルカの泳ぎを取り戻させたい。
そのためにたくさんの人々が時間を作り、知恵をしぼり、力を合わせました。ほんとうにあった、二年あまりの熱い物語です。
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キャサリン・パターソン/著  岡本浜江/訳 偕成社文庫

昨年映画化されて話題になった作品です。1977年に出版されると同時にたいへんな話題をよび、児童書では最高の栄誉とされる「ニューベリー賞」を受けました。
この作品は、現実にあった事件をもとにして書かれています。作者の息子のガールフレンドのリーサ・ヒルが、あるとき雷に打たれて死んでしまったのです。ハッピーエンドで終わらない作品ですが、きっと心の中に何かを残してくれるでしょう。
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小野不由美・畠中恵・上橋菜穂子ほか/著 新潮社

 著者の顔ぶれを見るだけで毎回ワクワクさせられる『yom yom』ですが、今号も期待を裏切りません。今回の表紙の色はショッキング・ピンク。
ページの中にもいろいろな仕掛けがしてあってドキッとさせられます。暁の星でも固定ファンが増えている雑誌です。
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2007年12月

(こがらしやふけゆくよわのねこのみみ)
 
今年も、残すところひと月となりました。寒さがしだいに厳しくなってくるこの季節、体調管理にはじゅうぶん気をつけたいものです。期末試験を乗り切れば、クリスマスの奉仕活動が控えています。暁の星ならではのクリスマスの行事を、落ち着いた心で迎えられますように…… また、お正月は日本の伝統的な行事に目を向けるよい機会だと思います。おせち料理に込められた意味を知っていますか?ぜひ手作りのおせち料理作りに挑戦してみてください。
 
さて、今月は、新刊図書の紹介です。冬休みは長期貸し出しを行いますので、大作や、普段あまり読まないジャンルの本に挑戦してみるのも良いかもしれませんね。

『絵巻平家物語』全9巻

木下順二 文 ,瀬川康男 絵

『ナイチンゲールの沈黙』『ジェネラル・ルージュの凱旋』

海堂尊 著

2007年11月

  秋の読書週間も終わりました。少し肌寒くなりましたが、読書に適した季節です。二学期に入ってから購入した図書の装備も終わり、これから続々新刊図書がならびます。あなたも図書館を訪れて、お気に入りの一冊を見つけてみませんか。
  さて、今月は、購入した新刊図書の中から3冊を紹介します。

PHP研究所

1994年に起こったルワンダの大量虐殺を知っていますか。ルワンダ政府の推定では、およそ100日間で100万人を超える人が殺された痛ましい事件です。『ホテル・ルワンダ』という映画を見た人もいるかもしれませんね。この本は、その大虐殺のまっただ中にあった著者の経験をたどった実話です。イマキュレーは、クローゼットほどの大きさのトイレの中で、91日間を7人の女性たちと共に過ごしました。彼女はその恐怖の中で「生かされた」ことの意味を学んだのです。
カトリックの信仰を持つ彼女は、その深い信仰によって奇跡を生み出しました。ほんの10数年前にルワンダで実際に起こった非人間的な恐ろしい出来事を描くと同時に、絶対に不可能と思われる状況の中での深い信仰と、生き残ろうとする決意を描いた物語です。

森絵都

  かわいらしいイラストの表紙で、新刊コーナーの中でも目立っている本です。中学生にも読みやすい本を、と思って購入しましたが、図書館の掃除を担当している六年生も気に入ってくれているようです。バレンタインデーにチョコレートを27個ももらった「こまつくん」には、実はあっと驚く秘訣があったのです。
この「にんきもの」シリーズは、私たちに元気を与えてくれる本です。同じ著者の『DIVE!!』もあわせておすすめします。こちらは、高飛び込みでオリンピックを目指す少年たちの物語です。

小塩隆 著  日本経済新聞社

 テレビや新聞からは、経済ニュースが毎日流れてきます。しかし、その経済がどのようなメカニズムで動いているのか、私たちは意外とわかっていないのではないでしょうか。この本では、私たちの経済に関する素朴な疑問にできるだけ正面から取り組んでいます。
・「野菜の値段はどうして毎日変わるのですか。」
・「年金のしくみを教えてください。」
・「株はどうすれば変えますか。」などの素朴な疑問に応えます。
 
経済に興味がある人は、ぜひ読んでみてください。

2007年9月

今年の夏は、例年と比較して、厳しい残暑が続きました。だんだんと秋らしくなってきましたが、知らないうちに夏の疲れがたまっているかもしれません。体調管理にじゅうぶん気をつけたいものです。 さて、9月は文化祭・記念祭バザー、そして10月には入試説明会と、これから行事が続きます。生徒の皆さんは、係の仕事などで忙しいかもしれませんが、そんな中でもほっと一息つけそうな本を紹介します。

新潮社・新潮文庫

著者の畠中恵さんは、漫画家アシスタント、書店員を経て、漫画家デビューしました。
その後、『しゃばけ』で第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞して、作家活動を続けています。病弱な若だんなを主人公とした『しゃばけ』は、読者からのラブコールによってシリーズ化され、『ぬしさまへ』『ねこのばば』『おまけのこ』『うそうそ』で、年々ファンを増やしています。あやかしがたくさん出てくるのに、独特のほのぼのとした雰囲気が魅力です。図書館には文庫化された『ねこのばば』までの三冊と、絵本『みぃつけた』がはいっています。

プラディープ・クマール 著 日本実業出版社

 サブタイトルには、「魔法のヴェーダ数学が伝える」と書いてあります。「ヴェーダ数学」は、計算の分野では類のない魔法の道具であり、この本は先人の知恵の宝庫である「ヴェーダ」から引き出した計算術を広めるために書かれた本なのです。
内容は、さまざまな公式とその応用、そして練習問題です。たとえば、65×65の計算が3秒でできるようになります。インド式暗算のテクニックを使って、あなたも計算名人を目指してみませんか。

新潮社

   新潮社が2006年12月に創刊した雑誌で、現在3号まで出ています。パンダのイラストが目立つ、かわいい表紙がトレードマークになっています。読み切り小説やエッセイも多く、執筆陣も豪華です。創刊号の顔ぶれを例に挙げると、石田衣良・川上弘美・梨木香歩・阿川佐和子・吉田修一・恩田陸……ほかにも多くの作家の名前があります。気軽に手に取ってみて下さい。

2007年8月

  例年より約一週間遅れて梅雨の季節がやってきました。体調管理に気をつけて過ごしたいものですね。6月23日のオープンスクールの日は、お天気にも恵まれて、多くのお客様をお迎えすることができました。図書館に足を運んでくださった方々、どうもありがとうございました。
  さて、今月は青少年読書感想文全国コンクールの課題図書の中から、二冊の本を紹介します。

小峰書店

  中学生の課題図書の中の一冊です。著者は火山学者ですが、料理が好きで、最大の息抜きはキッチンに立つことなのだそうです。休日にはキッチンでかなりの時間を過ごす著者が、身近な材料を使って火山のことをわかりやすく説明したのがこの本です。
実験材料はチョコレートやココア、牛乳にマヨネーズ・ソースなどおなじみのものばかり。もちろん実験した後は食べられるように、よく手を洗ってから実験を始めます。
噴火はめったにおこりませんが、火山の仕組みがわかっていれば、あわてることなくきっと危険を避けられる。著者のこんな思いが伝わってくる本です。キッチンで楽しく実験しながら火山の仕組みを勉強できたらいいですね。

川端 裕人 著 角川書店

 高校生の課題図書の中の一冊です。「ぼく(崇)」と妻の「今日子」義母の「たーちゃん」そして5歳の息子「ミライ」と2歳の娘「アスカ」。以上の五人が主な登場人物です。5つの短編の連作ですが、それぞれ独立した話として読むこともできます。
今日子はがんが再発して、入院中。二度目の手術を受けても5年後の生存率は50パーセントといわれています。そんな状況の中、命や宇宙について、それぞれの登場人物がいろいろな思いをめぐらします。少年時代の崇が「ミライ」と交流するなど、不思議な雰囲気を持った作品でもあります。「生」や「死」、命のつながりや宇宙について考えさせてくれる本です。

2007年6月

中間試験が終わり、春の読書週間が始まりました。梅雨入り前のこの時期はさわやかで、読書にも最適です。ぜひ、図書館に足を運んでみてください。今月は、新刊図書の中から2冊を紹介します。
新二はサッカー一家に生まれ、兄の健一は天才的なサッカー選手。当たり前のように中学までサッカーをしていましたが、今ひとつ試合で力を発揮できず、サッカーに対する情熱や希望を失っていました。一方連は生まれながらのスプリンターで中2の時には百メートルで全国大会の決勝まで進んだ選手。ところがどういうわけか中3になってから陸上を離れていました。そんな二人が入学したのが家の近くの公立高校・県立春野台高等学校だったのです。
陸上部の人はもちろん、運動に縁のない人にもおすすめしたい作品です。きっと風を感じることができると思います。「ハムが肉った」……これがわかれば、あなたも立派な陸上通です!
 
「大好き!ネコ町ナーゴ」
 “地中海に浮かぶ、猫が丸くなったような形をした島、それがナーゴです。14世紀の初頭、ニャンベル伯爵とともに50匹余りの猫がナーゴに移り住んできました。その猫たちの子孫が今では約22000匹にもなりました。ナーゴは、人間と猫が共に歴史を積み重ねてきた猫町なのです。”(本文より)
 ナーゴは、独自の通貨を持つ国です。(実在する国なのかどうかは自分で確かめてくださいね!)美しい石造りの町並みの中で、猫たちが悠然と暮らすナーゴ。この国には多くの観光客が訪れます。著者もナーゴを何度も訪れ、運命のネコたちに出会いました。オールカラーで、イラストはもちろん文字もすべて手書きです。猫を飼っている人もそうでない人も、楽しめる本です。付録の「あなたの猫ラブ度チェック」や、「この猫たちを探せ!」も面白いと思います。

2007年3月

   ついこの間新年を祝ったと思ったら間もなく2月がやってこようとしています。「光陰矢のごとし」とはよく言ったものですね。寒い季節ですが、こたつの中でのんびり読書、というのもこの季節ならではの贅沢かもしれません。
  さて、年末から1月にかけて、図書館にも続々新刊が入ってきています。今月は、その中から三つの本の紹介をします。

求龍堂

   著者の松岡正剛氏は、現在編集工学研究所所長で、情報文化と情報技術をつなぐ研究開発に携わる一方、日本文化研究の第一人者でもあります。「千夜千冊」は、もともとウェブで連載されていた書評で、アクセス120万を超える人気を得ていましたが、今回その内容に徹底推敲を加えて「全集」の壮観となりました。一人の作者について一冊しか書かないということを唯一のルールとして書かれた書評集で、著者の幅広い知識がうかがえます。読書案内として役立つのはもちろんですが、すでに読んだ本についての書評を読むのも面白いと思います。かなり分厚い本ですが、ぜひ手に取ってみてください。

石ノ森章太郎著 中央公論新社

 ご存じ、石ノ森章太郎氏の4年がかりの大作です。マンガなんかと侮るなかれ、解説や年表も充実していて、日本史の入門書としてぴったり。中学生でも十分読める内容になっています。

今泉忠明 監修 山と渓谷社

 105犬種の親子が登場する子犬の図鑑です。動物好きの人にはたまらない本です。子犬の写真を見ていると、思わず顔がほころんでしまう人も多いと思います。ほかにも、「世界の犬図鑑」「ネコの本」「動物の親子」などの写真集が 入っています。癒されること、うけあいです。

2007年2月

年が明けて、はやひと月が経過してしまいました。暖冬とは言うものの、久々の積雪もあり、まだまだ厳しい寒さが続きそうです。規則正しい生活を心がけ、体調維持につとめたいものですね。 さて、今月も、新刊図書の紹介です。以下で紹介した本のほか、岩波少年文庫や青い鳥文庫の作品が250冊以上はいりました。誰でも知っている世界の名作を中心に、日本の人気作家の作品や、シリーズなどもたくさんそろっています。活字が大きくて読みやすいので、中学生の皆さんにおすすめします。もうすぐ図書館の新刊コーナーに登場しますので、読んだことのない作品はもちろん、かつて読んだことのある作品をもう一度読んでみるのも良いと思います。

ケビン・ホークス/絵  新潮社

図書館にライオンがいたら、いったいどうなるのでしょう。この絵本に出てくるライオンは、文句なくかわいくて、「学校の図書館にもライオンがいたらいいのに」と思えるほどです。決まりを守るということについても考えさせてくれます。動物好きの人にとっては、たいへん魅力的な絵本です。

白石拓/著  宝島社

自然界には、まだまだ私たち人間が知らない秘密や不思議がいっぱいあります。この本では、生き物が持っている、人間が及びもつかない能力や生態を紹介しています。今年はネズミ年ですが、ネズミが涙も流すし恋の歌も歌うということはあまり知られていない事実だと思います。(「恋するネズミは涙も流すし歌も歌う」より)
  目次の小見出しのつけ方も絶妙で、ついつい読んでみたくなります。たとえば、「寄生されると自殺したくなる虫にご用心」・「深海にすむ地獄の吸血イカの正体は?」・「クモの糸で編む未来のスーパー防弾チョッキ」・「頭突きでエサをとる魚、本当にとれるの?」などがあります。

相田幸二(こうちゃん)/著  宝島社

 おいしい料理を作りたいけど、忙しくてできない。という人は意外と多いのではないでしょうか。そんなあなたにおすすめの、ブログから生まれたレシピ本です。献立に変化をつけたいお母さん方にもおすすめします。

2006年10月

   記念祭バザーも終わり、過ごしやすい季節がやってきました。食欲の秋・スポーツの秋・そして読書の秋。秋の過ごしかたにもいろいろあるけれど、本を片手に静かなひとときを過ごすのもなかなかいいものですよ。
  さて、今月は、新しく入った本の中から、『宇宙に行くニャ!』・『ピラミッドの謎』・『火の粉』を紹介します。

岩波ジュニア新書

   “なぜなにネコ”のタンメンと、“もの知りネコ”のビーフンがナビゲーター。マンガや写真を使って、ネコたちの疑問を解決していくという形をとっていますので、中学生でも十分理解できる内容です。手軽にできる実験や観察もたくさん紹介してあります。野菜くずや果物のかけらを利用した「野菜ロケット」を、あなたも飛ばしてみませんか?天体や科学に興味のある人には、特におすすめの一冊です。

吉村作治  岩波ジュニア新書

 フィロンによる「世界の七不思議」を知っていますか?その七不思議の中で今に残る唯一の ものがピラミッドです。テレビでもおなじみの著者は、エジプトの発掘に関わって40年になるそうです。そんな著者が、ピラミッドやミイラについて現段階でわかっていることをまとめたのがこの本です。ミイラマスクの顔が、ミイラになった人物の顔とちがっていることなど、 新しい研究の成果も盛り込まれています。古代のエジプトや考古学に興味のある人におすすめの本です。

雫井脩介 著  幻冬社文庫

 秋の夜長には、ミステリーが欠かせない、という人におすすめの一冊です。500ページを超える長編ですが、一気に読める作品です。元裁判官・梶間勲の隣家に、以前彼が無罪判決を下した男・竹内が引っ越してきます。竹内は、梶間家の人々の心を巧みにつかんでいくのですが、梶間家周辺では次々と不可解な事件が起こります。はたして竹内は、善意の人なのか……? 柔道の世界を舞台にしたデビュー作『栄光一途』や、アルペンスキー選手の事故死の原因を探る『白銀を踏み荒らせ』も、併せておすすめします。

2006年9月

   二学期が始まりました。記念祭バザーをはじめ、行事の多い二学期です。まだ残暑は厳しいですが、気持ちをひきしめてがんばりたいものです。
  今月は、天体に関する本『宇宙を読む』と、2006年10月に95歳を迎える現役医師、日野原重明先生の若い世代へのメッセージ『十歳のきみへ』を紹介します。

中公新書

  冥王星が惑星から格下げされるということが、夏休みにも話題になりましたね。それをきっかけに、空を見上げてみた人も多いのではないでしょうか。この本は、天文学の入門書です。天文学や宇宙についてはほとんど何も知らないけれど、少しは関心がある。そんな人のために書かれています。
私たちが住んでいる地球は、太陽の惑星の一つであり、惑星も立派な天体です。その地球に住んでいる私たちが、いろいろな天体や宇宙全体について知りたいと思うのは、必然なのかもしれません。
入門者向けに、分かり易い説明文が書かれています。写真も多いので、見るだけでも楽しめるかもしれません。今夜見る夜空と同じ夜空は、二度と見ることができないそうです。まさに、一期一会の世界を楽しんでみたいものです。

日野原 重明  冨山房インターナショナル

 筆者は、東京・築地にある聖路加国際病院の理事長です。医師になろうかと思い始めたのは10歳のとき。母の命をかかりつけの医師が救ってくれたときでした。そんな筆者が、10歳の子どもたちに伝えておきたい思いを著した本です。小見出しの中から、いくつか抜き出してみます。
・生まれて来たことは、それだけですばらしいことです。
・わたしにふりかかった人生で最悪の体験。そのおかげで、いまのわたしがあります。
・医師に必要なのは、病気についての知識だけではありません。
・両親からもらった遺伝子が、きみという人間の設計図になります。
・いいときも、わるいときも、家族はいっしょにいる。そこが、家族のすごいところです。
・なぜ、わたしたちが平和を実現できなかったのかお話ししましょう。

2006年7月

さて、今月も2冊の本を紹介します。

東洋経済新報社

  私たちが、ふだん口にしている食品には、どんな添加物が使われているのでしょうか。添加物の世界には、消費者には見えない「影」の部分がたくさんあります。
筆者は、食品添加物の専門商社に勤めていました。ですから、その経験を生かして、分かりやすく、添加物の話をしています。
見出しには、『「天然だし」も化学調味料入り』・「値段だけを見て買わないで」などがあります。いたずらに食品添加物を否定するのではなく、食品添加物のメリットを認めた上で、豊かな食生活とは何かを考えさせてくれる本です。

瀬尾まいこ  講談社

 瀬尾まいこさんの本は、暁の星の生徒にも大変人気があります。この小説は、『幸福な食卓』というタイトルから想像するイメージとは、少し違う話かもしれません。なにしろ、書き出しの一文が、「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」なのですから。
「父さん」「母さん」「直ちゃん」「小林ヨシ子」「大浦くん」など、個性的な人物が何人も登場します。いろいろな出来事が起こり、ハッピーエンドかと思いきや、予期せぬ結末が待っています。
学級委員決めや、老人ホームとの交流会など、身近な話題も盛り込まれていて、感情移入できる一冊だと思います。

2006年6月

   梅雨時はうっとうしくて嫌い、という人も多いことでしょう。でも、ものはかんがえようです。読書は、天気にかかわらず楽しむことができます。出かける予定が雨で中止になって手持ちぶさたなときは、本を手にとってみませんか。
  今月は、ちょっとおもしろいタイトルの本を二冊紹介します。

岩波ジュニア新書

 ミジンコは、漢字で書くと「微塵子」です。そのせいか、ミジンコを微生物だと思っている人もおおいようです。しかし、ミジンコはれっきとした多細胞生物で、体長が4ミリメートルを超えるものもあり、箸でつかむこともできます。分類学的には甲殻類に属し、エビやカニの仲間です。そんなミジンコのユニークな生態を紹介し、環境や生態系のしくみにまでふれている本です。

山本 良一 責任編集   ダイヤモンド 刊

 百円から数千円というわずかなお金からでも社会貢献ができることを紹介した本です。
お金は万能ではなく、お金でなんでも解決できるはずもないけれど、使い方によっては世界を変える原動力になります。お金は社会のシステムであると同時にあなたの意志であり、選択であり、それを伝える道具でもあるのです。一人ひとりのアクションが積み重なれば、大きな変化を起こすことができるできる。そんな50の事例が紹介されています。
たとえば、百円でカシューナッツの木が2本買えます。苗木は育ち身がなれば、インドの少数民族の人たちが暮らす森が再生され、やがては彼らの食料となり、収入源にもなります。
このように、お金の使い方を考えさせてくれる本です。
学校法人 福山暁の星学院
〒721-8545
広島県福山市西深津町三丁目4番1号
TEL.084-922-1682(学院直通)
FAX.084-925-1533(学院直通)
※ 個別のお問い合わせについては
下記までお願いいたします。

(中学・高等学校)
TEL.084-922-1682
(小学校)
TEL.084-923-5264
(幼稚園)
TEL.084-923-4244
(保育園)
         TEL.084-982-6815
 
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