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校長先生のお話

一学期終業式 式辞
2019-07-10
 今,一学期の校長賞として「インターハイ,すなわち全国高等学校総合体育大会へ出場する5名」の皆さんを表彰しました。陸上競技は沖縄,少林寺拳法は宮崎で開催されます。なお,飛込の中国地区予選が今月20,21日に開催され,5年の高田蒼衣さんが出場します。この予選を突破すれば,沖縄での高校総体に出場することとなります。それぞれが,福山暁の星女子高等学校の一員として大会に臨みます。
 この大会は,多くの運動部所属の高校生が目標としている大会であり,地区予選を突破した高校生が参集する夢舞台です。当然,緊張すると思いますが,その緊張感を楽しみながら,臆することなく日頃の練習の成果やGritを如何なく発揮してきてください。Gritには,情熱と粘り強さが大切です。情熱を持って,粘り強く挑戦してくれることでしょう。(ここで5名の生徒が一言ずつ決意を述べました。)皆さんで,激励の意味を込めて大きな拍手を送りましょう。
 
 さて,令和の時代が始まり,2か月と10日経過したばかりです。一人ひとりが明日の希望とともに,それぞれの花を大きく咲かせることができるようにとの願いが込められスタートした時代ですが,皆さんにとってこの一学期はどんな日々だったでしょうか。振り返ってみて,自分の成長が感じられましたか。自分の花をさかせることができましたか。
 社会に目を向けると,平和が危惧される国際情勢や命が蔑ろにされる事件が,頻繁に報じられています。また,AIやIotの予測を遥かに超えた加速度的な進展の様子は,連日のように新聞やテレビでも報じられるようになり,私たちの生活にも大きな変化を齎しつつあります。これからは予測不能の時代に突入すると言われています。
 こうした時代だからこそ,AIやロボットが持ちえない人としての感性や道徳心が益々重要な時代になると言われています。
 
 喧騒もなく,端正な落ち着きで授業や放課後学習等に向き合っている生徒たち。実にたおやかで,きめ細やかに生徒一人ひとりに向き合いながら関わり続ける教職員。そして,開校以来の伝統ある校舎や磨き上げられた廊下。いずれも,静謐な雰囲気が漂い,まさに,「学び舎として最適環境ここにあり」との感を強く抱いている所です。
 
 これは,私が就任して感じたことを二年前の入試広報誌に掲載して頂いたものですが,今,この文章を読み返してみて,「静謐な雰囲気が漂う学び舎」は,大切に守っていかなければならない校風の一つだと改めて実感しています。本校にとって,マリア様が居られるこの講堂は,とても厳粛な場所です。最近の講堂への出入りの様子等から,就任直後の静謐さが少し薄れてきています。
 皆さんは,TPOという言葉を聞いたことがありますか。Tは,Time(時間),Pは,Place(場所),Oは,Occasion(場合)を表わしています。「TPOを弁えて相応しい振る舞いをしましょう」などという表現でよく使われています。時,場所,場合に応じた振る舞いが大切であることを述べた表現です。すなわち,「いつ,どこで,どのような場面か」をよく理解して行動したり言葉を発したりすることが人としての在り方だという教えです。私たち人間には,考える力が与えられています。TPOを弁えることをほんの少し考えて少し意識して行動してください。こうした行動がとれるようになることで,これまで先輩たちが築いてきた伝統や校風が守られていくことでしょう。
 
 さて,皆さんは,今学期,運動会・聖母月の祭壇飾りや奉献の祈り・中学合唱コンクール・オープンスクール等の学校行事や生徒会活動・部活動などに取り組んできました。
 私は,皆さんの生き生きと活動している姿や真摯に取り組んでいる姿勢に数多く触れることができ,とても元気とやる気を頂きました。しかしながら,一方で,寂しさや辛い思いからかやや俯き加減の姿も見られ心を痛めています。
 つい先日中学二年生が友人を刺殺したとのとてもいたたまれない悲痛な事件が報じられました。詳細は定かではありませんが,「教科書を隠されたことがあった」との報道もあり,恨み・妬み・悪口等が背景にあるような気がします。これまでも,いじめによりかけがえのない命が奪われていることを捉え,決して,いじめは許さないと皆さんに何度も伝えてきました。この度は,ついに友を殺すという事象に至ったということで,嫌がらせやいじめが人の命を奪う事件に発展しかねないという警鐘とともに,いじめは看過できないということを,改めて,突き付けられた気がしています。
 本年度の教育目標の「命と恕の心」が,人として如何に重要であるか,このニュースは,教えてくれている気がします。
 聖書の中では,ペトロの手紙第一 三章10-11で「命を愛し,幸せな日々を過ごしたい人は,舌を制して,悪を言わず,唇を閉じて,偽りを語らず,悪から遠ざかり,善を行い,平和を願って,これを追い求めよ。」と教えています。
 「命・恕の心を育む」の達成には,この教えに基づいた言動が不可欠です。
 暁の星ファミリーとして,一人ひとりが思いやりに溢れた行動がとれ,皆が自分の花を咲かせ笑顔で過ごしている学校にして行きましょう。
 皆さんは,これから,46日間の長い夏休みに入ります。
 とりわけ,6年生にとって,受験に向けて最重要ポイントとなる最後の夏休みです。1期から4期に渡って補習が組まれています。まさに,自分の夢の実現に向けて,時間を大切にしながら,しっかり取り組まなければなりません。後悔先に立たず。過ぎ去った時間は,取り戻すことができません。皆さんにとって,今年が納得した時間の積み重ねになることを願っています。皆さんの学年目標は,「八面玲瓏」です。一つのことに丁寧に取り組む集中力とやり抜く力を発揮し,実力を伸ばして行きましょう。
 この夏休み中,多くの皆さんが大会やボランティア等の校外活動に参加することとなっています。様々なことに挑戦したり,取り組んだりする絶好の機会です。 その中でも,ギターマンドリンや室内管弦楽の皆さんは,全国大会や全国総合文化祭に,3年生の田口真衣さんは,ジュニアオリンピックカップ全国中学生弓道大会に出場することとなっています。練習の成果を存分に発揮してきてください。応援しています。
 さらに,今週の土曜日13日には,本校のコーロ・ステルラを中心とする35名の皆さんが,TBSテレビの「音楽の日」に生出演します。放映予定時間は,20時頃からとのことです。岩手・富山・広島・長崎の約300人の高校生等が東京の長渕剛さんと「乾杯」を合唱します。その様子が全国に5元中継されます。全国に本校の名を轟かせてくれることでしょう。
 それぞれの活動が,自己を磨き一回り大きく成長させる夏休みにしてくれることでしょう。
 
 昨年の西日本豪雨災害から,1年。広島・岡山では,217名の死者がでる未曽有の災害でした。両県では,行方不明者が未だ8名という状況です。本校も斜面の崩落という被害を受けました。先生の中には,最愛の祖母を亡くされた方もおられ,大きな傷跡を残しています。改めて,亡くなられた皆様に哀悼の誠を捧げます。
 今月六日には,被災地で追悼行事が行われ,命を守る決意等が述べられました。
 皆さんも,神さまから授けられ命・生かされている命・かけがえのない命を大切にしてください。そして,その命を守るべく人として,思いやりある行動や言葉が発せられるようになってください。
 
 その一言で 励まされ  その一言で 夢を持ち
 その一言で 腹が立ち  その一言で がっかりし
 その一言で 泣かされる  ほんのわずかな一言が 
 不思議に大きな力になる ほんのちょっとの一言で(作者不詳) 
 
 8月26日,全員が成長した元気な姿で,そして笑顔で登校してくれることを祈念し式辞といたします。
 
校長 小野田 文明
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