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校長先生のお話

一学期終業式 式辞
2022-07-20
 まず、今学期の校長賞を発表します。
 今学期の校長賞は、「生徒の皆さん全員」といたしました。
 理由は、皆さんの感染症対策を十分に踏まえた適切な行動により、3年ぶりの運動会の終日開催・合唱コンクールの開催をはじめ、校内及び校外活動を予定どおりに実施することができたからです。
 ここ三年、コロナ禍で教育活動が十分に行えない学期が続いていました。全国的には、新型コロナウィルス感染症のために、臨時休業・学級閉鎖等を余儀なくされ、未だ十分な教育活動が保証できない状況が続いています。見えないウィルスとの戦いで、いつ誰が感染してもおかしくない状況です。本校でも、いくらかの影響を受けた人もいましたが、全体的には大過なく一学期を終えることができました。
 本当に、生徒の皆さんのおかげです。感謝いたします。
 こうした意味合いから「生徒の皆さん全員」へ校長賞を送ります。
 先生方、生徒へ大きな拍手を送ってやってください。
 各種イベントの進行役や発表等の重責を担って活動するとともに、コロナ禍のため閉塞感漂う学校に元気と明るさを取り戻したいと土曜放送の新企画を推進してくれた生徒会、運動会を盛り上げた応援団や新種目を考案した実行委員、ラジオやテレビに出演し、本校の取組等をアピールしてくれた皆さん、先ほど賞状伝達したように各種大会やコンクール等で見事な賞を獲得した多くの皆さん。それぞれの活動は、「自分で考え、自分で行動する」すなわち、「自律」を体現したものや自己の成長・成果を表したものであり、どれをとっても校長賞に値するものであったことを付け加えておきます。私自身にも、大きな活力と勇気を与えてくれる見事な活動・活躍でした。本当にありがとう。

 さて、皆さんにとってこの一学期は充実したものとなったでしょうか。
 様々な活動を通して、成長の喜びを味わいながら,あなただけの素敵な花を咲かせることができていますか。
 中高生時代は、悩みを抱えたり、苦しんだりすることもある時代です。それだけに、ちょっとした言動にも深く傷ついたり不安を抱えたりすることもあります。とりわけ、全国の中高生の中でライン等のSNSを巡るトラブルに巻き込まれ大きな課題を抱えたケースは報道等でも多く紹介されています。
 他の人の悪口を書き込んだり、無断で写真を掲載したりすることは、人を不安に陥れる卑劣な行為であり、犯罪行為にもつながりかねませんので、絶対にしないようにしてください。

 6年生の皆さんにとって、大学受験等自分の将来につながる進路実現へ向けての大切な35日間です。夏季補習もあり大変だと思いますが二学期から本格化する受験へ向けての学力をつける上で極めて重要な時期と言えます。「夏を制する者は受験を制す」といわれるように、この夏の過ごし方が、進路に大きく影響することは、言うまでもありません。まさに、1秒を削り出す覚悟で今という一瞬一瞬を大切にしながら「弱点補強と不得意科目の克服」に取り組み確実に力をつけてください。「而今」と「Grit」がキーワードです。誕生日を迎えた6年生の皆さんは、新成人となり選挙権等も与えられ大人としての自覚ある行動が求められます。自分の判断で決定できることも増えますが、一方、安易な契約等でトラブルに巻き込まれる可能性もありますので、家族等へ相談しながら行動してください。

 1年生から5年生の皆さんの中には、この夏季休業中、中国・全国大会に出場したり、校外活動等に参加したりする人もいます。それぞれが、日ごろの成果を発揮でき、目標を達成できるよう祈念しています。精一杯力を発揮してきてください。また、家族で有意義な時間を過ごす予定の人もいると思います。この夏しかできないこともあります。それぞれの皆さんが充実した夏休みを過ごせますように。
 とはいえ、今年の夏休みも、新型コロナウィルス感染症の影響を受けそうです。現在、感染力の強い「BA.5」への置き換わりが進み、全国的に急拡大している状況です。近隣の島根・愛媛県では過去最多の感染者数も報告されています。昨日、広島県は、1日当たりの感染者数が、今月末には、4500人になるとの試算を明らかにされました。これまでの最多1599人を大幅に上回る予測です。明日から8月24日までの35日間の夏季休業となりますが、感染症対策は勿論のこと熱中症対策にも十分留意しながら元気に過ごしてください。

 私にとっての今学期を振り返ると、人の命や平和の大切さに直面し続けた学期であったと感じています。衝撃的な安倍元首相への銃撃事件、依然として日々報道され続けるロシア軍によるウクライナ侵攻。改めて、命と平和の尊さとともに希望の光が強く求められていると痛感した学期でもあり、次の映像が頭をよぎりました。
 (NHK「サグラダ・ファミリア~輝く星の塔 マリアの祈り」の一部視聴)

 最後に、短歌二首を紹介します。
 「はつかなる山の紅葉のひんがしに母校の塔のクルスほの見ゆ」
 「からたちを初めて知った通学路の坂にアンジェラスの鐘を聴きにき」
 この短歌は、昨年9月発行された児島昌恵歌集「空の鈴」(ながらみ書房)に掲載されている句です。作者は、現在、東京にお住まいですが本校の六期生です。「アンジェラスの鐘」の句は、本の帯で紹介されるとともにこの句集の最後に掲載されています。作者にとって、一入に思い入れが強い句であることが伺えます。
 先日、宗教朝礼で、本校の建設当時のことが伝えられました。戦後、この地に本校が建設された当時は、福山駅から東方面を見ると、本校が一目で確認できたとのことです。作者の登校時は、そうした時代であったことと推察すると一句目の情景もよく伺えます。このことを踏まえ、解説されている歌人の谷岡亜紀氏は、「尾道、鞆の浦。作品には瀬戸内海のさらさらした清潔な光が差している。そして最後の「母校」の歌によって、作者がキリスト教系の学校に通っていたことを知り、この歌集全体に流れる慎ましく敬虔な人生への思いに、改めて思いを巡らせるのである。」と解説されています。とりわけ、二句目について、谷岡氏は、「作者は少女時代、通学路の坂で、遠い予感に呼ばれるようにその鐘の音を聴いた。そしてその運命の鐘の音は、いまだ作者の耳に、またこの歌集全体に、静かに鳴り響いているのである。」と述べられています。本校での生活を歌にしていただいたことに深く感謝するとともに、人生の糧にしていただいている姿に学びたいと思います。
校長 小野田 文明
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