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校長先生のお話

今年の夏の思い出
2016-08-23
 夕方、日も落ちて笠岡教会に帰ると外気温が28度くらいで、風が涼しく感じられてようやく今日も一日終わったことを実感しながら、2階の自室のカギを開け中に入ります。
  途端にムッとする信じがたいほどの熱気が部屋中に籠っていることに気が付きます。温度計を見ると思わず見直して確認したくなるような37度とか39度の温度を示しているのです。西日がしっかりあたり、頭がボーッとするくらいの暑い夏休みでした。
  夏は暑いものだと思って過ごしていると、別に腹も立ちません。しかし、ときどき小学生だった時の夏休みについて考えるのです。あの時の温度がどれだけあったかということに興味があるのではなく、懐かしい夏休みを特にこの夏に思い出していました。
  小学生のころ夏休みの間中、近くの同級生や下級生と一緒に山に登り半日、山の中を駆け巡り、へとへとになって帰ってくると、母親が黙って、少し生ぬるいお茶を好きなだけ飲ませ、ご飯をよそってくれていました。面白いことに、ご飯を食べてすぐに出かけようとすると、「昼寝をして、友達が誘いに来るのを待ちなさい」と命令口調で言っていました。
  仕方がないので、横になると風が家の中を吹き抜けて、とっても心地よい風にいつの間にかぐっすりと眠ってしまいます。そうやって昼寝をしているうちにふと目が覚めると、2年生くらいの男の子がニコニコ笑いながら縁側から私の顔を覗き込んでいるのが心に残っています。急いで起きて、靴を履き皆が集まっているところに行くとさあ行こうと言わんばかりに、犬ではなくうちで飼っていた猫が先導して、山の入り口まで一緒に行っていました。
  日差しも強く、暑い中でいったい何をして遊んでいたのかと思いおこすと、一つのことだけは鮮明に覚えています。小さな小川の流れを堰き止めダムを造り、水が来ないようにして、その間に結構深い小川の水たまりの水を汲み出して中にいるフナやメダカを掬って、平等に皆で分けて家に持って帰ったことが、何度かあったようです。その度に、母親から「いたところに戻してきなさい。一人で面倒も見ることもできないくせに」といつも怒られていたことも思い出しました。
  いつも汗びっしょりの思い出でしたが、本当に暑くてどうしようもない時には、帰るなり水風呂に入れられていました。今、考えてみると熱中症や熱射病にならないように実によく母は考えていたのではないかといつも思います。自分も畑の草取り、洗濯様々なことをして、休む暇なく働いていた人でした。夏にはもっと子どもたちの洗濯物が増え、洗濯機もない時代でしたから、いつもしゃがんで盥の上に洗濯板を置きその上で洗ってました。
  今の時代になって、エアコンや冷蔵庫や洗濯機があり、毎日買い物に行かなくてもよい時代にいると、母親への感謝と不便さも感じないでイキイキと生きられた時代が妙に懐かしい気がします。特に暑く感じられた今年の夏が、小学生時代の夏休みを思い出させてくれたのかもしれないと思います。本当に暑い日々が続きます。健康に気を付けてお過ごしください。
 
校長 山口道晴
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