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校長先生のお話

二学期始業式 式辞
2021-08-25
 今年の夏季休業は,新型コロナウィルス感染症とともに,前半は,広島県観測史上最高の気温38.5℃を記録する酷暑に,後半は3年前の西日本豪雨に匹敵する大雨にも見舞われ続け,尊い命が感染症,熱中症,自然災害で奪われ,改めて命を守る行動の大切さを痛感させられた夏になりました。
 こうした中ではありましたが,先ほど賞状伝達したように,多くの成果をもたらしてくれました。全国中学校選手権で上位入賞を果たした1年の渡辺桃加さんをはじめとする全国・中国大会での活躍,初めて中国大会の出場権を得たコーロステルラや今月末に開催される第6回高校生国際シンポジウムに向けての活動,そして,文化祭へ向けての生徒会を中心とする皆さんの活動等は大きな喜びであり,感謝いたします。
 また,1年延期された東京オリンピックが無観客ながら開催され,その様子が,連日,テレビ・新聞等で報じられました。とりわけ,開会式の旗手を男女がペアとなって務めたり,今まで男性のみで開催されてきた競技に女性が追加されたりと,さまざまな形でジェンダー平等への進歩を特徴づける大会となったことは特筆すべき点でした。また,日本代表は金27、銀14、銅17と合計58個のメダルを獲得しました。金メダル数、メダル獲得の合計はともに史上最多でした。新型コロナウィルス感染症対策としての様々な制約や開催されるかどうかの不安がある中でも,ひたむきに弛まない努力を重ねた選手,それを支えたスタッフ一人一人の努力が齎した成果と言えます。そんな今大会で日本の女性アスリートの活躍も、私たちに大きな感動と新たな可能性を示唆してくれました。スケートボードで13歳の西矢椛選手が日本史上最年少の金メダリスト,入江聖奈選手が日本女性初のボクシングでの金メダリストをはじめ,ソフトボール・水泳・柔道・レスリング・卓球混合等でも金メダルを獲得しました。入江選手の「きちんと練習とか努力を続けて,しっかりと真剣に向き合っていれば結果はついてくると思う」とのコメントは,皆さんの学習や部活にも通じるところがあります。是非この言葉に学んでほしいと思います。

 なお,私は,白血病からわずか2年半で五輪決勝の舞台に立った水泳の池江璃花子選手とバスケットボール女子初の銀メダル獲得にとても大きな勇気をもらい,夢に向かってやり抜く力(Grit)の強さを感じました。
 新聞記事の一部を紹介します。
 引き揚げる途中で,もう泣いていた。池江が号泣した。あまりの泣きっぷりに,五十嵐からぽんと肩をたたかれる。涙が流れるままに,声を震わせて言った。「1度はあきらめかけた東京五輪だったんですが,リレーメンバーとして決勝の舞台で泳げて,すごく幸せだなと思います」と涙がきらりと光った。
 「神様は乗り越えられない試練は与えない、自分に乗り越えられない壁はないと思っています」と闘病時期にはその心境を投稿し,本当に辛い治療を乗り越え五輪出場を決めた際には「自分がすごくつらくてしんどくても、努力は必ず報われるんだなんていうふうに思いました」とコメントしていた池江選手。今大会後の,この幸せの涙に拍手を送り,3年後のパリオリンピックを見据え「強くなっていると思われるように」という言葉に強いGritを感じ感服せざるを得ません。
 次に,平均身長12か国中11番目という日本女子バスケットボールチームが,初のメダル獲得。「小さくても勝てる」で世界驚かせました。
 小さな日本が、世界の高さに勝つためのバスケ。
それがスピード,ハードワーク,3ポイントシュート,そしてチーム力。
どのチームよりも速く、相手の高さを凌駕するスピードで攻めること。どのチームよりも走り続け、ハードなディフェンスを続けること。どのチームよりも多く、そして高い成功率で3ポイントシュートを決めること。そしてどのチームよりも頭を使い、多くの戦術を落とし込み、共通意識を持つこと。
 これらをオリンピックという大舞台で存分に発揮してのメダル獲得でした。
 小さい日本選手の中でも最も身長が低い1メートル62の町田瑠唯選手は,大会を通して75アシスト、準決勝のフランス戦ではオリンピック新記録の18アシストを挙げました。国際バスケット連盟は,これを高く評価し,東京五輪のベスト5に町田選手を選出しました。町田選手の「小さいなりにやれることはあると思いました。」という淡々とした言葉に,私たちは学ぶべき点が多くあり,新たなる可能性と勇気を与えてくれました。

 さて,本年度の二学期は、新型コロナウィルス感染症に係る「まん延防止等重点措置」地域に指定された中でのスタートとなりました。
 なお,広島岡山両県は,明後日より「緊急事態宣言」地域に指定される見通しであり,全く予断を許さない状況です。現在の第5波は,デルタ株による感染拡大と言われ,10代,20代に感染する割合が高くなっており,福山市内の小・中・高等学校とも,児童生徒の感染者が確認されています。皆さんの身近に迫っていることは確実です。改めて,先生方の指示や新しい生活様式に基づくソーシャルディスタント等を確実に実行し,「命を守る行動」をしっかりとりながら学校生活を送っていきましょう。本日,保護者宛の文を渡しますが,本人はもとより家族に発熱がある場合や感染者・濃厚接触者としてのPCR検査対象者がいる場合も登校は避けてください。
 二学期は,本来なら、記念祭バザーや修学旅行等思い出に残る行事も沢山ある学期ですが、本年度も、多くの行事がやむなく中止や延期縮小を余儀なくされています。
 しかしながら、文化祭だけは、生徒会執行部の皆さん方の知恵と創意工夫により、何とか開催される運びになっています。皆さん一人ひとりの節度ある行動で,9月10日の午後を迎えましょう。

 6年生の皆さんは、いよいよ受験期到来です。オープンキャンパス等への参加も制限され,新型コロナウィルス感染症の影響も懸念され予断を許さない状況ですが、体調管理とともに先生方とよく相談しながら志望校の受験対策に万全を期してください。
 1年生から5年生の皆さん、今は、いつどうなるか全く先行き不透明な現状です。だからこそ、「而今」,すなわち,今の瞬間を大切にして,今できることに全力を尽くしながら,自分の可能性を伸ばしていってください。そして,今授業を受けられること・活動できること・友と過ごせることに感謝しながら、日々の学校生活を送っていきましょう。
 昨日から,パラリンピックも開催されています。競技もさることながら,選手のこれまでの努力や生き方からも多くの学びが得られるとともに多くの感動も与えてくれることでしょう。
校長 小野田 文明
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