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校長先生のお話

マレーシア・サレハ・ゲンティング・ハイランドハイスクール訪問記
2013-08-03
 7月21日(日)から30日(火)まで私を団長として、そしてこの事業を始めるにあたって大きな役割を果たしていただいたシスター青木と共に引率者として、中学3年生から高校2年生までの18名と同行しました。
  私が校長になる前から、9年間にわたって福山暁の星とサレハの学校との隔年の交流事業が行われています。おととしの東日本大震災の折は、マレーシアから延期のお知らせが入り、交流事業は一時的ではありましたが、ストップしてしまいました。しかし、去年は来ていただき心からの交流ができたのではないかと思っています。
  そして今年は、福山暁の星から、サレハ・ゲンティング・ハイランド・ハイスクール(現在170名の男女共学校で全員が寮生活をおくっています。)に、日本からの訪問団を送る年となっていました。
 
  11日(日)の朝、6時15分に学校をスクーバスに乗って出発しました。初めての試みでしたが、なかなか好評でした。ともかく安心感がありました。無事に飛行機に乗り込むことができました。
  同じ日に無事にクアラルンプールの空港に着き、校長先生と先生方・生徒の熱い出迎えを受けてこのプログラムは始まりました。初めの日と次の日の夕方まではホームステイでした。そしてさっそくその夜から、暁の星の生徒だけの美術の授業が始まりました。次の2日間は、授業への参加、子どもたちも授業の途中参加は大変だったろうと思います。食事もすべて生徒たちと同じ場所で食べました。インド料理・中華料理,マレー料理と味は濃いし匂いがきついし、異文化を受け入れると言うことは、食文化を受け入れることでもあるのだと感じた3分の1の期間になりました。
  そして次の日の朝から、今年の新しいプログラムとしてマレーシアの別の避暑地であるカメロンハイランドへの3日間の研修旅行が始まりました。サレハから40名余、我が校の18名のメンバーで大型バスとスクーバス一台、その他2台の自家用車で出かけました。
 
  カメロンハイランドは、今はアジアに向けての野菜や花、お茶やブドウ、そしてイチゴの栽培がプランテーションによって行われています。その見学研修のためでした。年中同じ気候で同じ温度であれば、一年中同じものが作れます。例えば「菊」などは、日本では秋だけしか出荷できませんが、カメロン高地では一年中栽培でき出荷できるのです。ですから、日本にも出荷しているということでした。
 
  野菜の栽培のノウハウはすべて日本の農家に学んだと言っていました。ですから日本からのお客様に対して非常に温かい心を感じることが出来ました。もちろん他の栽培についても日本から学んだということでした。野菜がすべて水耕栽培であることに感動を覚えました。
 
  最初に訪れたのが、野菜のプランテーションでした。トマト・ブドウなどの見慣れたものから菊や、様々な種類の野菜が膨大な土地に植えられていました。生徒たちは徒歩で回れるところは回りましたが、ともかく広大な土地です。トラックに分乗して菊畑、ラベンダー、バラの花まで見学したことは非常に貴重な体験ではなかったかと思います。
  そして、最後のプランテーションの見学が終わり、ホテルに帰ろうとしていたところサレハの校長先生の好意によって、カメロンハイランド教会を訪ねました。
 
  かつてこのカメロンハイランドが避暑地として多くの人が移り住んだとき、多分100年ほど前からカルメル会の修道院が建てられ、そこに住む子どもたちのために学校が建てられていた由緒ある教会ということでした。今は、新しい教会が建てられていますが、以前の教会も残っていますし、学校も今なお多くの子どもたちを育んでいると言うことでした。
 
  今、日本人の定年退職を迎えられたご夫婦が、数多くマレーシアで過ごされていることを私は聞いて知っていました。この標高約1600mの高さのカメロンハイランドでは、大変涼しくほとんど気温に変化はありません。日本のような季節がないのですから、日本には、気候の良い時だけ帰って、夏や冬の暑さ寒さが厳しいときだけマレーシアにきて住むと言う日本人が100名以上もこの地にいるそうです。物価は安いし、年金だけでも十分に生活できるという点が日本人には人気だそうです。
 
  訪問が終わってホテルに戻り夕食を取りながら学校の年配のスタッフから「この場所は、戦時中日本軍によって占領され、病院として教会と学校が接収された。終戦時、数百人の傷病兵がここで亡くなっている」ということと、「たくさんのマレーシアの方がこの近くで日本軍によって虐殺された。」ということをお聞きしました。
 
  まだまだ書足りないことも、書かねばならないこともたくさんあるのですが、取りあえずは、無事に全員日本に戻って来れたことを神様に感謝したいと思います。
 
校長 山口道晴
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