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理事長の話

【中高】放送朝礼
2020-10-19
 皆さん、おはようございます。福山暁の星学院理事長の田中靖です。
 今日の朝礼は、新型コロナウイルスが流行する直前の昨年末に、中高や小学校の先生方数名とフランス、ポーランドを訪問した時のことをお話ししたいと思います。
 
 日本を出発したのは昨年の12月24日でした。旅行の目的は、暁の星が創立された頃のシスター方で、ただ一人ご存命のシスター・フランシスにお目にかかること、そして第二次世界大戦中に、莫大な人数のユダヤ人たちが殺された収容所のあるアウシュヴィッツを訪問することでした。
 
 パリ郊外の老人施設にシスター・フランシスはおられました。御歳なんと98歳。日本に来られたときは27歳だったとのこと。全く見知らぬ福山という土地で、言葉も通じないフランス人のシスターが学校を開校することの困難さは、容易に想像できるものがあるでしょう。
しかしこのシスターが流暢な日本語で言われたのは、日本人、特に暁の星の先生方や保護者からの信頼と協力があったからこそ暁の星は成長できたのだと。視力が衰え、ぼんやりとしか見えない目で、「暁の星のために毎日祈っていますよ!」という力強い言葉に涙を流す先生もおられ、一同大いに勇気づけられました。
 
 アウシュヴィッツを訪問したのは12月29日。皆さんはアウシュビッツがどのようなところかを知っていますか。第二次世界大戦中にドイツ・ナチスはホロコーストと言われる大量殺戮により、全ヨーロッパで600万人と言われる民間人を殺しました。アウシュビッツはそのために作られた強制収容所の一つで、殺戮を主目的に作られたため、絶滅収容所とも呼ばれています。
氷点下で雪が舞い散るどんよりとした天候の中、現地の日本人ガイドに連れられて広大な収容所を見学しました。事前に本で勉強し、予想していたこととは全く違った重々しい空気に、言葉を発することができず、ガス室に送られた人々が身につけていた大量の遺品や、当時のまま残されている施設など、次から次へと現れる歴史の証拠品を目に焼き付けていくのが精一杯でした。アウシュビッツではたった3年の間に110万人もの人が殺されていったという事実は、人間がそこまで常軌を逸することがあることを認めざるを得ないものでした。
 
 こうした重々しい雰囲気に押しつぶされそうになった所でしたが、唯一人間の尊さと明るい希望を感じることができた場所がありました。  それは、自分はカトリックの神父だからと、見せしめとして餓死刑を命じられた人の身代わりを申し出たコルベ神父という方が、刑を執行された部屋の前に立ったときでした。罪なき人を無慈悲にも殺戮した人間がいた一方で、その対極にある人間としての尊厳を示した人もいたこと、そしてその方がカトリックの信仰を持っていたことは、暁の星がよって立つカトリックの価値観に、改めて希望と信頼を持つことができました。
 
 今から70年前の暁の星創立当時のシスター方の崇高な情熱に触れ、またカトリックの聖人となったコルベ神父が、私たちに示した「他者のために生きる」姿勢にも感銘を受け、カトリック校の教職員として、その価値観を次世代を担う皆さんに伝えなければならない、と感じた9日間の旅でした。
 
 これで私の朝礼での話を終わります。
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