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校長先生のお話

一学期始業式のことば
2018-04-05
 大過なく,皆さんが元気に登校してくれたこと神の恵みとして感謝するとともに嬉しく思います。ニュージーランド・カナダへの短期留学で貴重な経験した人,部活動や勉強のために学校へ通い続けた人の姿もありました。それぞれ,成長を実感できた休みになったのではないでしょうか。
 6年生の皆さんは,5日間の春期特別カリキュラム合宿を行いました。ハードなスケジュールでしたが,とても集中して臨んでいた姿が印象的でした。いよいよ最終学年としてスタートを切りますね。「一秒を削り出せ」の気持ちで時間を有効に使いながら,自分の夢の実現へ向けて邁進してください。
 5年生の皆さんは,日々の授業を大切にして着実に学力を高めるとともに,生徒会活動・部活動をはじめ,運動会等の行事の中心となり学校の推進役としての活躍に期待しています。
 なお,本年度の5,6年生は,皆さんの進路の実現を図りたいとの思いで四クラス編成にいたしました。先生方は,きめ細かく行き届いた指導をしてくださいますが,皆さんが主体的に学習に取り組み,分からない所は,しっかり質問をして,確実に理解していくことがとても重要です。
 3年生の皆さん,中学最終学年として,しっかりリーダーシップを発揮し,1・2年生を導いて下さい。学習面・生活面・部活動等の学校生活全般において,友を大切にしながら,思いやりに溢れた手本となる活動に期待しています。
 2年生の皆さん,林間学校やチャレンジセミナー・クリスマス奉仕活動等,学校外での活動も多くあります。自己の成長を図れる絶好の機会です。しっかり取り組んでください。また,明日から新たに64名の1年生が入学してきます。後輩たちを優しく導いてくれることに期待しています。
 それぞれの学年に進級した皆さんへのメッセージを贈りましたが,これを達成するために,次の三つの力を身に着けてください。
 Empathy(共感する力) Grit(やり抜く力) Growth(学び続ける力) 
 頭文字を取って,EGGの力と覚えてください。
 近年、リーダーに求められる資質やスキルとしてEmpathyの高い人が重要視されてきています。同じような意味合いのSympathyと混同されますが,Sympathyは,自分の感情が主体となりますが,Empathyは,相手の感情が主体となる言葉です。したがって,色々な人の多様性を尊重し、チームメンバーと共感し、気持ちを分かち合うことでチームをまとめることができる力という意味での共感する力です。
 Grit(やり抜く力)については、アメリカの大学教授が,「様々な分野で多大な成果を上げた成功者に共通するのがGritであり,今,非常に注目を集めている能力である。Gritには,情熱・粘り強さという二つの要素がある。見事結果を出した人たちの特徴は,『情熱』と『粘り強さ』を合わせ持っている。つまり,才能・知性とは関係なく, Gritが強かったのだ。」との研究成果を報告しています。
 Gritを高めるために,「興味あることを見つけ,それに打ち込むこと」「失敗を恐れずチャレンジし続ける習慣を身に着けること」「スキルより少し高い目標を定め,できそうなところからやり始めながら,小さな成功体験を積み重ねていく」こと等が大切であるとも提唱されています。
 皆さんも,いろいろな人の多様性を尊重しながら、困難にあっても挫けない勇気・気概を持ち,挑戦し学び続けながら成長を確信できる年にしてください。
 
 さて、本年度の学校目標は、「恕し合う心を育てる」としました。
 昨年の目標と同じ言葉の響きですが,聖書が大切に教えている「赦し」の質を向上させてほしいと考え,「恕」という文字の「ゆるし」にしました。
 ルカによる福音6章31節及び37.38節に
 「人にしてもらいたいと思うことを,人にもしなさい。」「人を裁くな。そうすれば,あなたがたも裁かれることがない。人を罪人だと決めるな。そうすれば,あなたがたも罪人だと決められることがない。赦しなさい。そうすれば,あなたがたも赦される。与えなさい。そうすれば,あなたがたにも与えられる。」
 さらに,コロサイの信徒への手紙3章12,13にも,「あなたがたは神に選ばれ,聖なる者とされ,愛されているのですから,憐れみの心,慈愛,謙遜,柔和,寛容を身に着けなさい。互いに忍び合い,責めるべきことがあっても,赦し合いなさい。主があなたがたを赦してくださったように,あなたがたも同じようにしなさい。」と「赦し」に係る教えがあります。
 日野原重明さんは,「ゆるすということを考えるとき,僕は「恕す」という漢字を思い浮かべます。よく使われる許すでも,赦すでもないのです。「恕す」という漢字に,ゆるすという本質的な意味を感じるからです。この漢字は,心の上に如くという文字が載っていますね。つまり,ゆるすとは,誰かに許可を出すとか悪いことをした人をゆるすということではなく,「相手のことを自分のごとく思う心」という意味です。
 相手を自分のごとく思うということは,相手をゆるすことが自分をゆるすということに他なりません。だからゆるすのは相手のためではなく,自分のためにする行為なのです。イエスは,私たちを自分と同じように思って,死んでくださった。私達はすでにゆるされた者達なのです。だからこそ,隣人のことを自分のごとく感じ,ゆるすという行為ができるはずなのです。」と語っておられます。
 また,高校一年で学習する論語の中には,
「恕」:己の欲せざる所は,人に施す勿れ という成語があります。
子貢問ひて曰く「一言にして以って終身之を行ふ可き者有りや」
子曰く「其れ恕か。己の欲せざる所は,人に施すこと勿れ」というものでする
 子貢(しこう)が「ただ一言で,一生行ってゆくに値することばがありましょうか」とたずねて言った。
 子は「それはまず恕,すなわち思いやりの心だろうな。恕というのは,自分が人からされたくないことは,人にもしてはならないということだ」と答えたというものですが,聖書と同様の教えです。
「すべての人間が神の愛子であり,神にかたどって創られたかけがえのない存在です。」
「相手のことを自分のごとく思う心」「思いやりの心」で,溢れている暁の星にしていくこと,そして,嫌な思いをする人やいじめにあう人がなく,皆が明るく笑顔で学校生活を送り,持っている力を十分に発揮できる学校にしていくことが本年の目標の意味です。
 本校は,本年,創立70周年という節目の年を迎えます。10月20日に記念式典を挙行いたします。
 私たち教職員一同も,開校に尽力した四人のシスターの思いを引き継ぎながら、皆さんが安心して安全に楽しく学校生活を送れるよう全力で丁寧に関わり,皆さんの成長の一助となるように支援してまいります。
「思い」は見えないけれど、「思いやり」は誰にでも見える。
 Empathy(共感する力 Sympathy) Grit(やり抜く力) Growth(学び続ける力)…EGGの三つの力と共に大切にしていきましょう。
 最後に,嬉しいニュースを紹介しておきます。
 昨年度,英語検定において,本校は,取得率の高い学校全国五校に選ばれ,学校賞を授賞いたしました。
校長 小野田 文明
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