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校長先生のお話

ルルド(Lourdes)
2009-02-01
 ルルドは、フランスとスペインの国境になっているピレネー山脈のふもとにある町で、人口15000人ほどの小さな村です。しかし、聖母マリアの出現とルルドの泉によって有名になり、年間約500万人もの巡礼者がこの地を訪れています。
 
  1858年2月11日、ルルドに住む14歳で体が弱く貧しい羊飼いの少女ベルナデッタは、マサビエルの洞窟のそばを流れている川で、薪にする流木を集めていました。その時、ベルナデッタは次のような体験をしたのです。彼女の手記にこう書かれています。「私は、友達と妹と3人で薪集めに川へ行きました。2人は冷たい川を渡ってしまいましたが、まだ、私は浅瀬を探していました。洞窟の前の流れを渡ろうと、靴と靴下を脱いでいると、どこからともなく突風の音が聞こえてきました。再びその音が聞こえたので音のする洞窟のほうを見上げました。私はバラの茂みの岩の上に黄色に輝く光と、そこに白いものをまとった若く美しい女性の姿を見ました。」これが最初の出来事でした。それから7月16日までの間に、18回にわたってベルナデッタに出現されました。名前を尋ねたベルナデッタに、この女性はピレネーの方言で「私は無原罪の宿りです」とあかしました。その意味が分からなかったベルナデッタは教会の司祭に告げました。司祭は非常に驚きました。実は聖母マリアが無原罪の宿りであることが正式に教会の教義に定められたのは、ルルドの出現の4年前のことであったからです。 
 
  そして9回目の出現のとき、ベルナデッタがマリアの言われるままに、示された場所を掘ると、洞窟内に泉が湧き出たのです。湧き出た水は美しい澄んだ水になっていき、この水によって病が癒される村人が出てきました。150年たった今も、ルルドにはこの泉の水を求め、病に苦しむ人々が集まってきます。私が以前、病身の友人とルルドに巡礼したときも、多くの国々から病者の方が巡礼に参加し、洞窟の前で祈ったり、夜のローソク行列でアヴェ・マリアの大合唱などをささげたりして聖母マリアに祈る姿が心に響きました。お水をいただいて、すべての人の病が奇跡的に回復するわけではありませんが、ルルドの水を飲み、水浴をした私の友人がルルドから帰るときに口にした、「病気を受け入れ、生きる勇気をいただいた」という言葉は、私の心から消えることがありません。ルルド巡礼を機に、人生への姿勢が前向きにと変化した友人の姿を見せてもらったことは、私にとっても巡礼の恵みとなりました。
 
  2月11日はルルドの聖母の出現を記念する祝日ですが、ルルドは聖母マリアに捧げられた巡礼地であり、そこを訪れる人々(そこで癒しを願って祈られる人々・・・)は聖母マリアを通して癒しの恵み、生きる希望、力、勇気をいただくのです。

校長 朝廣絹子
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