校長先生のお話

別学のすゝめ No2 (2月・3月号)
2012-03-09
☆ 別学の持つメリット・デメリット
 
振り返ってみると本校は、六十有余年の歴史がある。この歴史の上に立ち今一度、暁の星の学校が持つ意味と重ね合わせながら別学のメリット・デメリットについて考えてみたい。
 
① 別学は男女の特性に応じた教育が受けられる。
  男と女の脳の働きの違いは、見え方、聞こえ方、発育のペース、人との関わり方、感情の表し方などあらゆる分野に及ぶ。別学なら教室、あるいは全校を一斉に指導するときも、特性に合わせてきめ細かな指導をすることが可能となる。
 
② 男女の異なる成長ペースに対応した指導が受けることができる。
  身体的にも知的にも、女子の成熟は男子よりも早い。七歳から十六歳くらいまでは目立って成長する。女子は言語の習得に優れているし、真面目でコツコツ努力できる。だから学校教育システムにおいては男子よりも落ち着いて勉強するので有利である。しかし、その反面心の充足に欠けるところも多く思春期においては様々な心の問題が生じることも多いのである。思春期の問題も、わかっていれば早め早めに手を打つことができる。
 
③ 異性の目を気にしないでのびのびと学習に集中しやすい
  別学の良さとして挙げられることの一つに、異性の目を気にすることなく、萎縮することなく自分らしさを発揮しやすい環境にいられるということがいわれる。生活の場に異性がいるのは自然であるが、男子も女子も自分をよく見せたいという意識がどうしても出てくる。しかし、異性からどうみられるかが気になって、容姿や髪型などの外見にこだわりやすいとも言われているのが思春期の子どもたちである。
  共学の学校では消極的になる女子も多い。本来外見よりもむしろ知性や心という目に見えにくい人間性を磨き育ててゆく時期なので残念に思われる。これが女子校であればのびのびとできるのではないかと思われるし、実際に本校の生徒たちは、のびのびとできているようである。
 
④ 別学において女子はリーダーシップを発揮できる。
  共学校では、男子を優先的にリーダーとする環境があるかに聞いている。しかし、女子校の場合、最初から女子のリーダーシップが優先されるのである。教育の大事な目的の一つは、それぞれの子どもたちが自分の能力を開花させ自己の確立を促すことだと思われる。
  女子校では、より自由な雰囲気の中で学校生活を送ることができる。つまり別学は、それぞれの特性だけでなく、人間として一人ひとりが持つ個性と才能を開花させ成長させるのに好ましい教育環境だと言えるのではないだろうか。
 
⑤ 一生付き合える友達に多く出会える。
  多感な青春期を共に過ごして培った友情は、他では得難いものがある。別学では、そんな生涯の友によりめぐり会いやすい。一生の友ということを考えるとき、やはり対象となるのは同性の方が多いと思うのである。別学ならばそういう無二の親友を探すのにたくさんの中から選ぶこともできるのである。そんな生涯にわたるメリットも女子校にはあるのである。
 
⑥ 教師のサポートを受けやすく、模範にしやすい。
  統計的に見ても女子校には女性の先生が多く、男子校には男性の先生が多いという統計がある。つまり思春期の女子には男性教師よりは、母親か姉のような女性教師の方が少しは接し易く話易いところがある。特に女子の場合何かと相談したいこともあるように見受けられる。学習や進路に関しては男性教師が指導しても効果はあると思われるが、体や性のことについては女性でないと分からいことばかりである。女性教師はその点自分も思春期を通ってきたので女子のちょっとした心身の変化にも気が付きやすいし、同じ立場に立って相談に乗りやすいのである。私も男子校で教師をしていたが、男子は男子としての面白さがあったし、相手のことが年齢のことも含めて男子の思春期がよくわかっているという理解の上に多くの生徒たちの相談に乗ってきたものである。
  将来、目指す自分の働くイメージを、職種は違っても、身近な女性教師の中に見出しやすい。それは男子校の場合とは多少の違いがあるが、我々教師は、彼女らのよき模範として日々努力していく必要を強く感じるところでもある。
 
⑦ 学力が向上する。
  東大合格率というのが国公立・公立・私立の別を問わず高等学校にとっては、かなり重要なことでもある。やはり、東京大学に入ることは難しいのである。ところが合格率という観点からすると、全高等学校の一割にも満たない私立の高等学校から、それも東大合格率トップの九割が別学にあることが統計上割り出されてきている。暁の星女子高等学校でも毎年ではないが、一人二人と東大に合格している。また、医学部合格者も輩出している。女性一人ひとりの特性に合った教育を与えることができるとき優秀な生徒が育つのである。優秀と言われる生徒が出るから優秀な生徒が集まるという人がいる。しかし、最初からそうであったわけではなく、先生方のたゆまぬ努力と優れた学校作り、質の良い授業を日々行うことによって少しずつ実績を上げてきたことを忘れてはならないと思うのである。
 
⑧ 今、世界の流れは別学に傾きつつある。
  別学が、学力の向上が著しいという結果は、アメリカ・韓国・イギリス・ニュージーランドなどの国でも報告されている。
  アメリカでは、男子の学力低下・非行の社会問題が起こり、学力向上のために別学化が認められるようになった。別学がなぜ優秀なのかはあらためて語るところではないが、優秀な人材を育てるために一九九四年以来、公立校でたった四校だった男女別学クラスがいまや五四〇校以上に増え続けているという。
 スペインやドイツでも共学制度そのものに対する疑問が二十一世紀になってか言われ始めている。さらにイギリスでも、スイスでも性差を謙虚に認め、相違をどのように生かすかが大切だと言われているし、別学が大切だと述べている研究結果が今見直されている。

校長 山口道晴