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校長先生のお話

一学期始業式 式辞
2021-04-05
 新型コロナウィルス感染症は,第4波到来で感染者倍増の恐れがあると言われ,感染防止への対応が極めて重要となっています。このように,本年度も,経済への影響はもちろんのこと,私たちの日常生活や学校教育にも多大な影響を及ぼす状況でのスタートとなりました。三学期の終業式に続き,新たなるスタートも,5,6年生はリモートでの挨拶となりました。皆さん一人ひとりの顔が見えないのが残念ですが,元気に登校してくれたものと思います。
 現在,県内でも感染拡大が懸念される状況であり,福山市内でも変異型が確認されました。緩みなく自ら感染しない行動をとることが極めて大切です。これまでも,何度もお願いしていますが,次の三点について,特に留意しながら行動してください。
 1.「密閉,密集,密接」という三密を回避
 2.こまめな換気の徹底
 3.マスク着用及び丁寧な手洗いや消毒の徹底
 密集・密接となる活動や部室等の狭い密閉空間での行動については,先生方の指示を必ず順守してください。
 なお,現在の感染症の状況を踏まえ,運動会は保護者の参観は控えていただき,縮小しての実施,1年延期した5年生の修学旅行は,カナダから国内に変更しての実施といたします。他の行事についても,今後の情勢を踏まえながら,慎重に検討してまいります。 

 さて,6年生の皆さんにとって,高校生活での最終コーナーに差し掛かり,夢の実現へ向けてラストスパートの時機到来です。昨年度から新たな入試制度がスタートし,大学入試共通テスト・総合型選抜・学校推薦型選抜の傾向も見えてきています。とりわけ,共通テストの英語においては,リーディングとリスニングの配点比率が4:1から1:1になり,「聞く」力をつけることがより重視されるようになりました。音声問題も,従来の2回から1回だけの聞き取りで解答する問題の比率が高くなる等の大幅な変更がなされました。こうした変化への対応はもとより,先生方からしっかりアドバイスを頂きながら課題を克服し,夢の実現を図ってください。
 6年生以外の皆さんも,こうした新たな入試動向を踏まえ,「オンライン」での外国の生徒等との交流や授業,GU・WEの授業等に積極的に臨み力を付けて行ってください。
 また,中3の皆さんが大学入試を受ける際は,新たな教科「情報」が加わることとなりました。この教科のサンプル問題では,プログラム作成を想定した問題も出題されています。さらに,地理歴史・公民も,科目構成を変更して実施されることが決定いたしました。
 昨年度の大学入試の傾向として,知識理解を推し量る問題だけでなく,思考力・判断力・表現力が必要となる問題も出題されるとともに,総合型選抜や学校推薦型入試においては,「主体的に多様な人々と協働していく力」や「学びに向かう力」にも言及した入試が実施されるようになってきています。
 ボランティア活動へ主体的に関わることや国連の掲げる17の持続可能な開発目標(SDGs)に係る活動等への参加は,これから求められている力を付ける上で有効です。
 とりわけ,SDGsでは,2030年までの目標達成をめざして,すべての人が平和と豊かさを享受できるようにするための普遍的な行動を呼びかけています。最近,テレビや新聞等でもSDGsに関する報道が頻繁になされるようになっていますので,見たことがあると思います。引き続き総合的な学習(探究)の時間等を活用し,SDGsに係る探究活動や自分たちができる主体的な行動等についての考えを深めていって下さい。
 こうした学力を付けるためにも,引き続き,三つの力(EGGの力)を大切にしながら学びの力を向上させてください。

 ● Empathy(共感する力)
 ● Grit(やり抜く力)
 ● Growth(学び続ける力)

 とりわけ,最後まであきらめずやり抜く力,Gritを大切にしてください。
 昨日,競泳の池江璃花子選手が,100mバタフライでメドレーリレーの標準記録を突破して見事優勝し,東京オリンピック代表に決定しました。世界のトップスイマーで前途を嘱望されていた池江選手が,2年前18歳で白血病に罹り,再起は極めて厳しい状況でした。しかし,強い精神力で,抗がん剤治療などの厳しい治療を乗り越えての快挙です。「つらくともしんどくても,努力は必ず報われると思った。」と涙ながらに語られていた姿がとても印象的でした。また,「このタイムでは,世界と戦えない。さらに高みを目指していきたい。」とのコメントには,Gritの強さを感じました。是非,皆さんも池江選手の生き方に学んでほしいと思います。

 さて,本年度の本校教育目標は,「而(に)今(こん) 命・恕(思いやり)・感謝の心を育む」にしました。昨年の「「命・恕・感謝の心を育む」に「而今」を加えたものです。本校が,坐禅静修会でお世話になる建功寺の枡野俊明さんは,著書「おだやかに,シンプルに,生きる」(PHP文庫)の中で,「『而今』という禅語は,命の真実は『今』にしかないことを説いた言葉です。私たちは『今』この瞬間にしか生きることはできません。(中略)であるからこそ,『今』という時間を大切に生きることが大事なのです。」と述べられています。
 本校を設立した援助マリア修道会創立者である福者マリー・テレーズ・ド・スビランも,「「私は急いで通り過ぎる旅人です。過去や未来ではなく,今の瞬間に全力を尽くすことです。」と言っています。
 通常の日常生活が儘ならない中だからこそ,「而今」すなわち,今という時間(瞬間)を大切にしながら学校生活を送ってください。ローマ教皇の「いのちという素晴らしいたまものは,私たちが初めて授かった贈り物です。」という言葉は何度も紹介していますが,本年度は, 15899名の尊い命を奪った未曽有の大震災から10年が経過,現在は,新型コロナウィルス感染症のために,1万に近い多数の命が奪われています。私たちは,これからも,授かった大切な命,かけがえのない命の大切さについて改めて思いを馳せながら生活するとともに,他者に対する「思いやり」と「感謝」の気持ちで溢れている,すなわち,「あたたかさ」と「やさしさ」が溢れている暁の星にしていきましょう。皆が安心して,元気に明るく笑顔で学校生活を送るとともに,持っている力を充分に発揮しながら,あなただけの素敵な花を咲かせてください。
校長 小野田 文明
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