理事長の話
【高等学校入学式】理事長祝辞
2025-04-07
『第74回 福山暁の星女子高等学校入学式 理事長祝辞』
新入生の皆さん、福山暁の星女子高等学校入学おめでとうございます。中学校時代の制服と違って、少し大人っぽいデザインの服に身を包み、気持ちも少し大人になったと感じておられることと思います。
さてこれから皆さんは、大人への準備を行なう最後の3 年間をここ福山暁の星で過ごします。こどもらしさが残っていた中学生から、自分の考え方や生き方を決めていく大切な時期になると思います。これからの3 年間は、多くの世界を知り、多くの友達と語り合い、悩みながらも自分の道を考える、あとで振り返ると、皆さんにとってかけがえのない3 年間になることでしょう。
では皆さんが準備する大人の世界は今どうなっているのでしょうか。
今世界は、アメリカ大統領が発した関税を巡る政策で、混乱の極みにあります。大統領の考え方の根本には、経済的な成功、それも自らを強くすることによって弱者からより多くのものを得ることにあります。ビジネスの世界と同様、そこには相手に譲歩を迫るディールがあり、ディールに勝つためにカード、切り札を持つ。いわゆる弱肉強食の世界、自己中心的な世界。しかもそれを最も強い国であるアメリカが行なっているのです。
ここにいる皆さんにこれからどのような影響が及ぶのかは、誰にもわかりません。しかし確実に言えることは、このような利己的な行動によって、弱い人、貧しい人に真っ先にその被害が及ぶということです。暁の星が大切にしていること、キリスト教が大切にしていることは「他者のために、他者と共に生きる」ということです。他者とは強い人ではなく、弱い人、貧しい人を言います。愛と信頼の心をもって他者と接し、他者を助ける行動を起こすこと、これこそが一人一人が幸福になる唯一の方法である
ことをキリスト教は教えています。
聖書には、善い行いをしてきた人が天国に迎え入れられた時に、神になぜ天国に入ることが出来たのかと質問する場面があります。
新入生の皆さん、福山暁の星女子高等学校入学おめでとうございます。中学校時代の制服と違って、少し大人っぽいデザインの服に身を包み、気持ちも少し大人になったと感じておられることと思います。
さてこれから皆さんは、大人への準備を行なう最後の3 年間をここ福山暁の星で過ごします。こどもらしさが残っていた中学生から、自分の考え方や生き方を決めていく大切な時期になると思います。これからの3 年間は、多くの世界を知り、多くの友達と語り合い、悩みながらも自分の道を考える、あとで振り返ると、皆さんにとってかけがえのない3 年間になることでしょう。
では皆さんが準備する大人の世界は今どうなっているのでしょうか。
今世界は、アメリカ大統領が発した関税を巡る政策で、混乱の極みにあります。大統領の考え方の根本には、経済的な成功、それも自らを強くすることによって弱者からより多くのものを得ることにあります。ビジネスの世界と同様、そこには相手に譲歩を迫るディールがあり、ディールに勝つためにカード、切り札を持つ。いわゆる弱肉強食の世界、自己中心的な世界。しかもそれを最も強い国であるアメリカが行なっているのです。
ここにいる皆さんにこれからどのような影響が及ぶのかは、誰にもわかりません。しかし確実に言えることは、このような利己的な行動によって、弱い人、貧しい人に真っ先にその被害が及ぶということです。暁の星が大切にしていること、キリスト教が大切にしていることは「他者のために、他者と共に生きる」ということです。他者とは強い人ではなく、弱い人、貧しい人を言います。愛と信頼の心をもって他者と接し、他者を助ける行動を起こすこと、これこそが一人一人が幸福になる唯一の方法である
ことをキリスト教は教えています。
聖書には、善い行いをしてきた人が天国に迎え入れられた時に、神になぜ天国に入ることが出来たのかと質問する場面があります。
『お前たちは、わたしが飢えていたときに食べさせ、のどが渇いていたときに飲ませ、旅をしていたときに宿を貸し、 裸のときに着せ、病気のときに見舞い、牢にいたときに訪ねてくれたからだ。』 すると、正しい人たちが答える。『主よ、いつわたしたちは、飢えておられるのを見て食べ物を差し上げ、のどが渇いておられるのを見て飲み物を差し上げたでしょうか。 いつ、旅をしておられるのを見てお宿を貸し、裸でおられるのを見てお着せしたでしょうか。 いつ、病気をなさったり、牢におられたりするのを見て、お訪ねしたでしょうか。』 そこで、答える。『はっきり言っておく。わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである。』
(マタイによる福音第25 章)
これは決して天国に行くことができる秘訣を述べているのではありません。
ではこの最も小さい者、弱い者に食べ物を与え、宿を貸した人は、その時どのような気持ちになったでしょうか。きっとお金では決して買うことができないような温かい、幸せな気持ちに満たされたのではないでしょうか。
福山暁の星女子高等学校は、成績を上げて希望の大学に入って自分の成功を収めることを教育の目的にしていません。小さい人を助け、弱い人と共に生きるために、自分に与えられた能力を十分に開花させ、それを使って人に尽くすこと、これこそが暁の星が大切にしている教育の理念です。そのために世界を知り、友達と語らい、多くの事を体験し、他者と共に生きるために賢くなること、これこそが皆さんが高校生生活の3 年間で行なうべきことです。
保護者の皆様に申し上げます。
この度は大切に育ててこられたお嬢様を福山暁の星女子高等学校におあずけくださり、誠にありがとうございます。新聞を見ると世の中は「対立」で語られる出来事が多く報道されています。そういう厳しい世の中にいずれは出て行くお嬢様方に対して、女性としての優しさ、強さ、かしこさを身につけることができるように、当学院といたしましても全力で教育に尽力して参る所存です。自分が生きていく社会の中で、対立する者同士を優しく包み込み、平和な世の中を作って行く、そのような生き方を選んでくれるように、教職員一同願っております。
新入生の皆さん、いよいよ今日から皆さんの新しい1ページが始まります。友達や先生と、これから始まる高校生生活を精一杯楽しんでください。
以上、高等学校入学のみなさんへのお祝いの言葉とさせていただきます。
2025年(令和7年)4月7日
学校法人 福山暁の星学院 理事長
田中 靖