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校長先生のお話

中学校 修了式 式辞
2020-03-04
 本日は,あいにくの雨模様となりましたが,今年は例年より早く麗らかな春の日差しが感じられ,春陽麗和の好季節を迎えようとしています。
 三年生の皆さん,卒業おめでとうございます。五十五名全員が卒業できることに,深い喜びを感じ感慨一入です。今日は,仲間と過ごした三年間の生活に別れを告げ,新たなる世界への第一歩を踏み出す日でもあります。
 新しい制服に身を包み桜の坂道を上ったあの日から三年間,かけがえのない友とともに全力で駆け抜けた中学生活,多くの貴重な体験を積み重ねてきました。振り返ってみると,林間学校・運動会などの学校行事,さらには,記念祭バザーや聖母月・クリスマス会・奉仕活動など多岐にわたる本校独自の行事を通して,「Women for Others」の精神と五つの校訓に基づく力を身につけてきました。また,学習面では,NHK全国俳句大会ジュニアの部で全国の中学校唯一の学校大賞に輝くなど多大な成果を上げるとともに,大阪の日本有数の企業訪問や地元企業での職場体験等で勤労観・就労観を養い,その成果をポスターセッションやプレゼンテーションで発表してきました。 
 私は,皆さんとともに本校の門を潜り,三年間の成長ぶりを目の当たりにしてきました。入学直後の校章授与式で,なかなか校章がつけられなかったあどけない姿が今でも思い起こされますが,先月の弁論大会やキャリアプラン3でプレゼンテーションしている姿は,とても堂々としており審査した先生方や多くの企業関係者からも高く評価されました。まさに,目を見張るほどの成長ぶりが伺え,「さすが三年生,しっかりしたな」と実感した瞬間でもありました。
 皆さんは,この三年間「赦し」「恕」について考え,その心を育んできました。コロサイの信徒への手紙三章十二~十三の「あなたがたは神に選ばれ,聖なる者とされ,愛されているのですから,憐れみの心,慈愛,謙遜,柔和,寛容を身に着けなさい。互いに忍び合い,責めるべきことがあっても,赦し合いなさい。主があなたがたを赦してくださったように,あなたがたも同じようにしなさい。」という教えに基づき,「赦し」「恕」の本質である「他者への思いやりの心」を育んできました。
 さらに,この一年は,「命」について深く考えさせられた年でもありました。とりわけ,「すべての命をまもるために」をテーマとしたローマ教皇38年ぶりの来日は,私たちに大きな勇気と希望をお与えくださいました。
 今年も,世界で勃発する戦争,カリタス小学校児童への殺傷事件,東日本で猛威を振るった台風等で尊い命が奪われてきました。そして,現在は,新型コロナウィルス感染症の脅威にさらされ,尊い命も奪われるとともに,通常でない生活を余儀なくされています。自然災害や新たな感染症の猛威の前にまだまだ無力な私たちですが,戦争や殺傷事件は,人が人を殺める行為であり,ゆるし難いものです。
ローマ教皇は「命という素晴らしい賜物は,私たちが初めて授かった贈り物です」と述べられています。これからも,幾多の困難に遭遇するかも知れませんが,恕の心と授かったかけがえのない命を大切にしていってください。
 皆さんは,義務教育を終え,いよいよ高校生活に入っていきます。これからは,与えられる学びから脱却し,より主体的な学びが重要となり,自己責任も伴います。今までより,少し大きな荒波の社会が訪れると思いますが,これからの三年間は,生涯の思い出の場になることでしょう。これからも,本校で育んだ心やGritを十分に発揮しながら,それぞれの置かれた場所で自分らしさを忘れず,青春真っ只中である高校生活を満喫してください。
 最後となりますが,竹内まりやさんの「いのちの歌」の中に「生まれてきたこと,育ててもらえたこと,出会ったこと,笑ったこと,そのすべてにありがとう,この命にありがとう」というフレーズがあります。かけがえのない命を大切にしながら,楽しいことや嬉しいことを分かち合った友との友情を更に育むとともに,これまで生み育ててもらった家族への感謝の気持ちを持ち続けてください。
 本校の中学卒業生は,一万人を超えていますが,皆さんは,令和の時代,最初の中学校卒業生です。令和の文字に込められたように,「一人ひとりが明日の希望とともに,それぞれの花を大きく咲かせることができますように」。

校長 小野田 文明
 
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