本文へ移動

校長先生のお話

中学修了式(卒業証書授与式)式辞
2018-03-20
 九十二名の卒業生の皆さん,卒業おめでとうございます。先程,学級代表に卒業証書を授与いたしました。今日は,中学校生活に別れを告げ,高校という新たなる扉への旅立ちの日です。そして,四名の友と過ごす最後の日です。さまざまな思い出が胸中に去来していることでしょう。
 ここ数年,国内では,毎年のように予期せぬ地震や噴火・豪雨等による自然災害が発生し、尊い命が失われるとともに甚大な被害をもたらしています。また,国際的には,紛争や核ミサイル実験等が繰り返されています。こうした現状に,ローマ法王は,一月の校長朝礼で紹介した「焼き場に立つ少年」の痛ましい写真を年末に配布され,世界は核戦争の「瀬戸際」にあると警鐘を鳴らされました。
 このような混沌とした時代の中ですが,これから避けて通れない問題が,貧困と環境,そして平和といわれています。これまで培ってきた「Women for Others」の精神は,これらの問題に対しても人々の大きな支えとなるべくもので,より重要になってくることでしょう。
 さて,私は二月の校長朝礼で,スピードスケートの高木美帆選手の話をしました。
 平昌オリンピックでパシュート団体で金,千五百mで銀,千mで銅,三千mで五位という素晴らしい成績を残してくれました。高木選手は,八年前のバンクーバーオリンピックで僅か十五歳で,期待の星として代表に選ばれました。結果は,千m最下位,千五百m二十三位と大変不本意なもので大きな挫折を味わいました。そこから,なかなか立ち直れず,四年前のソチオリンピックでは代表に入ることさえできませんでした。それでも,夢を捨てず練習を積み重ねた末につかんだ三色のメダル,まさに,「艱難汝を玉にす」という格言を体現したものであり見事な活躍ぶりでした。
 その後も,快進撃が続いています。オリンピックの金メダル以上に,重く,価値が高いといわれている世界オールラウンドスピードスケート選手権が,今月十日,オランダのアムステルダムで行われました。この大会は,冬季オリンピックより歴史が古く,この世界では,最も重みのあるものとされています。女子は,五百m,千五百m,三千m,五千mの四種目で二日間にわたって行われます。まさに,短距離から長距離までの総合力が問われるオールラウンドの世界一を決める大会です。これまで,体格に恵まれた欧州選手がタイトルを独占してきました。平昌オリンピックの千五百mの金メダリストで過去六度この大会で優勝しているオランダのブスト選手を破って,アジア選手初の総合優勝を果たしました。本場オランダ勢の分厚い壁を破り歴史に名を刻んだ快挙には,お見事というほかありません。さらに,今月十八日に行われたワールドカップ最終戦で千五百メートル一位となり,全種目での獲得得点による総合優勝を日本人選手として初めて決める快挙も成し遂げました。これまでの苦難の道のりを乗り越え才能を開花させてつかみ取った栄光。自分を信じ最後まであきらめないで前を向いて精進してこられた姿,その生き方に是非学びたいものです。
 また,昨年百五歳で帰天された日野原重明さんは,晩年「感謝に満ちた気持ちでキープオンゴーイング。さらに,前進また前進を私たちは続けなくちゃならない。喜びと感謝でキープオンゴーイング」と語っておられます。
 これからも,かけがえのない命を大切にしながら,しっかり前を向いて歩み続けてください。そして,チャレンジ精神を忘れず,挑戦し続けてください。
 あなた方の前途が,幸多きことを祈念しています。
校長 小野田 文明
 
TOPへ戻る