理事長の話
【高校卒業式】理事長告辞
2025-03-01
『第71回 福山暁の星女子高等学校卒業式 理事長告辞』
エイレーネの会の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
エイレーネの会の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
卒業式というのは、船の進水式に似ていて、造船所で建造された船が完成し、いよいよ外洋に出ていく、その時になぞらえることができます。外洋に出ると波も高いし、嵐に出会うかもしれない。それに耐えられるように造船所でしっかりと形作られた丈夫な船体で、自信をもって波を切り裂き、嵐の中でも突き進んでいく。そして一つの航海が終わったら、港に戻ってゆっくりと船を休ませる。
さて、皆さんがこれから船出する海は、今、嵐の状態にあると言っても過言ではないでしょう。ウクライナとロシアの戦争を持ち出すまでもなく、世界全体で、自分の国さえよければという利己的な考えが台頭してきています。そこに正義はなく、弱者の不幸の上に強者の幸福があるという弱肉強食の世界があるだけです。
これは決して遠い国だけの出来事ではありません。日本でも多くの不正義が見受けられます。たとえば外国人技能実習制度、もちろん正しくその目的のために運営されている場合もあるのですが、これを現代の奴隷制度と呼ぶ人もいます。日本の技能実習制度は「発展途上国の人々に技術を学ばせる」という建前で、一部には低賃金で過酷な労働を強いる実態が見受けられるのも事実です。安い労働力により大きな経済的利益が会社側に得られるため、本来の目的から逸脱した不正義が、ここ福山でも起きてい
ます。
ローマ・カトリック教会の教皇であったヨハネ・パウロ2 世は、冷戦終結時にレーガン・アメリカ大統領と協力してソ連邦を崩壊に至らせたことで有名です。1981 年、北大西洋条約機構(NATO)国防大学校の関係者に対し、「平和に対する最大の脅威は、核兵器の備蓄だけでなく、利己的な目的のために平和そのものの概念を変え、操作することである」と述べています。今の世界は言うに及ばず、日本が平和であると錯覚してはいけません。一見平和に見えても、私たちが知らないところで平和に反する出
来事がたくさん起きているのです。
皆さんは将来の職業はもう決めていますか。学校の先生、キャリアウーマン、看護師、公務員など、皆さんそれぞれ将来の夢をお持ちでしょう。また、まだ決まっていないという方もおられることと思います。将来何を職業とするか、これはとても大切なことですが、では、どのような人になるかを考えたことはあるでしょうか。思いやりのある人、優しい人、明るい人、人を元気づけられる人。私は皆さんに、何よりも平和をつくる人になっていただきたい。皆さんが関わる人々が皆平和な心を持つように、
これからも多くのことを学び、多くの人々に出会い、平和を求める人々に寄り添っていって欲しい。これから皆さんが漕ぎ出す海原では、平和を求める人、あなたを必要としている人に出会うことになるでしょう。出会ったときには、その人のために、また平和のために行動して欲しいと思います。これこそが我が暁の星が大切にしている「他者のために生きる」ことです。
最後に、今からおよそ800 年前に生きたアシジの聖フランシスコの「平和を求める祈り」を皆さんに送ります。
これは決して遠い国だけの出来事ではありません。日本でも多くの不正義が見受けられます。たとえば外国人技能実習制度、もちろん正しくその目的のために運営されている場合もあるのですが、これを現代の奴隷制度と呼ぶ人もいます。日本の技能実習制度は「発展途上国の人々に技術を学ばせる」という建前で、一部には低賃金で過酷な労働を強いる実態が見受けられるのも事実です。安い労働力により大きな経済的利益が会社側に得られるため、本来の目的から逸脱した不正義が、ここ福山でも起きてい
ます。
ローマ・カトリック教会の教皇であったヨハネ・パウロ2 世は、冷戦終結時にレーガン・アメリカ大統領と協力してソ連邦を崩壊に至らせたことで有名です。1981 年、北大西洋条約機構(NATO)国防大学校の関係者に対し、「平和に対する最大の脅威は、核兵器の備蓄だけでなく、利己的な目的のために平和そのものの概念を変え、操作することである」と述べています。今の世界は言うに及ばず、日本が平和であると錯覚してはいけません。一見平和に見えても、私たちが知らないところで平和に反する出
来事がたくさん起きているのです。
皆さんは将来の職業はもう決めていますか。学校の先生、キャリアウーマン、看護師、公務員など、皆さんそれぞれ将来の夢をお持ちでしょう。また、まだ決まっていないという方もおられることと思います。将来何を職業とするか、これはとても大切なことですが、では、どのような人になるかを考えたことはあるでしょうか。思いやりのある人、優しい人、明るい人、人を元気づけられる人。私は皆さんに、何よりも平和をつくる人になっていただきたい。皆さんが関わる人々が皆平和な心を持つように、
これからも多くのことを学び、多くの人々に出会い、平和を求める人々に寄り添っていって欲しい。これから皆さんが漕ぎ出す海原では、平和を求める人、あなたを必要としている人に出会うことになるでしょう。出会ったときには、その人のために、また平和のために行動して欲しいと思います。これこそが我が暁の星が大切にしている「他者のために生きる」ことです。
最後に、今からおよそ800 年前に生きたアシジの聖フランシスコの「平和を求める祈り」を皆さんに送ります。
神よ、
わたしをあなたの平和の道具としてお使いください。
憎しみのあるところに愛を、
いさかいのあるところにゆるしを、
分裂のあるところに一致を、
疑惑のあるところに信仰を、
誤っているところに真理を、
絶望のあるところに希望を、
闇に光を、
悲しみのあるところに喜びをもたらすものとしてください。
慰められるよりは慰めることを、
理解されるよりは理解することを、
愛されるよりは愛することを、わたしが求めますように。
わたしたちは、与えるから受け、ゆるすからゆるされ、
自分を捨てて死に、
永遠のいのちをいただくのですから。
2025年(令和7年)3月1日
学校法人 福山暁の星学院 理事長
田中 靖