本文へ移動

校長先生のお話

卒業名「麗和の会」(第66期生)
2019-11-21
 本年度卒業する第66期生の生徒たちに,卒業名を11月21日(水)に発表しました。
卒業名・命名した意図・聖書の教えは次の通りです。
麗和の会
(れいわのかい)
 
 卒業生の皆さんは,この3年間「着眼大局 着手小局」「即今 当処 自己」「八面玲瓏」を学年目標として歩んできました。
 すなわち,「物事を広い見地から見ながら本質を見抜き,目の前の小さなことから実践する」「今,ここで,私が生きる(自分がやる)」「どこから見ても,心が清らかで美しく澄みきっている(だれとでも円満に付き合うことができる)」という意味合いの目標のもと成長してきました。さらに,学校目標では,「ゆるし(赦し,恕し)と命」の心を育んできた三年間でした。
 こうした目標のもと,皆さんは,心が清く美しい愛の人であり,人を和ませることができる大らかさを体得してくれました。そうした姿から,「うるわしい」「うららか」と読む「麗」という文字を選びました。この「麗」という文字は,端麗・華麗とか麗日と表現する際にも使われる文字で,容姿等が美しいだけでなく人に対する思いやりの気持ちがあって美しい,明るく朗らかで心にわだかまりがない,気分が晴れ晴れとして明るいという意味があります。この面からも,卒業生に相応しい文字と捉えています。 
 本年,38年ぶりのローマ法王の来日が実現することとなりました。法王フランシスコは,11月23日~26日の4日間滞在され,長崎・広島・東京を訪問される予定です。今回の来日のテーマは「すべての命を守るために PROTECT ALL LIFE」です。法王は,昨年のカトリック教会の世界平和の日(1月1日)に先駆け,1枚の写真「焼き場に立つ少年」を教会等へ配布されました。長崎で原爆投下直後に撮影され,幼くして死んだ弟を背負った少年が火葬の順番を待っている写真に「戦争が生み出したもの」との文言をつけ強いメッセージを出されたものです。核兵器は人類の平和と共存しないと「核のない世界」を提唱されるとともに,現在の世界情勢を「紛争の風が吹き荒れている」との懸念も表明されています。
 かけがえのない尊い命が紛争等で奪われる世界情勢とともに,我が国では,毎年のように未曽有の自然災害が襲い甚大な被害をもたらしている現状も踏まえ,これからも平和や和やかな生活を希求し続ける人であって欲しいとの願いを込め「和」の文字としました。
 また,本年は,「令和」の時代を迎えたばかりです。新元号発表の際,「一人ひとりが明日の希望とともに,それぞれの花を大きく咲かせることができるようにとの願いを込めた」との首相談話がありました。
 令和の時代最初の卒業生として,「れいわ」という読みに,二つの文字の意味合いも含め卒業名は,「麗和の会」(れいわのかい)といたしました。 
 麗和という言葉は,「春陽麗和の好季節」などと時候の挨拶の四文字熟語としても用いられます。「春の日差しが麗らかで和やかな良い季節」という意味でも使われ,卒業生の皆さんにふさわしい二文字だと確信し命名しました。
 常に平和を希求しながら,外面的な様子にも精神的にも賛美できる人となり,それぞれの花を大きく咲かせてくれるものと期待しています。
 
 聖書には,次のような教えがあります。
 
 こうして,ガリラヤ,デカポリス,エルサレム,ユダヤ,ヨルダン川の向こう側から,大勢の群衆が来てイエスに従った。
 イエスはこの群衆を見て,山に登られた。腰を下ろされると,弟子たちが近くに寄って来た。そこで,イエスは口を開き,教えられた。
 「心の貧しい人々は,幸いである,天の国はその人たちのものである。
 悲しむ人々は,幸いである,その人たちは慰められる。
 柔和な人々は,幸いである,その人たちは地を受け継ぐ。
 義に飢え渇く人々は,幸いである,その人たちは憐れみを受ける。
 憐れみ深い人々は,幸いである,その人たちは憐れみを受ける。
 心の清い人々は,幸いである,その人たちは神を見る。
 平和を実現する人々は,幸いである,その人たちは神の子と呼ばれる。
 義のために迫害される人々は,幸いである,天の国はその人たちのものである。」
                    (マタイによる福音 4:25~5:10)
 ※ マタイ5:2~10は,賛歌「その人は幸い」(聖歌集P.136)として歌われています。
 
 さらに,「ローマの信徒への手紙」3章12~17の中で,「皆迷い,だれもかれも役に立たない者となった。善を行う者はいない。ただ一人もいない。……その道には破壊と悲惨がある。彼らは平和の道を知らない。」,同12章17,18では「だれに対しても悪に悪を返さず,すべての人の前で善を行うように心がけなさい。できれば,せめてあなたがたは,すべての人と平和に暮らしなさい。」と教えています。すなわち,人としての秩序が壊れると平和が失われていくことを教え,善の行為(思いやりを持って人に接する行為)が平和な社会の実現につながることを教えています。
 皆さんを待ち受けている社会は,Society5.0を支える第四次産業革命やグローバル化が進展し予測困難な時代だと言われています。とりわけ,AI,IoT,ロボット,ビッグデータが中心になると言われ,かつてないスピード感で環境変化をもたらそうとしています。こうした社会になると,人と人との触れ合いが希薄になり,人に対する思いやり等も損なわれていくのではないかと危惧しています。
 だからこそ,本校66期卒業生「麗和の会」の一員として,平和な社会の実現を希求し続けるとともに,尊い命を大切にしながら人に対する思いやりの気持ちに溢れた麗人として歩み続けてほしいと願っています。
 あなた方の前途が幸多きものとなりますように!
 
 私があなたに与える命令は,平和。あなたを支配するものは恵みの業。
                       (イザヤ60章17節)
校長 小野田 文明
TOPへ戻る