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校長先生のお話

あしあと
2010-09-07
  先日、出先で一人の卒業生に偶然に出会いました。卒業後会ったことがなかったその方は、今では子どもが大きくなり、家族の介護をする日々であるとその生活ぶりをいろいろと話してくださいました。ある時期、経済的に本当に苦しい日々を過ごし、子どもの行く末を考えると眠れぬ日々が続いたこともあったと話してくださる言葉から、歩んでこられた道の険しさも感じ取れました。
 
 話の中で、彼女はしんどい日々の中で、高校時代の宗教の時間に読んだことのある「足あとの詩」がなぜか心に浮かんできたというのです。詩の言葉を全部覚えているわけではないけれど、いつも二つあるはずの足あとが一つになっていて、そのとき神様が背負ってくれていたという内容だったと覚えていて、それが励みになったのだそうです。私自身はその詩を読んだことがあったのかな・・と完全に忘れていたのですが、彼女の心にはしっかりと納められていたようです。それが、人生の歩みを励ましてくれた・・・と知って、私はとても嬉しく、心が温かくなりました。その「あしあと」と名づけられている詩をご紹介しましょう。 
 

  ある夜、私は夢を見た。 
 
  わたしは、主と共に、なぎさを歩いていた。 
 
  暗い夜空に、これまでの私の人生が映し出されていた。 
 
  どの光景にも、砂の上に二人のあしあとが残されていた。 
 
  一つはわたしのあしあと。もう一つは主のあしあとであった。 
 
  これまでの人生の最後の光景が映し出された時 
 
  わたしは、砂の上のあしあとに目を留めた。 
 
  そこには一つのあしあとしかなかった。 
 
  私の人生で、いちばんつらく、悲しい時だった。 
 
  このことがいつも、私の心を乱していたので、私はその悩みについて主にお尋ねした。 
 
  「主よ。私があなたに従うと決心した時 
 
  あなたは、すべての道においてわたしと共に歩み、私と語り合ってくださると約束されました。 
 
  それなのに、わたしの人生のいちばん辛いとき 
 
  ひとりのあしあとしかなかったのです。いちばんあなたを必要としたときに 
 
  あなたが、なぜ、わたしを捨てられたのか わたしにはわかりません。」 
 
  主はささやかれた。 
 
  「わたしの大切な子よ。わたしはあなたを愛している。 
 
  あなたを決して捨てたりはしない。ましてや、苦しみや試みのときに。 
 
  あしあとがひとつだったとき 
 
  わたしはあなたを背負って歩いていた。」 
 
(マーガレット・パワーズ) 

校長 朝廣絹子
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